順位戦B1・B2最終戦、昇級を決めたのは?AbemaTV企画では藤井聡四段VS増田康四段【3月6日~3月12日の中継結果まとめ】

順位戦B1・B2最終戦、昇級を決めたのは?AbemaTV企画では藤井聡四段VS増田康四段【3月6日~3月12日の中継結果まとめ】

ライター: 日本将棋連盟モバイル編集局  更新: 2017年03月13日

日本将棋連盟モバイルにおける3月6日~3月12日の中継局の結果をまとめてお伝えします。B級1組順位戦が終了、久保九段と豊島七段がA級に昇級しました。

トップニュース 

久保九段と豊島新八段がA級昇級

○豊島将之七段-●糸谷哲郎八段
○阿久津主税八段-●山崎隆之八段

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第75期B級1組順位戦は、すでに久保利明九段がA級昇級を決めた状況で最終13回戦が一斉に行われた。他力昇級の目を持つ豊島将之七段は、糸谷哲郎八段と対戦。豊島七段の先手で5手目▲7七銀までは矢倉の出だしだったが、定跡形を外れた力戦に進む。5筋から戦いが始まって激しく駒を取り合うと、後手陣に攻め駒を置いた豊島七段が優位に立った。

夕食休憩後、再開してから1時間以内に押し切っている。この時点で阿久津主税八段の昇級はなくなり、対戦相手の山崎隆之八段が自力で昇級を決められるか、敗れて豊島七段が昇級するか、いずれかになった。

▲阿久津八段-△山崎八段戦は横歩取りから、山崎八段の飛車が派手に動き回る。阿久津八段が右金を角と交換して駒得を果たすと、山崎八段のひねり飛車の形に収まった。山崎八段が攻めかかるも、受けながら反撃を見せた阿久津八段がリードを奪い、粘る山崎八段を振り切っている。これによって豊島七段の昇級、八段昇段が決まった。リーグ成績は以下のとおり(カッコ内は今期成績によるリーグ順位)。

【9勝3敗】久保九段(1)=昇級
【8勝4敗】豊島(新)八段(2)=昇級、阿久津八段(3)、山崎八段(4)
【7勝5敗】橋本崇載八段(5)、木村一基八段(6)
【6勝6敗】松尾歩八段(7)、糸谷八段(8)
【5勝7敗】谷川浩司九段(9)
【4勝8敗】郷田真隆王将(10)、丸山忠久九段(11)
【3勝9敗】畠山鎮七段(12)=降級、飯島栄治七段(13)=降級

竜王戦

1組

●佐藤天彦名人-○高橋道雄九段

ランキング戦が進行するなか、並行して出場者決定戦が始まった。▲佐藤天彦名人-△高橋道雄九段は横歩取りから、高橋九段が愛用の8五飛戦法を採用する。確実な手段を見せて佐藤天名人の攻めを誘う順が功を奏し、最後は厳しく反撃を決めて押し切った。敗れた佐藤天名人は、来期は2組で戦う。

3組

○中座真七段-●島朗九段

ランキング戦が進行中。▲中座真七段-△島朗九段戦は互いに飛車先交換から取れる横歩を取らず、角を交換しない形の相腰掛け銀になった。銀冠の堅陣に構えた中座七段がリードを奪い、最後は切れることのない攻撃態勢を築いて島九段を投了に追い込んだ。

6組

○石井直樹アマ-●神崎健二八段

ランキング戦が進行中。元奨励会三段でここまでの2局を勝ち上がった石井直樹アマは、神崎健二八段との対戦を先手中飛車で戦う。作戦勝ちから優位を拡大して夕食休憩前に押し切り、ベスト8入りを決めた。

順位戦(カッコ内は今期成績によるリーグ順位)

B級1組

トップニュースのとおり。

B級2組

●先崎学九段-○菅井竜也七段
●中村修九段-○中田宏樹八段
●北浜健介八段-○斎藤慎太郎六段

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最終11回戦が一斉に行われた。▲先崎学九段-△菅井竜也七段戦は菅井七段が角道オープンの向かい飛車を採用し、囲いを整備し合うと中飛車に振り直して5筋から動く。先崎九段は駒損ながらも菅井七段の玉形を乱して攻めかかるが、菅井七段が厳しく反撃を決めて快勝。この日一番乗りの勝利を収め、B級1組昇級を決めた。

他の対局が続々と終局するなか、いずれも昇級に絡む2局が最後に残る。先に終局したのが▲中村修九段-△中田宏樹八段戦。勝つことが昇級の絶対条件になる中田宏八段は、中村修九段の先手右玉を金矢倉から穴熊に組み替えて迎え撃つ。中村修九段が独特の指し回しを見せて激戦となり、両者ともに一分将棋の終盤戦を中田宏八段が抜け出した。中田宏八段は▲北浜健介八段-△斎藤慎太郎六段戦の結果に昇級を委ねる。

勝てば昇級の斎藤六段は、北浜八段の先手中飛車に対して角道を開けずに左美濃に組み、北浜八段は穴熊に囲った。この将棋も両者一分将棋の激戦になり、最後は北浜八段の攻めを切らした斎藤六段が、長手数の即詰みに討ち取っている。リーグ1位でB級1組に昇級し、七段昇段を果たした。上位のリーグ成績は以下のとおり。

【9勝1敗】斎藤(新)七段(1)=昇級
【8勝2敗】菅井七段(2)=昇級、中田宏八段(3)
【7勝3敗】藤井猛九段(4)、中村太地六段(5)。

棋王戦

予選

●北島忠雄七段-○横山泰明六段

各ブロックが進行中。▲北島忠雄七段-△横山泰明六段戦は横歩取り8四飛戦法で、9筋の突き合いの入った形から△2四飛▲同飛△同銀の飛車交換に進む。横山六段は端の突き合いを生かし、△9五歩▲同歩△同香と機敏に仕掛けて手勝ちを収めた。

棋王戦予選

王将戦

第67期一次予選

○今泉健司四段-●福崎文吾九段

各ブロックが進行中。▲今泉健司四段-△福崎文吾九段戦は今泉四段の中飛車左穴熊、福崎九段の三間飛車に進む。福崎九段は3筋の歩交換から△7六飛と歩を取って転回したが、後に駒損したうえに駒の働きに差をつけられ、早い時間帯の投了を余儀なくされた。

王将戦一次予選

棋聖戦

決勝トーナメント

●屋敷伸之九段-○佐藤康光九段
●深浦康市九段-○永瀬拓矢六段
○広瀬章人八段-●渡辺明竜王戦

今週開幕し、進行中。開幕初日の▲屋敷伸之九段-△佐藤康光九段戦は、佐藤康九段がダイレクト向かい飛車から銀冠に構え、屋敷九段が銀矢倉から穴熊に組み替える。屋敷九段は作戦勝ちから優勢に進めていたが、チャンスを逃すと佐藤康九段が攻めを切らし、入玉を確定的にして制勝した。

同じく開幕初日に指された▲深浦康市九段-△永瀬拓矢六段戦は、相掛かりで深浦九段が飛車先交換を保留し、永瀬六段が飛車先交換して8五飛型に構える。中盤のねじり合いが長く続いた後、永瀬六段が駒数を確保しながら中段玉を安定させると、入玉を止める見込みのない深浦九段が投了した。

▲広瀬章人八段-△渡辺明竜王戦は相掛かりから、広瀬八段が2四~7四~7五~2五と飛車を大きく使い、7筋の歩を取って1歩得を果たす。3筋から開戦した渡辺明竜王が6八玉型に対して4筋に成駒を作って迫るも、広瀬八段は玉を8筋に逃げ込んで安泰を図り、厳しく反撃して寄せきった。

棋聖戦決勝トーナメント

新人王戦

●大橋貴洸四段-○藤井聡太四段

トーナメントが進行中。▲大橋貴洸四段-△藤井聡太四段戦は角換わり相腰掛け銀となり、藤井聡四段が6二金・8一飛型の最新形から仕掛けたものの、いったん力をためると大橋四段が攻勢を取って優位に立つ。藤井聡四段は辛抱強く指して徐々に差を詰め、相手のミスを誘って逆転勝ちを収めた。

新人王戦トーナメント

岡田美術館杯女流名人戦

予選

●カロリーナ・ステチェンスカ女流2級-○石本さくら女流1級

各ブロックが佳境を迎えている。他に先立ってブロック決勝を迎えたのは「4」ブロックで、女流棋士仮会員(女流3級)から昇級して女流棋士となったカロリーナ・ステチェンスカ女流2級が、昇級後の第1戦として石本さくら女流1級と対戦。相振り飛車に進み、後手のカロリーナ女流2級が相手のミスに乗じて優勢を築く。

石本女流1級は決め手を与えないように粘って逆転に成功し、優位に立ってからは素早く寄せきった。女流名人リーグ入りを決めた石本女流1級は、規定によって女流初段に昇段。デビュー後は負け知らずで記録上の全勝を続け、女流1級を1戦のみで駆け抜けている。

岡田美術館杯女流名人戦予選

女流王位戦

挑戦者決定リーグ

○伊藤沙恵女流二段-●清水市代女流六段
○本田小百合女流三段-●室田伊緒女流二段

紅組、白組ともに最終5回戦が一斉に行われた。白組でリーグ優勝を決めている伊藤沙恵女流二段と、すでにリーグ陥落が決まっている清水市代女流六段との一戦は、変則的な序盤から先手の清水女流六段が5筋の位を取った相矢倉に進んだ。互いに主張を通す手順を経て伊藤女流二段が清水女流六段の玉に食いつき、反撃をかわして勝利を収めた。リーグ優勝に全勝の花を添えている。

紅組でリーグ優勝を決めている本田小百合女流三段は、リーグ残留の目を残す室田伊緒女流二段と対戦。後手の室田女流二段のゴキゲン中飛車で相穴熊に進み、千日手になった。指し直し局の▲室田女流二段-△本田女流三段戦は室田女流二段が角道オープンの三間飛車に構える。本田女流三段は室田女流二段が4五に伸ばした歩を桂で取って戦機をつかみ、ペースを握って押し切った。本田女流三段も全勝でリーグを優勝し、伊藤女流二段と挑戦者決定戦を戦う。

リーグ成績は、紅組が

【5勝0敗】本田女流三段=挑戦者決定戦進出
【4勝1敗】岩根忍女流三段=残留
【3勝2敗】山根ことみ女流初段=残留
【2勝3敗】室田女流二段
【1勝4敗】村田智穂女流二段
【0勝5敗】香川愛生女流三段(2勝以下の3人が陥落)

白組が

【5勝0敗】伊藤女流二段=挑戦者決定戦進出
【3勝2敗】中村真梨花女流三段=残留、甲斐智美女流五段=残留
【2勝3敗】中村桃子女流初段
【1勝4敗】清水女流六段、室谷由紀女流二段(2勝以下の3人が陥落)

女流王位戦挑戦者決定リーグ

大山名人戦杯倉敷藤花戦

●藤井奈々女流3級-○船戸陽子女流二段

第25期が開幕。藤井奈々女流3級の仮会員としてのデビュー戦は、先手の船戸陽子女流二段(LPSA所属)の中飛車左穴熊、藤井女流3級の石田流三間飛車に進んだ。船戸女流二段は負担になっていた飛車がさばけると駒得して優位に立ち、自玉に迫られるも最後は安泰にしてから寄せきった。

大山名人戦杯倉敷藤花戦

【AbemaTV特別企画】炎の七番勝負(非公式戦)

第1局

○藤井聡太四段-●増田康宏四段

14歳2ヵ月で史上最年少棋士となった藤井聡太四段がトップ棋士や若手棋士代表格に挑む【AbemaTV特別企画】藤井聡太四段 炎の七番勝負~New Generetion Story~の全7局が、放送と同時に独自解説をつけてモバイル中継される。第1局は藤井聡四段に次ぐ年少棋士の増田康宏四段との対戦になった。

藤井聡四段の先手で角換わりになり、飛車を1筋に寄って香交換に進めると、増田康四段が藤井聡四段の玉頭を攻める。藤井聡四段は相手の攻め駒を攻めることで対応し、増田康四段の攻撃を力強く見切ると手早く寄せて勝利を挙げた。七番勝負は1週間ごとに日曜日19時から放送、中継される。

トピック

女流棋士には男性棋士と違い、仮会員となる女流3級の制度があります。女流3級になるには研修会でC1クラスに入るなど、一定の成績を挙げて申請する必要があります。アマチュアや奨励会員時代、さらに優れた一定の実績を残せば、女流棋士として女流2級以上でデビューできるケースもあります。

女流3級は女流棋戦に出場できますが、2年以内に女流2級に昇級しなければ、その資格が取り消されます。女流2級以上の女流棋士の通算成績には、男性棋士と同じくアマチュア時代や奨励会員時代のものは含まれませんが、仮会員である女流3級時代のものも記録として含まれています。

マイナビ女子オープンとリコー杯女流王座戦はアマチュアや奨励会員にも門戸を開放しており、ほかに選抜されたアマチュアが出場できる女流棋戦も複数あって、女流棋戦を経験せずに女流棋士(または仮会員)となるケースは少数派になっています。

女流棋士として女流棋戦生涯勝率10割の記録は、女流育成会制度で最後に女流棋士になった渡辺弥生女流初段がデビュー戦を白星で飾ったときにまで遡ります。(飛龍記者)

*写真は名人戦棋譜速報より引用。

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