王将戦・棋王戦ともに超速▲3七銀VSゴキゲン中飛車。順位戦はC2最終戦、昇級を決めたのは?【2月27日~3月5日の中継結果まとめ】

王将戦・棋王戦ともに超速▲3七銀VSゴキゲン中飛車。順位戦はC2最終戦、昇級を決めたのは?【2月27日~3月5日の中継結果まとめ】

ライター: 日本将棋連盟モバイル編集局  更新: 2017年03月06日

日本将棋連盟モバイルにおける2月27日~3月5日の中継局の結果をまとめてお伝えします。王将戦第5局、棋王戦第3局ともに先手(郷田王将、千田六段)が超速▲3七銀でゴキゲン中飛車を破りました。マイナビ女子オープンは上田女流三段が里見香女流五冠にリベンジし挑戦者となりました。

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王将戦七番勝負、郷田王将が2局続けてカド番をしのぐ

○郷田真隆王将-●久保利明九段

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第66期王将戦七番勝負は挑戦者の久保利明九段が3連勝した後、郷田真隆王将が1勝を返す展開。第5局は3月1日から2日にかけて、新潟県佐渡市の「佐渡グリーンホテルきらく」で行われた。

後手番の久保九段のゴキゲン中飛車に、郷田王将の超速▲3七銀戦法の対抗に進む。久保九段が片美濃に囲ってから20手目△4二銀と上がり、▲4五銀~▲3四銀と歩を取る変化を誘うと、郷田王将は▲3五歩の新手を放つ。

中盤の折衝で銀桂交換の駒損ながらもと金を作った郷田王将が、久保九段のさばきを許さずにペースをつかんだ。久保九段も巧みに嫌みをつけて迫ったが、最後は郷田王将が長手数の即詰みに討ち取っている。

七番勝負のスコアは郷田王将の2勝3敗となった。第6局は3月14日(火)から15日(水)にかけて、静岡県浜松市の「グランドホテル浜松」で行われる。

棋王戦五番勝負、千田六段が渡辺棋王をカド番に追い込む

○千田翔太六段-●渡辺明棋王

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第42期棋王戦五番勝負は2局が終わって1勝1敗となり、3月5日に新潟県新潟市の「新潟グランドホテル」で第3局を迎えた。

後手番の渡辺明棋王のゴキゲン中飛車に千田六段の超速▲3七銀戦法、そして王将戦第5局と同じ20手目△4二銀の局面に進む。そこで千田六段は▲4五銀~▲3四銀と注文に乗って王将戦第5局とは違う進行をたどった。

渡辺明棋王は前例の将棋から、勝ったほうの後手を持って手を変える。駒の交換や取り合いが落ち着くと、千田六段が優位に立った。渡辺棋王も懸命に食い下がってチャンスを作ったが、最後は押し切られている。

千田六段は対戦成績を2勝1敗とし、初のタイトル奪取まであと1勝と迫った。第4局は3月20日(月・祝)に栃木県宇都宮市の「宇都宮グランドホテル」で行われる。

上田女流三段、マイナビ女子オープン五番勝負に登場

●里見香奈女流五冠-○上田初美女流三段

第10期マイナビ女子オープンの本戦決勝は、先週まで第43期岡田美術館杯女流名人戦の五番勝負を戦った里見香奈女流五冠と上田初美女流三段の顔合わせになった。

振り駒で先手に決まった里見香女流五冠は石田流三間飛車に構え、上田女流三段は1筋を突き越して片銀冠に組む。中盤の戦いで優位に立った里見香女流五冠が勝勢を築くも、終盤に上田女流三段に飛車をさばかせて一気に危険に。まだ残している順はあったが、それを逃すと上田女流三段が逆転勝ちを収め、女流名人戦に続いて挑戦者に名乗りを挙げた。

自身、2期ぶりとなる加藤桃子女王との五番勝負は、4月11日(火)に神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で開幕する。

竜王戦

1組

○松尾歩八段-●屋敷伸之九段

ランキング戦は1回戦が終了し、2回戦に入った。▲松尾歩八段-△屋敷伸之九段戦は相掛かりの出だしから、屋敷九段がひねり飛車を採用。松尾八段は薄い玉形ながらも、攻めを呼び込んで余す展開に持ち込む。最後は厳しく反撃を決めて勝利を収めた。松尾八段はランキング戦準決勝に進み、敗れた屋敷九段は出場者決定戦(4位決定戦)に回る。

3組

○村山慈明七段-●横山泰明六段

ランキング戦が進行中。▲村山慈明七段-△横山泰明六段戦は横歩取りで、村山七段が飛車を3四のまま戦う「青野流」を採用した。村山七段が歩得を重ね、横山六段に辛抱を強いる展開から優位を広げて押し切っている。

順位戦(カッコ内は今期成績によるリーグ順位)

C級2組

●小林健二九段-○近藤誠也四段
○高野智史四段-●三枚堂達也四段
○西尾明六段-●脇謙二八段
●加藤一二三九段-○上村亘四段
●佐藤紳哉七段-○門倉啓太五段

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c名人戦棋譜速報

最終11回戦が行われた。▲小林健二九段-△近藤誠也四段戦は矢倉から近藤誠四段が角道を止めず、右四間飛車にして急戦を見せる。互いの飛車が5筋に回った形で小林健九段が銀をぶつけて開戦するも、囲いを鉄壁にして駒得を確定させた近藤誠四段が、夕食休憩前に小林健九段を投了に追い込んだ。勝った近藤誠四段は9勝1敗として昇級を決め、五段に昇段した。

▲高野智史四段-△三枚堂達也四段戦は横歩取りで序盤から大駒総交換に進んだ。互いに成った大駒を自陣に引きつける展開から駒の働きの差で優位に立った高野智四段が攻め、三枚堂四段の反撃をかわして制勝。三枚堂四段の昇級の目がなくなる。

▲西尾明六段-△脇謙二八段戦は西尾六段が角換わりを拒否し、相居飛車の力戦形に誘導して雁木に似た構えを敷いた。西尾六段は桂損しても構わないとばかりに先攻し、最後は脇八段の攻めを余して勝っている。9勝1敗とした西尾六段の昇級が決まり、残る昇級枠は1つとなった。

加藤一二三九段の最後の順位戦となる▲加藤九段-△上村亘四段戦は、相矢倉から加藤九段が3七銀型に組む。戦いが始まると加藤九段がペースを握ったが、上村四段は粘り強く指して決め手を与えず、入玉を決めて188手の熱戦をものにした。

昇級戦線で最後まで残った▲佐藤紳哉七段-△門倉啓太五段戦は、▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二飛の出だしに、角交換から互いに馬を作り合う乱戦に進んだ。ともに馬を自陣に引きつける展開からペースをつかんだ門倉五段が、追いすがる佐藤紳七段を振り切っている。門倉五段も9勝1敗で昇級。

一方で降級点は3勝7敗の阿部光瑠六段以下の10人につき、藤原直哉七段、加藤九段、森けい二九段は3つめの降級点となった。それにより、藤原七段はフリークラスに降級、加藤九段と森けい九段は勝ち残っている棋戦がすべて終了した時点で引退となる。

上位のリーグ成績は以下のとおり。

【9勝1敗】西尾六段(1)、門倉五段(2)、近藤誠(新)五段(3)
【8勝2敗】梶浦宏孝四段(4)、都成竜馬四段(5)。

王位戦

挑戦者決定リーグ

●阿久津主税八段-○澤田真吾六段
●佐藤天彦名人-○菅井竜也七段
○豊島将之七段-●丸山忠久九段
●山崎隆之八段-○広瀬章人八段
●阿部隆八段-○木村一基八段

紅組が開幕し、紅白ともに進行中。紅組の初戦となった▲阿久津主税八段-△澤田真吾六段戦は、角換わりで阿久津八段の腰掛け銀、澤田六段の棒銀に進む。阿久津八段が玉側の位を取って馬を作ると、すでに堅陣に囲った澤田六段が厳しく反撃を決めて押し切った。

白組の▲佐藤天彦名人-△菅井竜也七段戦は、菅井七段が早々に△4三金と上がって三間飛車に構え、佐藤天名人は銀冠から穴熊に潜る。駒の取り合いが落ち着くと、駒の働きに差をつけた菅井七段が堅陣を生かして攻め勝った。

白組の▲豊島将之七段-△丸山忠久九段戦は、丸山九段の一手損角換わりで相早繰り銀に進む。豊島七段が作戦勝ちから優位を築き、終盤は難しくなりながらも反撃を余して勝ちきった。

紅組の▲山崎隆之八段-△広瀬章人八段戦は、横歩取り8四飛戦法で先手6八玉型、後手5二玉・7二銀型に進む。中盤から広瀬八段が一方的に攻める展開となり、反撃を許さずに押し切った。

紅組の▲阿部隆八段-△木村一基八段戦も同日、同室で指された▲山崎八段-△広瀬八段戦と同じ形の横歩取りに進んだ。阿部隆八段がペースをつかんで勝勢を築くも、木村八段が九死に一生を得て逆転勝利を収めた。

リーグ成績は、紅組が

【1勝0敗】木村八段、広瀬八段、澤田六段
【0勝1敗】阿部隆八段、山崎八段、阿久津八段

白組が

【1勝0敗】渡辺明竜王、菅井七段、佐々木勇気五段、
【1勝1敗】豊島七段
【0勝1敗】佐藤天名人
【0勝2敗】丸山九段。

王位戦挑戦者決定リーグ

王座戦

二次予選

○鈴木大介八段-●佐々木勇気五段

各ブロックが進行中。▲鈴木大介八段-△佐々木勇気五段戦は序盤の角交換から鈴木八段が馬を作り、佐々木勇五段は三間飛車にして駒組みが進む。佐々木勇五段は快調に仕掛けて優位を築くも攻めあぐね、鈴木八段は玉を固めて食いつくことに成功している。勝った鈴木八段は勝数規定により、九段に昇段した。

王座戦二次予選

棋聖戦

二次予選

●北浜健介八段-○斎藤慎太郎六段

最後の一戦が行われ、予選が終了。「9」ブロックの決勝、▲北浜健介八段-△斎藤慎太郎六段戦は北浜八段の中飛車に対して斎藤六段が三間飛車に構え、序盤から飛車角総交換の乱戦に進んだ。さらに飛車と角が交換になると、2枚の飛車を手持ちにした斎藤六段が攻めるきっかけを作って押し切った。

棋聖戦二次予選

トピック

第60回奨励会三段リーグ戦が4日に最終日を迎え、棋譜中継はないものの、モバイルブログで昇級争いの経過が随時紹介されました。今期の昇段は西田拓也三段と杉本和陽三段(いずれも4月1日付で四段昇段)で、ふたりとも奨励会員の間に15局以上の公式戦を指しています。

新人王戦や加古川青流戦はまとまった人数の三段(三段リーグの上位者)が出場でき、また竜王戦にも奨励会員の出場枠があります。それらの成績は四段昇段後の「棋士」としての成績には含まれません(対戦相手が四段以上の棋士であれば、相手には公式戦の成績として残る)。

このように三段時代に公式戦を指した棋士は多く、公式戦を経験しないまま四段になった棋士は、直近では藤井聡太四段がいます。デビューから白星を重ね、記録上だけでなく公式戦生涯勝率10割という状態を作りました。公式戦を経験せずに四段になった棋士を遡ると、その前が三枚堂達也四段、さらに阿部光瑠六段と続きますが、両棋士はデビュー戦に敗れています。さらに遡った佐々木勇気五段が、デビュー4戦目に敗れるまで公式戦生涯勝率10割という状況でした。(飛龍記者)

*写真は、王将戦中継ブログ棋王戦中継ブログ名人戦棋譜速報より引用。

日本将棋連盟モバイル編集局

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