ライター一瀬浩司

美濃囲いは「7一」を攻めろ!角と銀をつかった、攻略方法とは?【美濃囲いの崩し方 vol.2】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2017年01月26日
ここからは2回に分けて、美濃囲いの7一に対する攻めをご紹介していきます。まずは第1図をご覧ください。
【第1図】
ここから7一を攻めるといっても、第1図からいきなり▲7一銀では、△同金でも△同玉でも、後続の攻めがなにもなく、ただ銀を捨てただけになってしまいます。これではなんの成果も上げられません。現状では、7一に利いている駒は先手の2一竜が間接的に1枚、後手は6一金と8二玉の2枚が利いています。そこで、7一への駒の利きをもう1枚増やせば2対2の状況になり、先手は駒を打ち込むことができます。
例えば、非常に極端な例ですが、第1図で6二の地点に先手の銀がいたと仮定します。すると、7一への駒の利きは2対2になりますよね。そこで▲7一銀打と打ち込めば、△同金の状態は7一への利きの数が先手は2一竜と6二銀の2枚に対し、後手は8二玉の1枚だけとなるので、▲同竜として、後手はそこで△同玉と取ることができず、破ることができます。つまり、7一の地点に利いている駒の枚数が同数の場合、先にその地点に相手の駒を動かすことができれば、その地点を攻略することができます。
さて、それでは第1図で7一への利きを2対2にするにはどうしたらよいでしょうか? いま挙げた例のように、▲6二銀と打てば2対2になりますが、それでは△同金寄と取られて、結局1対2の状況に戻ってしまいます。
ここは、▲4四角(第2図)と角の足の長さを生かして、7一への利きを足すのが正解です。そして、次に▲7一銀と打てば、△同金には▲同角成△9二玉▲8二金までの詰みですし、△9二玉も▲6一竜と金を取って、△同銀に▲8二金までの詰みとなります。
【第2図は▲4四角まで】
ちなみに、▲4四角から▲7一銀と打った形はどこかで見たことがありませんか? そうです、前回のコラムの第3図と同じ形ですね。勢力が負けない形で、7一に角や銀を打てるようにすることがポイントです。
さて、第2図から7一への利きを防ぐ、△5一金引にはどう攻めましょうか?▲7一銀と打って、△同金▲同角成△同玉▲5一竜と迫る順も鋭い攻めで、有力です。しかし、△5一金引には、たんに▲5一同竜がよりよい好手で、△同金に▲7一銀が打て、△9二玉▲8二金までの詰みとなります。
それではもうひとつ。第2図から、△6二金寄にはどう攻めるのがよいでしょうか? 今度▲6一竜と竜を切るのは、△同金でも、△同銀でも、うまくいきません。△6二金寄には、▲同角成が好手で、△同金に▲7一銀△9二玉▲8二金までの詰みとなり、攻めきることができます。
次は第3図をご覧ください。今度は、5二の金がいない片美濃囲いに対して、鋭い攻めをご紹介します。
【第3図】
図から▲4四角や、▲5三角と打って7一を狙うのももちろん有力です。しかし、この場合はもっと厳しい攻めがあります。▲6二銀(第4図)が非常に厳しい攻めです。△同金でタダじゃないの?と思われるかもしれませんが、金が6二へ移動して7一への利きが先手が2一竜、後手が8二玉の1対1となったため、そこで▲7一角(第5図)と打てば、△9二玉に▲6二角成と金を取り返して後手陣は崩壊します。
【第4図は▲6二銀まで】
【第5図は▲7一角まで】
第4図で後手が放置すれば、▲6一銀成と金を取ってもよいですし、▲7一角と打って①△同金には▲同竜△9二玉▲8二金、②△9二玉には▲6一竜△同銀▲8二金と攻めて、後手玉を詰ますことができます。
次回はまた違った7一への攻め方をご紹介します。
美濃囲いの崩し方


監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。