ダブルタイトル戦が続く 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

ダブルタイトル戦が続く 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2021年10月08日

豊島将之竜王と藤井聡太王位・棋聖のダブルタイトル戦が続きます。さらに竜王戦での対戦も見えてきましたが、どうなるでしょうか。

第6期叡王戦五番勝負第2局

【第1図は△3三香まで】

第1図は第6期叡王戦五番勝負第2局(▲豊島将之叡王△藤井聡太王位・棋聖)。先手がかなり苦しい将棋ですが、▲5四銀が派手な勝負手でした。「飛車は十字に使え」と言いますが、銀を犠牲に捕まっている飛車を強引に使います。以下△5四同歩▲同飛△8八と▲5五飛でまだ苦しいながら勝負形に持ち込み、最後は先手が逆転勝ちを収めました。

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写真:日本将棋連盟

第6期叡王戦五番勝負第3局

【第2図は▲6五銀まで】

第2図は叡王戦第3局(▲藤井王位・棋聖△豊島叡王)。左辺をまとめ上げた先手が優勢の局面です。△8七桂▲同金△6七香成は「金は斜めに誘え」の手筋ですが、7八に打つ金駒がなく先手玉はまだ大丈夫です。▲3三桂成△同金▲4五桂と反撃に出て先手が優位をキープし、押し切りました。これで藤井王位・棋聖が2勝1敗とリード。

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写真:日本将棋連盟

第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局

【第3図は▲5五同歩まで】

第3図は第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局(▲永瀬拓矢王座△藤井聡太王位・棋聖)。永瀬王座が意表の三間飛車穴熊を採用した本局。先手が丁寧に受け、後手が必死に手を作る展開から、いよいよ終盤戦になりました。△5七角と攻める手も見えますが、じっと△9九とが落ち着いた一着。「4枚の攻めは切れない」と言いますが、持駒の角金香に加え、歩が3,4筋に利くので先手が受け切るのは難しくなりました。以下は細かく攻めをつないだ後手が押し切っています。

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写真:日本将棋連盟

第80期順位戦A級

【第4図は△2二玉まで】

第4図は第80期順位戦A級(▲佐藤天彦九段△山崎隆之八段)。▲5一歩成と飛車を取った手に△2二玉と早逃げしたところです。▲4一銀が「要の金を狙え」の手筋です。△3一歩との交換を入れてから▲5二桂成とすれば、角か銀が入った時に後手玉を詰ます筋ができています。実戦もその順が実現し、先手の勝ちとなりました。

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写真:日本将棋連盟

第71期ALSOK杯王将戦二次予選

【第5図は△4七歩成まで】

第5図は第71期ALSOK杯王将戦二次予選(▲近藤誠也七段△佐藤天彦九段)。先手は四枚穴熊の堅陣でさばきさえすれば勝ちに直結する局面です。▲7七角と上がり、△5四銀に▲2二歩△同飛▲5六歩が「角筋は受けにくし」の攻め。2五の桂がにらまれているのと▲7四桂の筋があるため、受けの手段が限られています。以下△4四角と▲7四桂の筋を緩和してきましたが、▲5五歩△6三銀▲5四歩△6六歩▲6九飛でさばけ形になりました。近藤七段が王将リーグに復帰を決めました。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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