頭になかった金打ち――加藤圭女流初段

頭になかった金打ち――加藤圭女流初段

ライター: 加藤圭女流初段  更新: 2021年01月26日

こんにちは。女流棋士の加藤圭です。

自粛下での生活

 コロナ禍の中で生活が変わられた方も多いと思う。かく言う私も少し変わった。研究会が減ったのと仕事が減った事により時間がかなり出来たのだ。この時間を有効活用しようと思い勉強時間を増えそうと思った。しかし家ではとてつもなく怠惰に過ごす私は気合を入れなければならない。今までは集中するために道場へ行ったり図書館へ籠ったりしていたが...それらは当然出来ないので、さて困った。
 まあ家でも勉強出来ない事は無いのだが、家には漫画やらゲームやらが置いてありとても気が散るわけだ。テレワーク(この場合も言うのでしょうか...?)をするため悩みに悩んだ苦渋の決断で漫画は実家へ強制送還し、ゲーム機には制限時間のロックをかけた。自制する自信が全くないので情けない措置であるが、これで環境はどうにか整った。そして机と椅子も新調し、世の中の流れであるテレワークを結構満喫できている。なんだか書いていると大人なのに受験生みたいな事を言っている気もするが...集中できるようになったから良しである。

女流順位戦が開幕

 さて、このコラムを書いているのは11月なのだが、この月は大きな対局があった。それは女流順位戦の開幕戦である。棋士の順位戦を見ていて非常に憧れがあったのだか、まさか女流棋界にも順位戦が出来るとは...夢のようである。関係者各位の皆様、本当にありがとうございます。
 肝心の対局相手なのだが、開幕戦からいきなりレジェンドである清水先生と当たったのだ。対戦表が送られてきてからずっと緊張していたのだが、なんと対局の様子を数台の固定カメラで撮影すると聞きいよいよ大変だ。当日は非常に緊張というかビクビクしてしまっていたが、表面上は出来るだけ普通に振る舞っていたつもりである。もし不審者のようになっていたら申し訳ない。
 しかしその緊張感が上手く作用したのか、開幕戦を白星スタートで飾る事が出来た。終わった時はホッとしたが、よく考えてみたら順位戦は長丁場の戦いだ。今後も気を引き締めて戦って行きたいと思う。

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写真左は加藤圭女流初段、右は清水市代女流七段

女流名人リーグ最終戦

 そして順位戦から中2日、今度は女流名人リーグ最終9回戦の一斉対局があった。お相手は加藤桃子女流三段。またもやトップ女流棋士との対局だった。考えてみれば11月は5日には上田女流四段、20日には香川女流三段とトップクラスの先生とばかり対局だった。ひと月にここまで当たるのは珍しいと思うが、当たってしまったものはしょうがない。どうにか頑張るしかないのである。
 さて肝心の最終戦の対局は...途中まで善戦できていたとは思うのだが残念ながら負けてしまった。下記の図は本局のハイライトである。

【第1図は▲4六同歩まで】

 第1図は89手目で常に難しい終盤の入り口の局面なのだが、いかんせん時間がない。▲5四飛を防ぎつつ相手玉に迫ろうと△8四桂と打ったが、悲しい事にこの桂馬はあまり働かなかった。結果的にここから流れが一気に相手に傾き、その後も悪手を連発してしまい敗れた。
 感想戦でも何を指せば良かったのか、答えはわからぬまま終わった。帰宅してから、ふと自分の中継を見てみると窪田先生の解説コメントが追加されていた。どうやらここでは△4三金打と角を追うのが急所だったようだ。そして「農村民族を思われる△4七歩のと金攻めに期待すべき」だという。このコメントを見て負けたのも当然だと思った。全く頭になかった金打ちだった。

【参考図は△4七歩まで】

 敗因がわかり色々ぼやいていると家族にうるさいと注意されてしまったが、それでも吐き出す言葉は止まらなかった。悔しい気持ちはなかなか晴れなかったが、今はもう冷静に捉えられる。敗戦の原因をしっかりと修正し、自分のものにしていきたいと思う。
本格的な寒さに向かう時節、皆さま体調を崩されませぬようご自愛ください。

私のシリーズ

加藤圭女流初段

ライター加藤圭女流初段

茨城県日立市出身。第4回YAMADA女流チャレンジ杯でベスト4進出により、2018年6月に女流2級。 ゴキゲン中飛車を得意とした積極的な棋風。

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