渡辺王将が最終局を制し4期目の王将獲得 第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第7局をダイジェストで振り返る

渡辺王将が最終局を制し4期目の王将獲得 第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第7局をダイジェストで振り返る

ライター:   更新: 2020年04月04日

渡辺明王将に広瀬章人八段が挑戦する第69期大阪王将杯王将戦七番勝負、第7局が3月25・26日に新潟県佐渡市「佐渡グリーンホテルきらく」で行われました。

渡辺王将は前期に王将に返り咲いての防衛戦、広瀬八段は初の挑戦となる大阪王将杯王将戦。
第1局・第3局・第6局は渡辺王将が勝ち、第2局・第4局・第5局は広瀬八段が勝ってフルセットで迎えた最終局の第7局をダイジェストで振り返ります。

*第1局ダイジェスト
*第2局ダイジェスト
*第3局ダイジェスト
*第4局ダイジェスト
*第5局ダイジェスト
*第6局ダイジェスト
(参考:王将戦中継ブログ

対局開始 戦型は矢倉に

最終局の手番は改めて振り駒が行われ、渡辺王将の先手に決まりました。立会人は佐藤義則九段です。
定刻の9時に開始されました。

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渡辺王将の初手は▲7六歩

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後手・広瀬八段は△8四歩を着手

下図は10時30分頃の局面で、戦型は矢倉に進みました。

【図は25手目▲7九角まで】

渡辺王将が動く

広瀬八段の△4四歩に対し、渡辺王将が39手目▲2四歩と動いていきます。

【図は38手目△4四歩まで】

【図は44手目△5五銀まで】

渡辺王将は、45手目▲4二角成と、最も激しい順に踏み込んでいきました。
突然の踏み込みに広瀬が手を止めましたが、少考で46手目△4二同玉と応じました。

次に渡辺王将は、22分の考慮の末、下図47手目で飛車切りも決行。佐藤義九段や副立会人の中川大輔八段は、やや後手持ちの判断のようです。

【図は47手目▲2二飛成】

渡辺王将が53手目を封じる

【図は52手目△3三角まで】

図の局面で渡辺王将が54分考慮し、53手目を封じました。
一日目の考慮時間は▲渡辺3時間54分、△広瀬3時間36分でした。

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渡辺王将から立会人の佐藤義則九段に封じ手が渡された

封じ手開封

封じ手が開封され、いよいよ最終局の二日目の戦いが始まりました。封じ手は、本命として上がっていた▲3五歩でした。

【図は53手目▲3五歩まで】

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二日目の対局開始

下図の局面、広瀬八段は50分の考慮で桂取りに歩を打ちました。控室でも本線と見ていた手です。

【図は61手目▲2五銀まで】

先手よしか

下図は5七にいた銀を5六に立った局面。堅い玉形から攻めをつなげる展開は、渡辺王将が得意とするところ。
中川八段は「この手順は変化の余地も少ないですし、先手の攻めが軌道に乗ってきたように思います。渡辺王将がよくなったのではないでしょうか」と話しました。

【図は83手目▲5六銀まで】

下図の局面で、広瀬八段は残り15分になるまで時間を使い、98手目4三銀と持ち駒の銀を投入して粘りました。一方の渡辺王将は1時間8分残しており、残り時間に差がついています。

【図は97手目▲5六角成まで】

先手の駒得から勝勢へ

ずっと先手が駒損で推移してきましたが、気が付けば先手の香得になりました。

【図は135手目▲1一とまで】

後手の唯一の望みは入玉でしたが、それが難しくなってきました。渡辺王将の防衛が近づいているようです。
広瀬八段が一分将棋に入りました。

【図は147手目▲4七馬まで】

渡辺王将が防衛

153手まで、渡辺王将が勝ちました。

この結果、第69期大阪王将杯王将戦七番勝負は4勝3敗で渡辺王将の防衛となりました。
渡辺王将の王将位獲得は2期連続4期目。タイトル獲得数は25期となりました。

【投了図は153手目▲4八馬まで】

終局後インタビュー

渡辺王将へのインタビュー

―― 本局を勝利で終えた感想をお聞かせください。

大変な将棋で、後ろのほうまで分かりませんでした。

―― 初日から振り返っていかがでしたか。

飛車と角を切ったのは、ほかに代案がなかったからでしたが、ちょっと駒損が大きいのかなと思っていました。

―― 大駒を全部渡すという展開になりましたが、あの時点ではどういった構想だったのでしょうか。

大駒がなくなったときは自信がなかったです。千日手含みで粘れないかなと考えていました。

―― そのあと大駒を2枚取り返す展開となりましたが、指せるようになったのはどの辺りだったのでしょうか。

▲8五歩(127手目)や▲1一と(135手目)で駒損が回復したあたりで、少しよくなったという感じですかね。ただ、入玉される恐れがあったので、勝ちと思ったのはだいぶあとでした。

―― 王将のタイトルを防衛されました。それについていかがですか。

先にカド番に追い込まれる苦しい番勝負だったので、結果が出せたのはよかったと思います。

―― 4月からまたタイトル戦が続きますが、それについてはいかがですか。

この七番勝負も含めて、しんどい戦いが長く続いていたので、ちょっと休んでから次のことは考えたいと思います。

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渡辺王将

広瀬八段へのインタビュー

―― 本局を振り返っていかがでしたか。

攻めを呼び込む形になり、角も飛車も切らせたつもりではあったのですが、なかなかうまいタイミングを発見できませんでした。

―― 大駒4枚全て手にされましたが、そのうち3枚が守りの駒になっていました。

展開としてはやむを得なかったのかなと思います。当然ながら、全て目標になってしまうので、なんとかしのげないかなと探ってはいたんですが、苦労の多い展開だったように思います。
▲5六角成(97手目)としたところで、こちらの手番なので何かないかなと思っていたのですが、そこでめぼしい方針が見えませんでした。

―― フルセットに持ち込みながらも、残念ながら敗れましたが、全体のシリーズを振り返っていただけますでしょうか。

チャンスが全くないわけではなかったので、力及ばずだったかなと思います。

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広瀬八段

今回の将棋飯まとめ

【一日目】

午前のおやつ

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両者ともスイーツは注文せず、ホットコーヒーのみをオーダー

昼食

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両者とも「よろこんで刺身御膳」(お刺身はブリ、マグロ、甘エビ、銀鮭、タイ、イカの6種盛り)

午後のおやつ

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広瀬八段:佐渡の栃餅の大福とバニラアイス、ホットレモンティー

渡辺王将は午前と同じくホットコーヒーのみのオーダーでした。

【二日目】

午前のおやつ

両対局者ともホットコーヒーのみでした。

昼食

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渡辺王将:鰤の香味ステーキ定食

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広瀬八段:鰤漬丼

午後のおやつ

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広瀬八段:佐渡の栃餅のあんころ餅とホットレモンティー

渡辺王将はホットコーヒーのみのオーダーでした。

王将戦ダイジェスト

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