自陣を固めて、相手陣に大きなプレッシャーをかけていくことも!対ヒネリ飛車「銀冠」を組む際の注意点と発展形

自陣を固めて、相手陣に大きなプレッシャーをかけていくことも!対ヒネリ飛車「銀冠」を組む際の注意点と発展形

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年12月02日

前回のコラムでは、「対ヒネリ飛車銀冠」の組み方を見ていきました。今回は組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。
まずは囲いの組むまでの手順の復習です。初手から、▲2六歩、▲2五歩、▲7八金、(△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩)▲3八銀、▲9六歩、▲7六歩、▲2六飛、▲6八玉、▲7七角、▲8八銀、▲8六歩、▲8七銀、▲7九玉、▲8八玉(第1図)。

【第1図は▲8八玉まで】

それでは、組む際の注意点を見ていきましょう。
組む際の注意点:第2図をご覧ください。

【第2図は▲9七角まで】

いま、先手が8八の角を9七に上がったところです。ここで、銀冠に入城しようと△3一玉は、すかさず▲7四歩と突かれてしまいます。△7四同歩は▲5三角成と成り込まれてしまいますし、△5二金も▲6五桂と跳ねられると、▲7三歩成と▲5三桂成の狙いがあってこれは後手潰れです。
第2図では、△6四歩か△6二金(△5二金は▲8六歩△同歩▲同飛から飛車交換になった場合、▲8二飛や▲7一飛が銀取りになって打ち込まれる隙が多くなる)と角のラインを警戒して囲っていくのがよいでしょう。 また、第3図をご覧ください。

【第3図は▲4八玉まで】

先手が3六に飛車を寄ってこなかった場合ですが、ここで△2四歩として銀冠を目指すと、▲3三角成(第4図)とされて取り方に困ってしまいます。

【第4図は▲3三角成まで】

第4図からは△3三同桂と取りたいのですが、それだと▲2四飛と歩を取られてしまいます。また、△3三同金は形が悪く、▲7七桂とされると△2三銀には▲2二歩や▲2二角があって形がよくなりません。最善は△3三同銀でしょうが、これだと2三の空間が気になりますよね。玉が2二に入城した後にいつでも▲2三歩のタタキが生じていますし、3一にいる状態でも終盤2三に駒を打たれるスペースができていて、味の悪い形となっています。

飛車が2六のままの場合は、無理に銀冠を目指さないほうが無難でしょう。もし、組むのでしたら角交換ができなくなったタイミングで△2四歩と突くのがよいでしょう。

では、囲いの発展形を見ていきましょう。

囲いの発展形:見やすいように、先手側のみ駒を配置していきます。第1図からは、4九の金を囲いに引きつけたり、玉頭の歩を伸ばして相手にプレッシャーをかけていくのがよいでしょう。第5図は、理想形の一例ですが、金を6八にくっつけ、8筋と7筋の位を取れば、自陣は固く、相手陣には大きなプレッシャーをかけることができます。

【第5図】

8五まで歩を伸ばしておけば、いつでも▲8四歩と伸ばして8三へ駒の打ち込みを狙う手を視野に入れることができますし、△8三歩と受ければ攻めに使いたかった歩を受けに使わせることができます。

銀冠は実戦例が少なく、これからいろいろな形が試されていくと思います。大会や棋友などで、自分なりにいろいろ構想を考えて指してみるのも楽しいでしょう。最新の指し方で、知らない方も多いはずなので、自分なりに研究すれば、ライバルに差をつけることもできると思います。

以上、ヒネリ飛車に対する囲いを順に見ていきましたが、いかがだったでしょうか? 今回の銀冠のように、また新しい囲い方が出てきましたら、また紹介していきたいと思います。

玉の囲い方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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