谷川九段と井上九段の「ここだけの話」、糸谷八段VS稲葉八段のライバル対決など、見て楽しめるイベント【将棋の日in関西 レポート】

谷川九段と井上九段の「ここだけの話」、糸谷八段VS稲葉八段のライバル対決など、見て楽しめるイベント【将棋の日in関西 レポート】

ライター: 武蔵  更新: 2019年12月04日

今回は11月17日(日)に関西将棋会館で行われた「第45回将棋の日in関西」の模様をお届けします。将棋の日は、日本将棋連盟が1975年に制定しました。江戸時代に将棋好きだった8代将軍徳川吉宗が、この日を「お城将棋の日」として、年に1回の御前対局を制度化したことに由来します。

関西将棋会館全館を使った大きなイベントで、日本将棋連盟棋士会の副会長を務める畠山鎮八段と糸谷哲郎八段が中心になって進めました。

出演棋士は谷川浩司九段、井上慶太九段、畠山鎮八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、西川和宏六段、出口若武四段、黒田尭之四段、石川優太四段、里見香奈女流五冠、室田伊緒女流二段、武富礼衣女流初段、山口絵美菜女流1級、脇田菜々子女流1級、山口仁子梨女流2級です。

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指導対局とサイン会

午前に行われたのは指導対局サイン会。指導対局はお子様の姿もあり、担当した石川四段と山口絵女流1級は笑顔で優しく感想戦を行っていました。

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指導対局を行う山口絵女流1級

サイン会には、井上九段や糸谷八段、稲葉八段が参加。お客様との会話を楽しみながら揮毫をしました。

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稲葉八段

時間を空けて行われた谷川九段と里見女流五冠のサイン会も盛況でした。

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谷川九段

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里見女流五冠

新人棋士のトークショー、師匠の畠山八段からのツッコミも

午後いちばんに行われた開会式。登場する棋士が紹介されたあと、新人棋士によるトークショーが始まりました。畠山八段が進行を務め、出口四段、黒田四段、石川四段にどんどんと話を振っていきます。

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新人棋士によるトークショー

開始前までは、話せるかどうか不安、と吐露していた新人棋士達でしたが、心配は無用だったようです。盛り上がったのは畠山八段と黒田四段の師弟トーク。畠山八段から「四段になって変わったことは?」の問いに、黒田四段は「上がった当初は負けても次があると思ってしまって気が緩んでしまいました」との回答。すかさず畠山八段は自身を指さして「師匠、師匠!師匠の前で何という回答!」と鋭いツッコミを返します。トークショー終了後「やらかしてしまいました」と振り返った黒田四段でしたが、「目標は師匠と順位戦を戦うことです」と力強く宣言して、会場中から大きな拍手を浴びました。

谷川九段と井上九段のここだけの話?

次に行われたのは谷川九段と井上九段による特別トークショー。本イベントの2日後に行われる大一番、広瀬章人竜王-藤井聡太七段戦の展望や、「ここだけの話やけど」と前置きをして若手棋士を鼓舞するなど、ホットな話題から昔話に至るまで、どんどん移り変わって会場は笑いが絶えませんでした。

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盛りだくさんのゲームと、恋の格言も飛び出すサイン会

トークショー後は各階同時進行でイベントが行われました。15人のお客様と棋士がひとつのチームになって1手ずつ進める「みんなでリレー将棋」や、大きなトランプを使った「神経衰弱~ダニーを倒せ!~」が行われました。

過去の将棋の日イベントでも神経衰弱は人気が高く、糸谷八段がめっぽう強いとの評判。その前評判どおり、今回も連続で当てるなどその強さは健在でした。

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神経衰弱に参加する室田女流二段

並行して行われたサイン会では、畠山八段と出口四段、石川四段が揮毫。石川四段は初サイン会ということで緊張した面持ちでしたが、書いているうちに笑顔が見られるようになりました。

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名物?畠山八段の恋の格言シリーズ

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初めてのサイン会に臨んだ石川四段

女流棋士によるトークショー

室田女流二段が進行するトークショーに出演したのは、脇田女流1級と今年10月に女流棋士となった山口仁女流2級。朝の棋士室で山口絵女流1級は、「山口姓がまたひとり増えましたね」と笑顔を見せていました。関西将棋会館で行われるイベントに初参加という山口仁女流2級は、緊張した姿でお客様の前に姿を見せました。途中からは少し落ち着いたのか、ハキハキと受け答えをする姿が印象的でした。

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トークショーに参加した女性棋士たち

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山口仁子梨女流2級

熱戦となったライバル対局

メインイベントである公開対局は、糸谷八段と稲葉八段のライバル対決でした。イベントとは思えない公式戦さながらの迫力は、見る人を釘づけにします。

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合間で行われる次の一手名人戦は、要所で次の一手を出題するもの。開始から数問目で、ひとりだけ上げた回答が見事に正解して、会場が大きな拍手に包まれました。しかし、あまりにも早くひとりに決まってしまったので、全員が再び参加して、次の一手名人戦の第2ラウンドが始まりました。

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次の一手に盛り上がる会場

大盤解説は、参加棋士が順番に登壇して行います。出口四段が解説の際のトークで、「糸谷八段に味噌ラーメンをごちそうになりました」というエピソードを披露すると、対局中にもかかわらず糸谷八段は顔を上げて「味噌煮込みうどんです」ときっちり訂正。終盤の難しい局面のなか、しっかりとツッコむ糸谷八段に、会場だけでなく対局者の稲葉八段も笑みを浮かべていました。

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大熱戦となった公開対局のあと抽選会閉会式、そして、棋士によるお見送りが行われ、イベントは大盛況のうちに幕を下ろしました。

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豪華、抽選会の賞品

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お客様をお見送りする棋士たち

まとめ

いまや、将棋は「指す」だけでなく「観る」ファンの方も増えてきました。棋士会や関西若手棋士のユニット「西遊棋」が企画するイベントは、見て楽しめる工夫が盛りだくさんです。興味を持たれた方は、ぜひ今後のイベント情報に注視してみてください。必ず将棋、そして棋士が好きになりますよ!

関連記事:関西棋士会の畠山八段×糸谷八段対談

武蔵

ライター武蔵

2016年10月から、日本将棋連盟の中継スタッフとして働く。趣味は音楽鑑賞、野球観戦。サザンオールスターズと広島東洋カープの話になると、ただでさえ止まらないトークが、より勢いを増す。

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