ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2019年10月16日
王座戦は挑戦者がストレートで奪取を決め二冠に。竜王VS名人となった竜王戦七番勝負も開幕しました。
【第1図は△5三同金まで】
第1図は第67期王座戦五番勝負第3局(▲永瀬拓矢叡王△斎藤慎太郎王座)。難解な戦いでしたが、先手が抜け出した局面です。▲6九金や▲2二飛も魅力的ですが、▲4五桂が「要の金を狙え」の基本に忠実な寄せ。終盤戦は常に敵玉に王手が掛かる形を目指すのが大切です。以下△5九飛に▲6八銀がカラい勝ち方で先手勝勢です。
永瀬叡王が3連勝で王座を獲得しました。
王座戦中継ブログより
王座戦中継ブログより
【第2図は△5二玉まで】
第2図は第32期竜王戦七番勝負第1局(▲豊島将之名人△広瀬章人竜王)。角換わり腰掛け銀から後手が優勢でしたが、先手もうまく粘って逆転に成功。図は大詰めの局面です。ここで▲4二銀が「玉の腹から銀を打て」の寄せ。▲5三銀成から▲6三金の詰みの他に▲5一銀成から▲3一竜の筋もあるため、後手はこれで受けがありません。あとは先手玉が詰むかどうかですが、△4七竜からの王手ラッシュを際どくかわし切って豊島名人が先勝。
開幕から大熱戦で、白熱したシリーズを予感させます。
竜王戦中継ブログより
竜王戦中継ブログより
【第3図は△5一金引まで】
第3図は第41期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第1局(▲西山朋佳女王△里見香奈女流王将)。相振り飛車から激しい攻め合いの終盤戦です。後手からは次に△5六竜が攻防に厚い手で先手は忙しい局面です。ここで▲7三香△4一金▲6二銀が「終盤は駒の損得より速度」の寄せ。竜を逃げているようでは勝ち目がないので、▲7三香で後手玉に直接迫っていきます。対して△7三同桂なら▲同桂成から▲8五桂のおかわり攻めが利きます。実戦は▲6二銀が入り、細いながらも後手も受けきるのは困難です。
西山女王が先勝し、初の女流王将まであと1勝としました。
【第4図は▲7四桂まで】
第4図は第50期新人王戦決勝三番勝負第1局(▲高野智史四段△増田康宏六段)。3度目の優勝を狙う増田六段と、初優勝を目指す高野四段の決勝です。終盤に王手を掛けられたところ。逃げ場はいろいろありますが、△7三玉が「桂頭の玉寄せにくし」です。以下▲4五桂△5一飛▲3五歩△4四金と丁寧に受けて大丈夫。熱戦は続きましたが、最後まで後手玉はこの位置から動きませんでした。
増田六段は3度目の優勝まであと1勝です。
【第5図は▲9七玉まで】
第5図は第78期A級順位戦4回戦(▲羽生善治九段△渡辺明三冠)。角換わり腰掛け銀から際どい終盤戦になっています。ここで△9五歩が「端玉には端歩」。▲9一馬と取れる形ですし、8七の金が守りにも利いていますが、先手玉に王手が掛かる形にするのが大切です。以下も大熱戦が続きましたが、最後は後手が競り勝ちました。
ゴールデンカードを制した渡辺三冠がA級順位戦を4連勝と快走しています。
名人戦棋譜速報より
名人戦棋譜速報より
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段