指され始めて日が浅く、これからに期待。ミレニアム(振り飛車)の組み方(2)【玉の囲い方 第80回】

指され始めて日が浅く、これからに期待。ミレニアム(振り飛車)の組み方(2)【玉の囲い方 第80回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年07月13日

玉の囲い方

前回のコラムでは、振り飛車における「ミレニアム」に組む手順を見ていきました。今回は振り飛車ミレニアムの組む際の注意点を見ていきましょう。それでは、振り飛車ミレニアムに組むまでの手順をまずは復習していきましょう。

初手から、▲7六歩、▲6六歩、▲7八銀、▲6八飛、▲4八玉、▲3八玉、▲5八金左、▲6七銀、▲1六歩、▲4六歩、▲3六歩、▲3七桂、▲2八銀、▲2九玉、▲3九金、▲4八金寄、▲3八金寄(第1図)。

【第1図は▲3八金寄まで】

組み上がるまでは時間がかかる

それでは、組む際の注意点を見ていきましょう。
組む際の注意点:第2図をご覧ください。

【第2図は△7五歩まで】

これは極端な例ですが、相手の指し手を見ずに、振り飛車でミレニアムに囲おうとした、一例です。ミレニアムは完成すれば堅陣なのですが、組み上がるまでは時間がかかり、陣形もバラバラなので、対急戦には不向きな囲いです。

第2図は、コビンが開いているのみ気になりますし、桂頭も薄いのも懸念材料ですね。もし、▲3六歩、▲3七桂の二手が、▲2八玉、▲3八銀になっていれば、通常の振り飛車美濃囲い対居飛車急戦の将棋で互角の進行でした。相手が居飛車穴熊のような持久戦にしてきた場合に、ミレニアムを目指すようにしましょう。

組み方の種類さまざま

それでは、次に囲いの発展形を見ていきましょう。
囲いの発展形:第3図をご覧ください。

【第3図は△9五歩まで】

平成30年7月17日、第77期順位戦C級1組、▲日浦市郎八段ー△村田顕弘六段戦です。日浦八段が▲8六角と揺さぶりをかけ、△6三金と受けた手に▲7五歩から7筋を交換して動きました。それに対し、村田六段は△7二飛と7筋に飛車を回って対抗しました。これも美濃囲いではできない飛車回りですね。6筋に回る指し方は、美濃囲いでも昔からありましたが、7筋にはそもそも銀がいるので、銀冠に組み替えない限りは絶対にできませんよね。

第3図から日浦八段も▲7八飛と回りましたが、△8四歩▲5九角に△8五桂! と飛車をぶつけたのが強気な指し回しです。▲7二飛成△同金▲3一飛と、王手で飛車を先着されてしまいましたが、△7一歩と底歩で受けた形がすこぶる堅固ですね。以下も激戦が続きましたが、最後は村田六段が打ち歩詰めで詰みを逃れ、勝ちきりました。

次に第4図です。

【第4図は△4五歩まで】

平成31年3月10日、第90期棋聖戦二次予選、▲郷田真隆九段ー△都成竜馬五段戦です。これまでご紹介した形は、△8二銀、△7一金の形でしたが、第4図は△7二金と上がった形です。これなら一手で陣形が引き締まりますね。もっと違う形もあります。

【第5図は△6二金上まで】

第5図は平成31年1月31日、第27期銀河戦本戦Cブロック、▲阿部隆八段ー△青嶋未来五段戦です。今度は後手玉が7二のまま、金無双のように組み上げています。これなら、これまでの囲い方よりも強度は劣りますが、離れ駒を気にすることなく安心して組めますね。

いずれの将棋も、発展形というよりは組み方の種類のような紹介になりました。まだ、プロ間でも指され始めて日が浅く、これからもさまざまな指し方が出てくるでしょう。プロの将棋で、どんな新しい指し方が出てくるのか? そこにも注目で、また楽しみでもありますね。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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