ライター一瀬浩司

2四銀と逃げるとどうなる?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第82回 矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2019年04月08日
今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。
【第1図は▲2五桂まで】
いま、先手が▲2五桂と銀取りに跳ねたところです。前回までのコラムでは、銀を逃げずに△1六歩と伸ばしてくる手を見ていきました。あっさりと守り駒の銀を▲3三桂成と取れるので、簡単によくなりそうでしたが、意外と難しかったですね。復習しておくと、△1六歩に対しては、▲3三桂成△同金直と銀を取り、▲1六香△同香に▲2五銀と打てば、△1七香成には▲3五銀、△2四歩には▲3四歩でいずれも先手が指しやすくなりました。今回からは、普通に△2四銀(第2図)と逃げるとどうなっていくのかを見ていきましょう。
【第2図は△2四銀まで】
矢倉では、しばしば▲2五桂(後手が攻めているのなら△8五桂)の銀取りを手抜いて攻め合うことがありますが、やはり銀を取られるのは大きいので、△2四銀と逃げる場合が多いです。第2図からは、今度こそ△1六歩と逆襲してきますので、先手はゆっくりとはできない局面です。
例えば、もう一歩持とうと▲5五歩と突くのは、△同歩▲同銀△5四歩▲4六銀となれば、▲3三歩の叩きも生じて先手満足の展開ですが、そうはなりません。第2図から▲5五歩は、△1六歩▲5四歩△1七歩成(第3図)となって、5筋の取り込みは拠点になるものの、そこまで利いていませんね。
【第3図は△1七歩成まで】
もちろん、端を突き捨てていなくて、なんの代償もなしに▲5四歩と取り込めた場合なら、△同金と取り返されても後手陣が乱れますので成功と言えますが、第3図は1筋の歩を成り込まれたので、△1八歩や、強く△2七と、と飛車取りに寄る手も生じています。もちろん、第3図から▲3五銀と出れば攻めは続いていきますが、1七のと金は大きく、先手にとっては厳しい戦いになるでしょう。
ということで、先手は第2図からは当然、▲3五銀(第4図)と出て銀をぶつけていきます。
【第4図は▲3五銀まで】
そもそも、さあ攻めるぞ! と歩を突き捨てて攻めようとしたのに、別のゆるい手を指すのでは方針がぶれてますもんね。第4図からは、▲2四銀△同歩▲3三歩とガンガン攻めていく順がありますので、後手は△3五同銀▲同角(第5図)と銀交換に進みます。
【第5図は▲3五同角まで】
ここで、後手の候補手は△6四角、△2四歩、△2四銀、△3四歩とありますが、次回から順を追って見ていきましょう。
矢倉の崩し方


監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。