ライター一瀬浩司
角の引き場所に悩んだことはありませんか?今回は攻めを防がれた場合の応手を学びましょう!【第63回 矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年11月03日
今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。
【第1図は▲3五同角まで】
いま、先手が▲3五銀△同銀▲同角と銀交換を行ったところです。ここ三回のコラムでは、ここでもし後手がなにも受けてこなかったらどうなるのかを見てきました。やはり、間接的に先手の飛車の利きが通っていることが大きく、▲3三歩と打つ手が厳しくてどう応じても先手がよくなりました。また、第1図からは▲1三桂成も有力で、こちらも先手よしの変化になりました。
それでは、今回は後手が△3四歩と受けてきた場合を見ていきましょう。ここで、どこに角を引くのかが問題ですが、もし飛車が8二にいてコビンが開いている状態でしたら、▲4六角(第2図・※わかりやすいように後手陣に駒を追加しました)と引く手がよいでしょう。
【第2図は▲4六角まで】
例えば、第2図から△9二飛なら▲8三銀と打てば飛車を取れますし、△7三銀や△6四歩なら、手番がまた先手に回ってきます。もし、6三の歩が6四にいたりして飛車取りにならない状態でしたら、6八のほうがよいです。もうひとつ例として、第3図を見てみましょう。
【第3図は△3五銀まで】
飛車のコビンが6四の歩と7三の桂で守られていますね。▲4六角と引いた手に△3五銀と打たれたところです。第3図から▲6八角と引くのでは、後手に銀を手放させることはできましたが、先手の角筋を止められてしまい、△6五歩など後手に反撃のターンを与えてしまいますし、△2四歩と攻めを催促される手も気になります。
第3図では、▲3五同角△同歩▲同飛と、強攻する手ももちろん考えられます。後手は歩切れで、次に▲4一銀と引っ掛ける手が厳しく残っています。ですが、△2四角と飛車取りと同時に8二の飛車の横利きを通す手もあったりして、一筋縄ではいきません。▲3八飛に△4九角と飛車を攻められても大変でしょう。
では、図面を元に戻しまして、今回のコラムではわかりやすく▲6八角と引く手に絞ってみていきます。またかと言われそうですが、▲6八角の局面を先手番としてこの場合もまずは見ていきたいと思います。いろいろと攻め方がありそうなところですが、やはり▲3三歩(第4図)が厳しい攻めになります。
【第4図は▲3三歩まで】
第4図から△3三同金寄、△3三同金上、△3三同角はいずれも▲同桂成として駒得となって先手よしです。例えば△3三同金寄▲同桂成△同金とした局面を考えてみましょう。金銀三枚の矢倉は金一枚まで薄くなりましたが、先手は歩切れでここからどう攻めてよいかわからない。と、いう方もいらっしゃるでしょう。▲4一金と打つのでは、△6四角とかわされても、4一の金が空振りになってしまいそうですね。ここは▲2五銀(第5図)と打つのがよいでしょう。
【第5図は▲2五銀まで】
△4三銀には▲1四歩△同歩▲同銀と端から攻めていけば、△1三歩にも▲同銀成△同香▲同香成△同桂▲1四歩と、ガンガン攻めていくことができます。第5図から△3五桂が角筋も止めつつ、△4七桂成も見せて気になる受け方ですが、構わず▲3五同角! △同歩▲3四桂としてしまえば△3二玉は▲4二桂成△同玉▲3五飛と角を取り返しながら攻め続けられますし、△3四同金も▲同銀で次に▲4三銀成や▲4三金が厳しく、とても後手は受けきれないでしょう。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。