ライター一瀬浩司
端からの攻めで囲いを崩そう!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第62回 矢倉の崩し方】
ライター: 一瀬浩司 更新: 2018年10月26日
今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。
【第1図は▲3三歩まで】
いま先手が▲3三歩と打ったところです。前回のコラムでは、いかにも危なっかしい△3一金はどうなるかを見ていきました。▲3二銀と打ち込み、△5三金には▲3一銀不成△同角▲3二金で寄り、△3二同金には▲1三角成! △同香▲3二歩成以下詰みで先手勝ちということでした。また、▲1四歩も有力で、△同歩▲同香△同香▲1三銀△1一玉▲4四角! で△同金に▲3二歩成でこれも後手玉は寄りということになりました。
今回のコラムでは、3三の歩を取ったときの変化を見ていきましょう。まずは△3三同角ですが、▲同桂成△同金寄と進んですぐには後手陣は潰れはしませんが、角桂交換の大得となってはっきり先手よしですね。▲5三角と打ち込むなど、角を使った攻めもいろいろと生じます。△3三同金寄も、▲同桂成で①△同角は▲3四銀△4二角▲4三金でよいですし、△同桂は▲4四角で▲3四歩が次にあります。②△3三同金は▲4四角! (第2図)で△同金には▲3二金△1二玉▲2二銀で後手玉は受けなしとなります。
【第2図は▲4四角まで】
第1図から△3三同金直も▲同桂成で△同金は▲4四角で第2図と同じ形になります。①△3三同桂は▲1四歩と薄くなった端を攻めるのが好判断となります。△1四同歩に▲同香△同香のとき▲1一銀が好手。△同玉は▲1三角成で受けなしですし、△3二玉も▲1三角成と成り込めば後手陣は崩壊です。②△3三同角はすぐには潰れませんが、金桂交換の駒得のうえに後手陣がかなり薄く先手よしです。
よって、第1図では△3三同桂と取ってきますが、ここでも有力な攻め方は二通りあります。まずは▲1三桂成(第3図)です。
【第3図は▲1三桂成まで】
第3図から、△1三同香は▲1四歩の突き出しが厳しく先手よしです。△3一玉には、じっと▲1四歩の突き出しが好手です。次に、▲2三成桂(△同金は▲1三歩成)が厳しい狙いとして残っています。▲1四歩に対し、△1二歩には、平凡に▲同成桂△同香▲1三歩成と突破して先手よしです。
もうひとつの攻め方は、△3三同桂にすぐ▲1四歩と突いてしまう攻めです。△2五桂には▲1三歩成で破れてしまうので、△1四同歩ですが、▲同香(第4図)と走ります。
【第4図は▲1四同香まで】
第4図から、△1四同香は▲1三角成△2一玉▲1二銀までの詰みなので、この香は取れません。後手は、第4図から△2五桂と桂のほうを取ってきますが、▲1一香成としておいても次に▲2一銀が厳しいのでよいですし、もっと厳しく攻めるなら▲1二歩(第5図)がよいでしょう。
【第5図は▲1二歩まで】
第5図は▲1一歩成ではなく、▲1三角成からの詰みが真の狙いです。第5図から△1二同香には、▲同香成△同玉に▲1三角成! △同玉▲3二飛成で決まりです。△2四銀には、▲1三銀△3一玉▲2四銀成△同歩▲2五歩(▲1一歩成でもよし)でこれも先手がはっきりよいです。
よって、第1図の▲3三歩と打ち込んだところでは、どう後手が応じてきても先手がよくなります。
矢倉の崩し方
監修阿部光瑠六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。