敵の打ちたいところへ打て!敵の駒を活用して攻め続けよう!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第60回 矢倉の崩し方】

敵の打ちたいところへ打て!敵の駒を活用して攻め続けよう!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第60回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年10月12日

今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲3五歩まで】

いま、先手が▲3五歩と突いたところです。ここから後手が放置するのは、▲3四歩と取り込めばどう応じても4三か3三の金駒が取れる形になり、先手の駒得になりましたね。第1図から△2四歩と桂跳ねを防ぐ手には、▲2五歩と突いていろいろと変化はあるものの、先手がよくなりました。

さて、いよいよ今回からは第1図から、△3五同歩と取ってくる手を見ていきます。もちろん平凡に、▲3五同銀△3四歩▲4六銀(第2図)と一歩を持ち駒にしておく手もあります。

【第2図は▲4六銀まで】

しかし、せっかく攻め込もうとしているところで、一歩を持っておくだけでは不満ではありませんか? もっとガンガン攻めていきたいですよね? △3五同歩には、もちろん▲2五桂(第3図)と跳ねていくところです。

【第3図は▲2五桂まで】

第3図から、後手は△2四銀と逃げてきますが、もし銀を逃げなかったら? まずはそちらを見ていきましょう。

当然、先手は▲3三桂成とありがたく銀を頂戴します。いろいろと取り方はありますが、△3三同桂、△同金寄、△同角は▲3五銀と出ておいて△3四歩には▲同銀△同金▲同飛ですし、このままですと▲3四歩や▲3四銀打などの手もあって簡単に先手よしですね。△3三同玉は、いかにも玉が露出してやりにくいです。▲3五銀△3四歩▲4六銀でも十分ですし、▲2五歩と伸ばして次に▲2四歩△同歩▲3五銀の攻めを狙っても後手は困りそうです。

さて、残るは△3三同金上です。これも▲3五銀△3四歩▲4六銀としておいても十分ですが、▲2五歩(第4図)と伸ばしたいところです。

【第4図は▲2五歩まで】

次に▲2八飛と寄り、▲2四歩△同歩▲3五銀の進撃が狙いです。

また、▲5五歩(第5図)とこちらの歩を突く手も有力です。

【第5図は▲5五歩まで】

△5五同歩には、▲同銀△5四歩▲4六銀としておきます。一歩を手に入れるために手番を使ってしまうのは不満なんじゃないの? と思われるところですが、今度は狙いがあります。一歩を手に入れれば▲3四歩と打って△同金直に▲3五銀とぶつけていけるのです。金銀交換になれば、後手陣はさらに薄くなりますよね。敵が打って守りたい3四の地点に打って攻める。まさに「敵の打ちたいところへ打て」の格言通りですよね。

よって、▲2五桂に後手が銀が逃げないのは普通に▲3三桂成と銀を取って、先手が十分ということがわかりました。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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