ライター窪田義行七段

奇襲戦法の定義とは?旧式鬼殺し戦法の基本を学びましょう!【奇襲戦法 第1回】
ライター: 窪田義行七段 更新: 2018年06月28日
初めまして、棋士の窪田義行です。この度、こちらのコラムで「鬼殺しから学ぶ奇襲戦法」と題して、新旧二種類の鬼殺し戦法を解説していきます。どうぞ宜しくお付き合い下さい。
「鬼殺し戦法」というと、ずいぶん怖そうな名前ですが、破壊力抜群の戦法で、昔からある戦法の一つです。
奇襲戦法とは何か?
さっそく、鬼殺し戦法について解説をしていきたいところですが、まずは、奇襲戦法の定義をしたいと思います。ここでは、奇襲戦法を
(1)「相手の準備が整う前に、意表をついて仕掛ける」
(2)「玉の囲いや攻防の駆け引きを省いて、シンプルに攻める」
(3)「相手陣や相手の心理を利用して、正攻法では得られない大戦果を挙げる」
と定義します。
後で詳しく解説をしますが、鬼殺し戦法は上記(1)~(3)が見事に当てはまります。最初に旧式の鬼殺し戦法から解説していくことにしましょう。
旧式鬼殺し戦法について
初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩(第1図)
【第1図は△8五歩まで】
初手から、先手は、▲7五歩~▲7八飛と指していきます。これは、石田流三間飛車の出だしと同じです。
後手は、△8五歩と飛車先の歩をのばし、8筋の突破を目指します。ここで、先手は意表の一手を指します。この手が鬼殺し戦法の第一歩ともいえる手です。さぁ、どんな手でしょうか?
第1図からの指し手
▲7七桂(第2図)
【第2図は▲7七桂まで】
後手△8五歩に先手は▲7七桂!と跳ね、地上の堕天使が再び天へと跳躍する第一歩を踏み出します。この▲7七桂が鬼殺しの第一歩として重要なポイントです。飛先と角道を同時に塞いでしまうだけに、一見すると愚型で相手の意表を衝く手です。
さて、このままですと、後手が8筋の歩をついてくるのが見えています。いかにも8筋が突破されてしまいそうですが、先手は大丈夫なのでしょうか?
結論を書いてしまうと、これがまさに先手の狙いなのです。▲7七桂の一手には、この後、「これぞ奇襲!」というべき恐ろしい手順が隠されています。これについては、次回以降に順を追って解説したいと思います。
さて、では、後手が、2手目に△8四歩と飛先を優先してついてきたら、どうでしょうか?
この場合は、一旦▲7七角と上がって、『新型鬼殺し』(参考1図)を目指すことになります。こちらについても、後に解説する予定です。
【参考図1】
今回のまとめ
それでは、今回のまとめです。
・▲7七桂と跳ねて天使の跳躍を狙う
・2手目△8四歩には、新型鬼殺し戦法の出番
次回は、旧式鬼殺し戦法の狙いについて詳しくみていくことにします。ぜひ、ご覧ください。
奇襲戦法
