ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2025年10月24日
前期と同じ顔合わせとなった竜王戦七番勝負が開幕。藤井聡太竜王にとって、永世竜王の懸かるシリーズです。そしてライバル対決となった王座戦五番勝負、白玲戦七番勝負はともに激戦で、一進一退の戦いとなりました。
【第1図は△3四飛まで】
第1図は第38期竜王戦七番勝負第1局(▲藤井聡太竜王△佐々木勇気八段)。香得に成功して先手良しの中盤戦です。▲5五飛が「飛車は十字に使え」のうまい揺さぶり。△7四銀で飛車を狭くしてから▲3五香△6四飛▲5六桂で、確実にリードを拡大していきます。以下は快勝で、藤井竜王が開幕戦を制しました。
写真:八雲
【第2図は△8九飛成まで】
第2図は第73期王座戦五番勝負第4局(▲藤井聡太王座△伊藤匠叡王)。先手がうまい駒運びを見せて、リードを奪うことに成功しました。▲6四角が「角筋は受けにくし」の一着。△3三銀と壁銀を立て直して受けましたが、▲5二とで金をはがせる形となり、先手がはっきり優勢です。以下△6五桂打に▲4二と△同銀▲7三角成と上部を開拓し、先手が勝ち切りました。藤井王座が踏ん張って、決着は最終局へと持ち越されました。

写真:玉響
【第3図は△5四玉まで】
第3図はヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負第5局(▲西山朋佳白玲△福間香奈女流六冠)。激戦の終盤戦でしたが、ようやく先手が勝ちに近付きました。▲6六金が「玉は包むように寄せよ」の落ち着いた一着。△6七角▲3八玉△4六銀に▲5二歩成で包囲網が完成。受けなしとなり、後手の投了となりました。

写真:胡桃
【第4図は▲4六歩まで】
第4図は霧島酒造杯第47期女流王将戦三番勝負第1局(▲西山朋佳女流王将△中七海女流三段)。どこに目を向けるか難しい乱戦です。△6四歩と桂を取りにいくのは▲8四歩で角道が通り危険です。△9二角が「遠見の角に好手あり」でした。桂を狙いながら、先手の玉頭もにらんでいます。▲6六歩に△4六飛▲4七飛△6六飛▲6七歩△6五飛で桂得に成功。以下も大熱戦が続きましたが、最後は中女流三段が制して、初のタイトル戦で白星をあげました。
【第5図は△7七飛まで】
第5図は第15期加古川青流戦決勝三番勝負第3局(▲吉池隆真四段△柵木幹太四段)。局面は先手勝勢で、▲6七歩が軽手。△同飛成に▲5七金打と受けて「大駒は近付けて受けよ」で、竜取りで受けることに成功しました。勝った吉池四段は嬉しい棋戦初優勝です。

写真:翔

ライター渡部壮大

監修高崎一生七段