ライター池田将之

室田女流二段VS山口女流1級 久保王将の振り飛車のような軽さとセンスを見せた室田女流二段のさばきとは?
ライター: 池田将之 更新: 2018年05月28日
室田女流二段は昨春までの二年間、棋士会の副会長を務め、イベントの企画や進行などで活躍しました。「後任は私だったのですが気が重かったです(笑)」と畠山鎮七段。室田女流二段の将棋について「非常にセンスが良いです。テンポよく早指しで指せばもっと実績がついてくるのではないかと思います」と続けます。
山口女流1級はイベントでのマイクパフォーマンスが好評で、人気急上昇中だと畠山七段は絶賛します。昨年、京都大学を卒業しました。
対局は室田女流二段が石田流三間飛車を採用しました。第1図は△9五歩と突いたところです。▲同歩△同香は振り飛車が不利です。一見すると先手が押さえ込まれそうですが、図以下▲7四歩△9六歩▲7九角△7四歩▲5六歩が綺麗なさばきでした。
【第1図は△9五歩まで】
窮屈だった角の活用に目処が立ちました。「久保利明王将の振り飛車のような軽さとセンスを感じます」と畠山七段。
第2図は△2四桂に▲3七銀と上がったところです。
【第2図は▲3七銀まで】
本譜は以下△3六金▲2六香△3七金▲同玉(第3図)と進みましたが、「少し玉を追いすぎた感があります」と畠山七段は解説します。先手玉は左辺に逃げることができます。
【第3図は△3七同玉まで】
△3六金では△3五歩、または△3七金で△3三香と、力をためたかったと続けました。実戦は室田女流二段が手厚い指し回しで逃げ切りました。惜敗の山口女流1級に畠山七段は「若いので、長引けば『自分が勝つ』というくらいの自信を持って指して欲しい」とエールを送りました。
これがプロの技!

2010年からフリーライターとして活動開始。2015年まで将棋連盟モバイル中継記者。現在は新聞社に観戦記、将棋世界で「関西本部棋士室24時」などの記事を執筆している。

監修畠山鎮七段
棋士・七段
1969年6月生まれ。1989年、プロ棋士となる。関西奨励会の幹事を長きにわたり務め、現在の若手関西棋士の育成に貢献。 棋風は居飛車党で、攻め将棋を得意としている。著書に「横歩取りの教科書」「これからの相矢倉」(マイナビ出版)などがある。
1969年6月生まれ。1989年、プロ棋士となる。関西奨励会の幹事を長きにわたり務め、現在の若手関西棋士の育成に貢献。 棋風は居飛車党で、攻め将棋を得意としている。著書に「横歩取りの教科書」「これからの相矢倉」(マイナビ出版)などがある。