大橋貴洸四段VS森信雄七段 藤井聡太六段の同期が見せた将棋の「鋭さ」とは?【プロの技】

大橋貴洸四段VS森信雄七段 藤井聡太六段の同期が見せた将棋の「鋭さ」とは?【プロの技】

ライター: 池田将之  更新: 2018年05月12日

今回は、大橋貴洸四段の対局を紹介します。対戦相手は、昨年現役を退いた森信雄七段でした。この対局は、森七段の引退局となりました。門下生には11人のプロ棋士、3人の女流棋士がいます。

「それだけの棋士を育てたと言えば幸せだと思われるかもしれませんが、少なくとも11回は弟子が四段に上がるかもしれない日を経験しているわけですね。結果を待つのは大変ですよ。それもすごいことだと思います」と畠山鎮七段は話します。

大橋四段は藤井聡太六段と同じ期の三段リーグで昇段しました。「藤井六段の影に隠れていますが、研究熱心で本格的な将棋です。四段になったいまも、三段リーグを戦っているような厳しい雰囲気を持ち続けているように見えます。25歳なんですけど、棋譜を見ていると若い。勢いと決断力のよさ、形の明るさ、19、20歳位の将棋に見えます」と畠山七段は絶賛します。

後手の森七段は四間飛車に構えました。第1図は▲5八飛と回ったところです。これで後手の攻めを受け止めることができました。

【第1図は▲5八飛まで】

「4九に金を置いたまま駒組みを進めたところにがセンスのよさを感じます」と畠山七段。

第2図は△6五歩に▲7五歩と切り返したところです。

【第2図は▲7五歩まで】

以下△4六歩▲同歩△6六歩▲同金△6五歩▲7六金△7五歩▲同金△7四歩▲6四歩△7五歩▲6三歩成△同銀引▲6四歩△7四銀▲6三角(第3図)と進みました。

【第3図は▲6三角まで】

少し手順が長くなりましたが、先手は手に乗って右金をさばきました。そして最後の▲6三角が強手でした。ノータイムでの一着に畠山七段は「大橋将棋の鋭さが出ています」感心します。

実戦は以下、△同銀上▲同歩成△同銀▲6四歩△同銀▲5四金から後手陣を攻略した大橋四段の勝ちとなりました。

これがプロの技!

池田将之

ライター池田将之

2010年からフリーライターとして活動開始。2015年まで将棋連盟モバイル中継記者。現在は新聞社に観戦記、将棋世界で「関西本部棋士室24時」などの記事を執筆している。

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畠山鎮

監修畠山鎮七段

棋士・七段
1969年6月生まれ。1989年、プロ棋士となる。関西奨励会の幹事を長きにわたり務め、現在の若手関西棋士の育成に貢献。 棋風は居飛車党で、攻め将棋を得意としている。著書に「横歩取りの教科書」「これからの相矢倉」(マイナビ出版)などがある。

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