応援している棋士と対局できる?女流棋士に聞く指導対局の魅力とは

応援している棋士と対局できる?女流棋士に聞く指導対局の魅力とは

ライター: 山口絵美菜  更新: 2017年06月22日

将棋イベントに足を運んだことはありますか?華やかなステージ対局、大盤解説、トークショーなどなど、プログラムは盛りだくさん!そこで忘れちゃいけないのが、棋士や女流棋士による「指導対局」ですが、皆さんは「指導対局」を受けたことがありますか?今回は女流棋士のお仕事から「指導対局」をご紹介!「指導対局」を受けるうえでの心得やコツもお教えします!

sidou_01.jpg
女流棋士との親睦将棋会で指導対局をする山口女流。撮影:常盤秀樹

「よし、指導対局を受けよう!」と思い立ったら、まずはどこの指導対局を受けるかを決めます。東西の将棋会館にある道場では毎日といっていいほど指導対局が行われていますし、各地で行われている大会やイベントにも指導対局が組み込まれていることが多いので、ホームページなどで探し、調べてみましょう。

いつ指導対局を受けるか決めたら、お次は「手合割(てあいわり)」を考えます。「手合割」とは「ハンデキャップ」という意味で、棋士や女流棋士に何枚駒を落としてもらうか?ということ。ハンデ無しの「平手」から、上手(うわて)は歩と玉だけで戦う「10枚落ち」まであり、棋力に応じて変わっていきます。もし初めて指導対局を受ける場合は「今日が初めてです」とおっしゃっていただければ、棋士が「普段は教室に通われていますか?」「将棋を始めてどれくらいですか?」とお話を伺って、ちょうどいい手合割を提案させていただきますのでご心配なく。

手合割を決めたら「駒落ち定跡」を勉強しておくと、指導対局を受ける緊張感が和らぐかもしれません。お好きな手合割をリクエストしていただいて構いませんが、「平手で」という場合は棋士や女流棋士によって対応が異なりますのでご了承ください。私もアマチュア有段者のころ、無謀にも「平手で教えてください」と指導対局を受けていたのですが、「どうしても平手で指したいのなら、失礼がないように『勉強のために、平手で教えてください』と言うんだよ」と道場の先生に厳しく言われていた覚えがあります。実際駒落ちの指し方は平手と違う点が多いので、「駒落ちを指し慣れていないので」「平手の指し方を勉強したいので」と一言添えるといいかもしれません。

「指導対局」は通常「多面指し」という、一人の棋士や女流棋士が同時に複数人と対局を行う形式です。ずらっと5面ほど並んだ盤の前を右に左に行き来して対局するので、「相手が指したかわかるの?」「内容が頭に入るの?」と疑問に思われるかもしれませんが、私の場合は局面が静止画像のように頭に入っているので、「前に見た時と比べて盤面がどこか変わっているかな?」という間違い探しのような感覚で着手の有無を認識しています。

また、棋士が自分の盤に回ってくるまでに指さなくては!と慌てる必要はなく、お時間の許す限り頭を悩ませていただいて構いません。とはいえ、1局につき1時間などの時間制限が設けられていることがほとんどなので、「終局まで指し切りたい」という方は大長考にはご注意を。

「指導対局」の醍醐味は何といっても「プロ棋士や女流棋士と対局できる」ということ。そしてさらに「感想戦をしてアドバイスがもらえる」というのも魅力の一つですね。指導対局中に次の一手のアドバイスをしつつ、ということもあれば、終局まで一言も話さず真剣勝負、投了後に感想戦というパターンもあります。ここも棋士・女流棋士の「棋風」が現れるところで、棋士それぞれが指導の型を持っています。

私の場合は四枚落ち以下では対局中のアドバイスを入れつつ、二枚落ち以上では指し手の様子を見つつ対応ということが多いのですが、指導対局前に「アドバイスありでお願いします」「最後まで自力で指したいです」などご要望をいただければ、それに合わせた指導をさせていただきます。「いざ棋士を目の前にすると緊張して話せない!」という方もいらっしゃるかと思いますが、「終盤がわかりません」「次の指し手はどう考えたらいいですか?」と質問するところから始めてみましょう。将棋についての質問ほど答えるのが楽しいものはないので、あまり身構えず、とりあえず聞いてみてください。

「指導対局を受けて強くなりたい」という方には、棋譜を記録しておくことをお勧めします。最近ではスマートフォンのアプリで棋譜を取れるものがあるので、対局中に棋譜をつけて後で見返して復習、アドバイスもメモしておくとさらに効果がアップします!

「棋は対話」という言葉があるように、人と人とが盤を挟み駒で対話する将棋。普段応援している棋士と、盤上でお話してみませんか?新しい発見があること間違いなしです!盤の前でお待ちしています!

山口絵美菜

ライター山口絵美菜

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています