ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2026年03月02日
王将戦七番勝負は挑戦者の永瀬拓矢九段が3勝目をあげて追い込みました。藤井聡太王将は七番勝負では初のピンチを迎えています。
【第1図は▲4五桂まで】
第1図は第51期コナミグループ杯棋王戦五番勝負第2局(▲増田康宏八段△藤井聡太棋王)。後手は受け続ける展開で、先手の攻めを余せるかの局面です。△6三玉▲7九玉△5四玉が「中段玉寄せにくし」の顔面受け。攻めの拠点を消しながら自玉を広くし、先手は攻めの方針が見えにくくなりました。この後も中段玉で的確に局面をまとめて、後手が勝ち切っています。

写真:胡桃
【第2図は▲2三歩まで】
第2図はALSOK杯第75期王将戦七番勝負第4局(▲藤井聡太王将△永瀬拓矢九段)。▲2三歩と「金は斜めに誘え」の手筋で後手玉に嫌みをつけたところです。△4二香が「下段の香に力あり」の好打。先手の玉頭にプレッシャーを掛けながら、4筋からの反撃も防ぐ価値の高い香です。以下も確実に差を広げていき、後手が制勝。永瀬九段が3勝1敗と奪取まであと1勝に迫りました。

写真:飛龍
【第3図は▲4六歩まで】
第3図は第84期順位戦A級(▲永瀬拓矢九段△佐藤天彦九段)。▲4六歩は「大駒は近付けて受けよ」の手筋で、△同角は▲4八飛で切り返されます。△4三金▲7五歩△5四金が「遊び駒は活用せよ」の好着想。▲2四歩が間に合う将棋ではなくなっているので、3二の金を中央に使ってリードを図ります。以下▲4七金△9六歩▲同歩△同香▲9七歩△7六桂▲7七玉△5五歩と厚みを生かす展開になり、後手が優位を拡大しました。7連勝から2連敗となった永瀬九段ですが、競争相手の糸谷哲郎八段も敗れたため、7勝2敗で並んでプレーオフが決まりました。

写真:胡桃
【第4図は△4三同金寄まで】
第4図は第19期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦(▲西山朋佳女流三冠△加藤桃子女流四段)。先手陣は一瞬安全な形でチャンスです。▲1五歩が「端玉には端歩」の攻め。▲1三歩を叩ける形になれば、▲4四銀がより厳しくなります。実戦は△8二竜と粘りに出ましたが、▲6一馬△1五歩▲1三歩△同玉で後手玉が見える形になりました。この後も熱戦が続きましたが、最後は先手が制しています。西山女流三冠がリターンマッチに臨むこととなりました。

写真:紋蛇
【第5図は△3一金まで】
第5図は棋士編入試験第2局(▲片山史龍四段△福間香奈女流五冠)。△3一金は「金は引く手に好手あり」で飛車打ちを消した頑張りですが、形勢ははっきり苦しくなっています。▲3八飛△5五歩▲3九飛△5六歩▲5九飛と、「飛車は十字に使え」で駒得しながら飛車の活用を図ることに成功しました。後手は歩切れでまぎれを求めるのも難しく、以下は先手快勝。福間女流五冠は2連敗と苦しい戦いになっています。
写真:文

ライター渡部壮大

監修高崎一生七段