ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2026年02月20日
福間香奈女流名人に西山朋佳女流二冠が挑戦したユニバーサル杯第52期女流名人戦五番勝負。女流名人戦では3年連続の顔合わせだ。
第1局は島根県出雲市「出雲文化伝承館」にて。乱戦風の出だしから手将棋になるが、後手の西山は馬の力で盤面を制圧し、徐々に局面をリード。
【第1図は▲6六同歩まで】
先手は2三のと金を使った攻めくらいしかないが、後手玉は遠い。△6五歩と押しつぶす攻めで十分間に合う。以下▲3三と△4四飛▲5五桂△6六歩▲4三と△6七銀▲8八玉△4七飛成と決めにいき、後手が押し切っている。過去2年はいずれも福間が連勝スタートだったが、今期は西山が開幕戦を制した。

写真:武蔵
第2局は大阪府高槻市「関西将棋会館」にて。序盤の駆け引きの末に後手の福間が居飛車を選び、先手の西山が向かい飛車となった。福間ペースの戦いとなるが、西山も粘り強く指してチャンスを待ち、徐々に局面は混沌としていく。
【第2図は△3五歩まで】
ここで▲5二桂成△同金▲4四歩がうまい勝負手。▲5六角や▲4一角の筋を作って後手玉も怖い形になった。そこで△4五歩と打てば後手がまだ残していたようだが、実戦は△3六桂としたため、▲同金△同歩に▲4三歩成△同銀▲3五桂が返し技となって、先手が逆転勝ちを収めた。これで西山が2連勝。また、本局が両者にとって女流公式戦で通算100局目の対戦。女流棋士では二組目の百番指しを達成した。

写真:飛龍
第3局は千葉県野田市「関根名人記念館」にて。序盤の駆け引きから、後手の三間飛車に先手の居飛車急戦の形となった。手得を生かして仕掛けた福間がペースをつかんだかに見えたが、西山も落ち着いた対応で難解な形勢に持ち込む。
【第3図は▲5九金寄まで】
後手が押し返し反撃に出ている。後手は飛車が攻めに参加していないが、先手も飛車角が玉の近くで負担が大きい。ふわっと△7五角がうるさい攻め。▲6七玉と顔面受けに△6九歩成▲同金△6六歩▲同銀△同角▲同玉△7四桂▲5七玉△6六銀で飛車を取って攻めが切れなくなり、後手勝勢となった。怖くても△6六歩には▲7八玉で耐えるしかなかったようだ。この後は福間も粘るが差は大きく、西山が押し切って3連勝での奪取を決めた。

写真:八雲
福間は通算85回目の女流タイトル戦登場だったが、初のストレート負けとなった。とは言えこれまで三番勝負でさえ経験がなかったことは快挙だろう。西山は2年前に失った女流名人を奪還し、女流三冠となった。

ライター渡部壮大