ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2026年01月21日
王将戦七番勝負が開幕し、挑戦者の永瀬拓矢九段が先勝。これまでの七番勝負はいずれも3連敗スタートでしたが、ついに白星を先行させて面白いシリーズになりそうです。
【第1図は△8六歩まで】
第1図はALSOK杯第75期王将戦七番勝負第1局(▲永瀬拓矢九段△藤井聡太王将)。いよいよ戦いが起きて攻め合いになりました。次の△8七歩成を受ける必要がありますが、▲8八歩では壁にもなり元気がありません。▲8四歩△同飛▲7六銀が「大駒は近付けて受けよ」の対応。飛車の当たりを強くして、場合によっては▲7五銀も狙えます。以下△8七歩成▲同銀△8八歩▲同玉△8六歩▲同銀と手筋を駆使しますが、飛車が近く攻めきれず、△3二玉と手が戻りました。以下も難解な戦いが続きましたが、最後は先手が制して永瀬九段が白星スタートです。

写真:玉響
【第2図は△5四銀まで】
第2図は第39期竜王戦1組ランキング戦(▲羽生善治九段△佐々木勇気八段)。先手はまだ詰まないため、決めるチャンスです。▲2三歩が「金は斜めに誘え」の手筋。▲4一金までの詰めろなので△同金と取りますが、そこで▲7三馬が継続手。△同飛なら▲4三歩成で一手一手です。実戦は△4五銀▲7二馬△4八飛としましたが、▲8九金打が堅く先手勝勢となりました。2期連続挑戦中の佐々木八段ですが、ここは羽生九段が貫録を見せています。

写真:八雲
【第3図は△1四歩まで】
第3図は第84期順位戦B級1組(▲広瀬章人九段△大橋貴洸七段)。1敗の広瀬九段と2敗の大橋七段の直接対決です。▲3七桂が「遊び駒を活用せよ」の桂跳ねで、△1五角に▲4五桂で後手の玉頭をにらみます。以下△3七角成に▲6五桂と数の攻めが実現し、先手がリードを拡大。本局を快勝して1敗を守った広瀬九段が大きく昇級に近付きました。

写真:琵琶
【第4図は△3一玉まで】
第4図は順位戦B級1組(▲服部慎一郎七段△伊藤匠二冠)。こちらも昇級を争う直接対決です。ここで▲6九香が「下段の香に力あり」の攻防手。△6七銀や△6六歩の攻めを受けながら、▲6五香と走る攻めも狙っています。この香がいては攻められないので△5八銀と狙いますが、そこで味良く▲6五香と走れます。△6三歩には▲同香成から▲7二銀があるため、簡単には受けられません。以下も熱戦が続きましたが、最後は服部七段が競り勝っています。

写真:琵琶
【第5図は△4四馬まで】
第5図は第84期順位戦B級2組(▲久保利明九段△戸辺誠七段)。金を2枚ともはがして先手良しです。▲6一金が「寄せは俗手で」の張り付き。駒得で自玉も安全なため、確実にはがす攻めで十分です。以下も落ち着いてリードを守って先手快勝。久保九段は8連勝でB級1組への復帰が決定し、今期順位戦で最初の昇級者となりました。

写真:睡蓮

ライター渡部壮大

監修高崎一生七段