里見、西山の挑戦はね返す

　里見香奈清麗に西山朋佳女流三冠が挑戦した大成建設杯第５期清麗戦。西山は清麗戦五番勝負初登場となる。

大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第1局

　第１局は東京都千代田区「ホテルニューオータニ」にて。里見が先手で角交換型の相振り飛車となる。じりじりとした長い中盤戦となった。

【第１図は△２四飛まで】

　４四歩の拠点は大きな存在だが、具体的にどう手を作るか。▲５七角がその解決策だった。△２六歩▲同歩△同飛に▲３五角△同歩▲４三銀が狙いの攻め。駒損ではあるが、△４三同金▲同歩成△同玉に▲２七歩と受ければ先手玉は安全で、しばらく攻めに専念できるのが大きい。以下も細かく攻めをつないでいき、後手玉を寄せ切った。

写真：玉響

大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第2局

　第２局は福岡県福岡市「ホテルニューオータニ博多」にて。相振り飛車から激しい攻め合いとなった。

【第２図は△４六同角まで】

　駒を取り合った局面だが、終盤戦は手番が大きい。▲５三桂成が軽手で、△同金に▲７四桂が厳しい寄せで、先手の一手勝ちコースだ。西山が攻め切り、１勝１敗に。

写真：夏芽

大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第3局

　第３局は大阪府大阪市「センタラグランドホテル大阪」にて。相振り飛車模様の出だしから、里見が居飛車に戻す対抗形になった。里見の動きに西山も強気に応じたが、押さえ込まれて里見に形勢が傾いた。

【第３図は△６二角まで】

　後手陣を押し込んで先手優勢だ。▲６六歩がさらに模様を広げる一手。馬を利かしながら▲６五歩を見ている。△７四歩としても差は広がる一方と見て△４九飛▲６五歩△７六桂としたが、▲５九金寄△１九飛成▲６四歩△３八歩成▲２九歩と激辛に指して先手勝勢だ。以下も手堅く指して里見完勝。２勝１敗で防衛に迫った。

写真：飛龍

大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第4局

　第４局は大阪府大阪市「関西将棋会館」にて。第１局とは先後を入れ替えた角交換型の相振り飛車となった。

【第４図は▲３四銀まで】

　２八歩▲同玉△６六歩▲同銀△２六歩が薄さを突いた反撃で、▲同歩なら△同飛▲２七歩△６六飛の十字飛車がある。もっとも▲６七歩で飛車が捕まる形なのでその順も簡単ではないようだが、実戦は▲３六角△２七歩成▲同角と辛抱した。しかし△２六飛がやはり銀を狙う動きでうるさく、▲３六歩△２五桂で後手良しが明らかになってきた。以降も着実に攻めをつなぎ、里見が制勝。後手番をブレークし、３勝１敗での防衛となった。

　清麗戦では初のゴールデンカードだったが、第３局、第４局と快勝した里見が防衛。両者は続く白玲戦七番勝負でも対戦が決まっており、今年度もまだまだ対戦が続くことだろう。

写真：翔

注目対局プレイバック

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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