ライバル対決は里見連勝

ライバル対決は里見連勝

ライター: 渡部壮大  更新: 2022年11月30日

 里見香奈倉敷藤花に西山朋佳女流二冠が挑戦した第30期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負。両者は今年度マイナビ女子オープン(西山防衛)、女流王位戦(里見防衛)、ヒューリック杯白玲戦(里見奪取)、霧島酒造杯女流王将戦(西山奪取)に続く5度目の顔合わせ。2勝2敗で迎えた今年度最後のタイトル戦だ。

第30期大山名人杯倉敷藤花戦挑戦者決定戦

 挑戦者決定戦は西山と香川愛生女流三段。互いに初の三番勝負を目指す対決は、西山の三間飛車を香川が居飛車で迎え撃つ形となった。

【第1図は△2四歩まで】

 ▲3五歩△同歩▲5五歩△同歩▲同角が積極的な動き。△2三銀と桂頭を受けたが▲3三角成△同玉▲4五桂△4二玉▲5三桂成△同金▲6六角と進めて先手が好調に動けている。以下も押し切って、西山の快勝となった。西山は本棋戦初参加で三番勝負までたどり着く。

dijest_30touka_cho.jpg

第30期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第1局

 第1局は大阪市「関西将棋会館」にて。相振り飛車から激しい攻め合いとなった。

【第2図は▲5三とまで】

 後手玉もかなり迫られているが、堂々と△3六歩で攻め合い勝ちを目指す。▲6二と△同銀▲8三金に△7一玉(△6一玉は▲4三角成の王手飛車)と落ちて金銀を渡せない形なので怖いが、先手は金駒を手にする術がない。▲5六角としたが、△3七歩成▲同金△4五歩が手堅い勝ち方で、後手が勝ち切った。里見が開幕戦を制し、防衛に前進。

dijest_30touka_01.jpg

第30期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第2局

 第2局は恒例となっている岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」にて。相振り飛車の出だしから里見が居飛車に戻す、最近よく指している戦型となった。里見の鳥刺し風の指し方をうまく押し返して西山がペースをつかんでいたが、先に一分将棋に入っていた里見にもチャンスが訪れる。

【第3図は△6六歩まで】

 ▲7四角と桂頭にねじ込んだのが強手。△3八角や△4七角なら▲6三角成△6七歩成▲同金直△9七歩▲同銀△8五桂と攻め合ったが、▲6四銀が決め手になった。以下△5六飛に▲6三銀成でたちまち寄り筋だ。以下は数手で後手の投了となっている。

dijest_30touka_02.jpg

 里見は2連勝でライバル対決を制して倉敷藤花を防衛。これで倉敷藤花戦は8連覇、通算13期目の獲得となった。両者の今年のタイトル戦も3勝2敗で里見の勝ち越し。来年も両者は激しくタイトル戦でぶつかることだろうが、果たして来年の力関係はどうなるか。

7

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています