ライター本間博
酒と猫の日々――本間博六段
ライター: 本間博 更新: 2020年12月29日
ゾンビと化した日
お酒が好きで良く飲んだ。今ではとてもできないが、毎日夕方から4,5軒はしごをして一週間ほどぶっ続けで朝まで飲んだこともある。
若いときにはそれでも平気だったが、年齢を重ねるにつれ、失敗も多くなりバッグや携帯電話をなくしたことは数しれず。酒を飲んで物を無くすのは呑兵衛の常ながら我ながらよく懲りなかったものだと思う。因みに酒豪で知られるI奈七段も数々の武勇伝の持ち主だとか。
私の過去の経験の中で最もヒドかったのは、東京での対局の後のこと。例によって朝まで飲んで始発電車に乗ったのまでは良かったが、意識は朦朧としてどうやって大阪に帰ってきたのか、それさえ記憶にない。その上、どこかで荷物を忘れたようで手ぶらでの帰宅。家内から「バッグ忘れたでしょ。八王子駅から電話があったよ」と呆れられる。
まるで酒臭いゾンビのような状態で、一体どこを徘徊していたのか、他の乗客には迷惑この上なかったに違いない(反省)。
「ななこ」と「けんた」
そんな生活が一変したのは、我が家に「ななこ」が来てからだ。五年ほど前のある日、マッチこと浦野真彦八段が飼い猫の里親を探しているという話を耳にした。何でも飼い猫同士のトラブルがあったようで我が家で飼うことに。ケージに爪とぎ、おもちゃにトイレまで全てそのまま頂いた。
最初こそかなり警戒されたが今ではすっかり懐いて欠かせない家族の一員となっている。おとなし過ぎて運動不足、肥満気味なのが少し心配だが・・。
そしてその数年後、今度は森安多恵子女流四段から生まれたばかりの仔猫を頂く。足元も覚束なかった「けんた」も今では体重も5キロ近くになり元気いっぱい走り回り、フスマや壁はボロボロに。
猫を飼うと可愛く、外へ飲みに出る回数も一気に減り、今ではおやつをやりながらの晩酌が楽しみになっている。
我が家の一員。写真左が「けんた」右は「ななこ」
詰将棋
将棋の話を少し。現在、「将棋世界」誌で『ホンマにやさしい3手5手詰』欄を担当している。毎月10題はけっこう大変で、夜、横になりながら創る事も多い。できた問題は忘れないようにスマホに保存するのだが、そんな時に役立っているのが『ぴよ将棋』というアプリ。可愛いアイコンに似合わず高機能だ。詰将棋用の局面作成が可能で、解答機能もある。私が使うのは専らこの機能だが、もちろん対局もできる。レベルは40段階もあり、初心者から高段者まで楽しめて棋譜の解析もしてくれる。将棋連盟モバイルと共に手放せないアプリだ。
3手5手の創作ではできるだけコンパクトに、と心がけているのだが、どうしても同じような筋になり同一作が心配になる。WEB上で検索してはいるが、正式なものよりはデータ量が少なく、何度か編集部から同一作の指摘を受けたことがある。
写真のスマホ画面は内藤國雄九段作と被ってしまった図。
苦労が無になった残念さと、詰将棋の名手、偉大な先達と同じ図に行き着いた満足感もある。
最後にこのHPともども『将棋世界』誌のご愛読をお願いして結びとしたい。