ライター井道千尋
ワンオペ育児――井道千尋女流二段
ライター: 井道千尋 更新: 2020年11月27日
ワンオペとは「ワンオペレーション」の略。
我が家は正にそのような育児状態です。
会社員の夫は在宅勤務になっても会議や電話など多く、平日は育児に参加できない状況である。(出勤もあり)
緊急事態宣言が出された頃、二人目を妊娠中で休場しておりました。保育園から在宅保育依頼もあり、2歳の娘と家の中で過ごす引きこもり生活がスタート。公園や散歩に行くなども自粛していたので、室内で遊べるLEGOやおままごとセットが仲間入りし大活躍。
2歳の娘は疲れを知らない。LEGOなどでは飽き足らずトランポリンやアンパンマン体操をして飛び跳ねる。そこにイヤイヤ期も重なり何をするにも動きはダイナミックだ。削られるのは母の体力だけであるのは言うまでもない。
その合間に行く妊婦健診が唯一の息抜きだ!
健診では「産まれそうにないから沢山歩いてね!」と言われた。
しかし、その日の午前3時、陣痛。4時に産院に電話するも「元気そうだから来なくていいよ!」と言う。ここで本能が働いた。「もうすぐ産まれる。シュークリームを食べよう。」3分間隔になった陣痛を測りながら、次の陣痛が来る前に完食。声を掛けたいのを我慢し寝ている娘を横目に一人産院に向かった。
その約1時間後あっさりと生まれた。コロナの影響で立ち合いは生まれる少し前に電話をして呼ぶシステムだったが、電話した時に寝ていた夫は寝ぼけて道を間違え間に合わなかった。
そして、息子を少しだけ抱っこし急いで仕事に向かったのであった。
前置きが長くなりましたが、新しい家族を迎えての生活が始まりました。
実母の協力があるので新生児のお世話をメインに体を休めようと思ったが、現実は甘くない。まだ在宅保育期間だった娘の遊んで攻撃を寝不足で迎え撃ち、合間には慣れない都会生活で疲弊した母の家事を手伝うというスタイル。本当なら産後は実家に帰って過ごす予定だった。夫にも母にも気を使わないで過ごすには実家が一番である。それが実現しなかったのは大変厳しく、母が戻ってしまうと自身の未熟さとお腹についた浮き輪のようなお肉を見て日々落ち込んでいた。
夫にも娘にも優しくしようと心がけるも、上手く行かず笑いながら涙を流せるまでに成長してしまった。本当に笑えない現実がそこにはあった。
ただ、夫がすごかったのはそこで資格取得というスキルアップを図ったことだ。間接的に励ましてくれたのは私の負けず嫌いを刺激した。
早起きや軽い筋トレ、健康的な食事など自分の出来る事をやってみようと思えた。勿論、目標だけが高くできない事がほとんどだが試行錯誤して前向きに行動するよう気持ちが働いた。仕事をしている夫に家事を手伝って貰うのは心苦しいと感じていたので、互いに努力する方法は合っていたのだと思う。
そして休日には娘を公園に連れて行ったり、私に美容院に行く時間を作ってくれるなど自由な時間を与えてくれて嬉しかった。そう、この自由な時間で家事を済ませたり、大好きな豆大福を悠々と頬張ったり...心に余裕が生まれた。
散歩がてら毎日のように豆大福を買いにお気に入りの和菓子屋さんへ行くのも楽しみの一つとなった。
さて、娘と過ごす時間が圧倒的に少なくなったが、寝る前の絵本は欠かさず読むようにしている。布団に並んで絵本を読むのは娘との大切な時間。たまに私が解いている詰将棋の本を持ってくることもあり、子供はよく見ていると感心する。
最近「将棋しよー」と娘が言うので、一緒に駒を並べて遊んでいたら、駒の並べ方を真似するようになった。駒の名前や動きは分からないが、一生懸命並べている姿は可愛いものだ。私と夫が指している様子を見ているので、チェスクロックも用意し、押す。見た目だけは本格的。我が家の一番落ち着いた遊び風景である。
ワンオペは苦労も多いが夫や周りの方々のサポートがあって、息抜きや対局が出来ている私は幸せ者だと思う。
これからも感謝を忘れず、対局に向け出来る努力をし、今しかない子供との時間を大切に過ごしていきたい。そう...この原稿も8キロの息子をワンオペで抱っこしながら書いている。
※写真はいずれも本人提供