終盤で受けるべきか、攻めるべきか?第42期女流王将戦予選、竹部女流四段VS渡部女流三段戦を解説【山口絵美菜女流1級の好局選】

終盤で受けるべきか、攻めるべきか?第42期女流王将戦予選、竹部女流四段VS渡部女流三段戦を解説【山口絵美菜女流1級の好局選】

ライター: 山口絵美菜女流1級  更新: 2020年02月26日

今回は第42期霧島酒造杯女流王将戦の予選より、竹部さゆり女流四段VS渡部愛女流三段の対局をお届けします。これまで相振り飛車や対抗形の将棋を取り上げてきましたが、本局は第1図のとおり相居飛車の将棋です。

【第1図は△3二金まで】

局面が動き出した第2図。▲5六角と据えて左右に睨みを利かせたところです。角は四方に睨みを利かすことができるので、自陣に打つときは「2つ以上の狙いを持たせる」ことを意識しましょう。本譜だと(1)▲2三角成の攻めや(2)▲7四角(3)▲7五歩からの桂頭狙いなどの楽しみがあります。後手としては△3四歩と受けても▲3五歩と合わされてあまり効果がありません。実戦は△3六歩▲4五桂と進んで一気に戦いが始まりました。

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竹部さゆり女流四段 第13期マイナビ女子オープン予選での模様(撮影:常盤秀樹)

【第2図は▲5六角】

先手が攻勢のまま迎えた第3図。△2一飛と回って▲2三銀成を防いだところです。攻めを継続したい先手の立場に立って、どう指すか考えてみてください。

【第3図は△2一飛まで】

実戦は▲3三銀成△同金▲3四歩と進みました。△同金に▲3二銀と打ち込んで絶好調。一方的に攻める理想的な展開です。以下△2二飛▲2三銀不成△3五金と進んで第4図。

細かいようですが、手順中▲2三銀不成で両取りをかけるのも覚えておきたい手の一つ。「成か不成か」の違いを考えられるようになったらぐっと力が付きます。

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渡部愛女流三段 第13期マイナビ女子オープン予選での模様(撮影:常盤秀樹)

【第4図は△3五金まで】

さて、第4図に戻りましょう。終盤戦です。お互いに飛車取りをかけている場面ですが、先手は飛車を逃げますか?それとも取り合いますか?まずは直感でどちらか選んでみてください。それから(1)取る(2)逃げる、それぞれの変化を考えて、どちらがいいか改めて結論を出してみましょう。

終盤で受けるべきか、攻めるべきかの判断はとても難しいものです。みなさんはどちらを選びましたか?第4図で▲2九飛と逃げると△2八歩▲同飛△3七銀のような紛れが生じます。先手優位に変わりはないかもしれませんが、「受けることで逆に攻め込まれてしまう」恐れがあります。

実戦は▲2二銀成△2六金と取り合い、▲3二飛と打って決めに出ました。先に王手がかかる形ができたのが大きく、以下△6一玉に▲8四桂と打ち、竹部女流四段が寄せきり、本選出場を決めました。

女流王将戦本選の模様は囲碁・将棋チャンネルにてご覧いただけますので、本選トーナメントの模様にもぜひご注目ください!

山口絵美菜女流1級の好局選

山口絵美菜女流1級

ライター山口絵美菜女流1級

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

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