ライター一瀬浩司
対ヒネリ飛車「カタ囲い」を組むときに角道は後回し、その理由は‥?「カタ囲い」を組む際の注意点
ライター: 一瀬浩司 更新: 2019年11月08日
前回のコラムでは、「カタ囲い」の組み方を見ていきました。今回は組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。それでは、まずは囲いの組むまでの手順の復習です。初手から、▲2六歩、▲2五歩、▲7八金、(△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩)▲3八銀、▲9六歩、▲4六歩、▲6九玉、▲6八銀、▲4七銀、▲7九玉、▲7六歩、▲7七角、▲8八玉(第1図)。
「カタ囲い」を組む際の注意点
【第1図は▲8八玉まで】
それでは、組む際の注意点を見ていきましょう。
組む際の注意点:前回、囲いを組むときに角道は後回しと書きました。その理由を見ていきましょう。第2図をご覧ください。
【第2図は△3四歩まで】
いま、後手が△3四歩と突いたところです。▲7六飛なら△6三銀▲4八玉△4一玉▲3九玉△4二銀のように、カタ囲いに組んでいけますが、▲3六飛と寄られるとどうでしょうか? 3四の歩を受けるには△3三金と受けるしかなく、それではカタ囲いに組みにくくなってしまいます。
もちろん、この後飛車が7六などに移動した後に△3二金と引けば組めなくもないですが、手損をしてしまいますね。△3四歩に代え、△4一玉▲7六飛△6三銀▲4八玉△4二銀▲6八銀△3一玉と進めれば、3三に金を上がらされることなくカタ囲いに組むことができます。続いて第3図です。
【第3図は△5四銀まで】
いま、▲5六銀△5四銀と進んだところです。▲3九玉△6三金となれば一局ですが、実は後手は危険な組み方をしていました。玉は4八ですが、▲7四歩と仕掛けられると△同歩は▲6四角△7三金に▲同角成△同桂▲7四飛△7二歩▲6四飛と強襲されると6三に受ける歩がなく、飛車を成り込まれて不利に陥ってしまいます。▲7四歩に対し、△6三金が受けの形ではありますが、▲7三歩成△同金に▲6四角! (第4図)の強手があります。
【第4図は▲6四角まで】
第4図で△6四同金は▲7一飛成が王手飛車になって決まりますし、△7二歩ではいかにもつらく、▲9七角と引き揚げられてこれもはっきり先手よしとなります。玉が2二なら▲6四角に△同金▲7一飛成△8四飛で先手は角損となり、さすがに無理な攻めとなります。玉が2二に入城するまでは、このような仕掛けには注意が必要です。
それでは、次に囲いの発展形を見ていきましょう。
囲いの発展形:第5図をご覧ください。
「カタ囲い」の発展形
【第5図は▲6七銀上まで】
第5図は第1図から、▲3八金、▲5六銀、▲4七金、▲6六歩、▲6五歩、▲6七銀上と進んだ局面です。角筋が通り、伸び伸びとしたきれいな形ですね。▲6七銀上では、▲6七銀引とより堅固にする形もあります。 また、第1図から▲7九銀、▲9八香、▲9九玉、▲8八銀と穴熊にする場合もまれにあったりもします。ですが、これだと6八に上がった銀をまた7九に戻さなければならず、二手無駄になった感もありますよね? そこで、次回はその二手をかけずに穴熊に組む方法を見ていきます。
玉の囲い方
監修杉本和陽四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。