第35期王将戦七番勝負第6局、▲中原誠王将ー△中村修六段戦で指された「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」の組み方とは?

第35期王将戦七番勝負第6局、▲中原誠王将ー△中村修六段戦で指された「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」の組み方とは?

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年10月01日

玉の囲い方

今回のコラムからは、ヒネリ飛車に対しての囲いをご紹介していきます。昭和の時代、ヒネリ飛車は猛威を振るい、「先手番の必勝戦法があるとしたらヒネリ飛車」とまで言われていました。タイトル戦でも指され、谷川浩司九段が当時の名人、加藤一二三九段を3勝2敗と追い詰めて迎えた第41期名人戦七番勝負第6局でヒネリ飛車を採用し、名人を奪取した将棋は有名です。

その後、居飛車側の対策も進歩していきましたが、さまざまな囲いが指されました。しばらくは順に見ていくことにします。今回の囲いは、「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」です。これはどんな囲いなのかを見ていきましょう。

対ヒネリ飛車4三金型舟囲いとは?

囲いの特徴:第1図をご覧ください。

【第1図は△3三金まで】

昭和61年3月13、14日、第35期王将戦七番勝負第6局、▲中原誠王将ー△中村修六段戦(肩書は当時)です。いま、▲3六飛と寄った手に対して、△3三金と受けたところです。金が上ずり、ひどい悪形に見えますが、ここから中村九段は陣形をまとめていきます。

第1図から、▲7五歩△8二飛▲9七角△4一玉▲8六飛△8四歩▲6六歩△4二銀▲6八銀△3二玉▲1六歩△4四歩▲4六歩△4三金(第2図)と進みました。

【第2図は△4三金まで】

第2図の後手の形を「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」としておきます。実は、第2図の形は正式な名称はないようです。何人かの棋士に聞いてみましたが、「そういえばなんていう囲いなんですかね?」と首をひねられるばかり。杉本四段と相談した結果、とりあえず4三金型舟囲いにしておきましょう、ということになりました。

先手番で指すなら6七金型になりますが、基本的にヒネリ飛車は先手で指されることが圧倒的に多いので、後手の符号にしておきました。なお、あくまでこのコラム内だけでの名称ですので、ご注意を。

さて、第2図ですが、後手の形は薄く、6一の金も7二へ上がったりしますが、その代わりに5三の地点が厚くなっております。現在、先手の角筋は8六に飛車、7五に先手、6四に後手の歩があり、何重にも止められていますが、▲7六飛と寄れば、▲6五歩△同歩▲7四歩で、一気に先手の角筋を通すことができます。このとき、4二の銀と4三の金がしっかりと5三の地点を守っているので、後手は安心ですね。

対ヒネリ飛車4三金型舟囲いに組むまでの手順

では、いつも通り先手側の駒だけを配置して、囲いに組むまでの手順を見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順:初手から、▲2六歩、▲2五歩、▲7八金、(△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩)▲3八銀、▲9六歩(第3図)。

【第3図は▲9六歩まで】

実際は後手番ですが、見やすいように先手側の配置で進めています。第3図から、▲4六歩、▲7六歩、(△7四飛)▲7七金(第4図)。

【第4図は▲7七金まで】

もし、相手が△7四飛と寄ってこなければ金を上がる必要はありませんので、別の囲い方になります。第4図から、▲6九玉、▲6八銀、▲7八玉、▲4七銀、▲6六歩、▲6七金(第5図)。

【第5図は▲6七金まで】

これでひとまず囲いは完成としておきます。次回は組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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