将棋コラム

伊藤果八段による詰め将棋の創り方講座、夢の中で作った奇跡の25手詰とは?

伊藤果八段による詰め将棋の創り方講座、夢の中で作った奇跡の25手詰とは?

更新: 2017年12月01日

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このコラムもシリーズ第3回です。前回の創り方・逆算式でチャレンジされた方はおられたでしょうか。今回は正算式という創り方をお話しましょう。

逆算式は、最後の詰みの部分が確定していて安定感があります。一方、正算式は収束部分が自由なので幅が広いという利点があるのです。

まず図(正算式)を見てください。

【正算式】

本作、実はまだ未完成で詰みません。17歳のとき、端に桂香のある、いわゆる実戦型を作りたくて、直観的にパラパラと駒を配置していったのです。玉方の配置は実戦の終盤のような雰囲気でこう決めました。攻駒の4四竜、3五角、3六歩はなんとなくの"勘"で、持駒もこんな感じかな?というものでした。

さて......妙な感覚ですが、創作しているのではなく、これは詰むのかと考えだしたら、惜しいことに際どく詰まないのです。

あと桂がもう1枚あれば詰むのだけれどと思い、持駒を角銀桂桂桂としてみました。とても信じられませんが、これで余詰も早詰もなく、完全作としてできていたのです。

まさに、正算式の奇跡でした。

【正算式完成編】

この奇跡から4年後、夢の中で詰将棋を作っていました。

攻駒4二角に、2五歩。玉方1三玉に、1二香。持駒飛1枚。こんな感じが浮かんでの正算式でした。(夢の詰将棋)夢の中ですから、すこぶる簡素な形ですね。(笑)

【夢の詰将棋】

......初手2四角成では2二玉で足りないか。おお、4三飛があるか。2三歩合なら2四角成、2二玉、3三馬からで詰み。となると、3三に中合だ!いけるかも。3三歩合は、同飛成、2三歩合、1四歩、同玉、2四竜で詰む。とすると、3三へは桂合になるか。同飛成、2三歩合、う~ん、惜しい、詰まない......

夢の中でもがいている自分がいました。

なぜだか、起きろ、起きろ、起きて創るんだ!と心が叫んだのです。目を覚ましてすぐにマグネット盤に配置すると、1五歩を追加しただけで、また奇跡の完全作を得たのでした。 正算式には、こういった不思議な奇跡に出会えるから面白いのです。

【夢の詰将棋完成版】

正算式で作ってみよう

では実例に入りましょうか。攻駒は4三竜だけです。これに玉方2二玉・2一桂・1一香と形よく並べたのが基本図です。

【基本図】

持駒を金にすれば頭金から3手で詰みますが、これは詰む将棋ですね。逆算式のときと同じく、やはりちょっとした発想は必要です。玉方に3二金と配置して、持駒桂桂とすれば、3四桂、3一玉、2三桂、同金、4二竜までと5手詰になります。

この3四桂を軸に違った視点で配置したのが、進展図1です。

【進展図1】

初手より3四桂、1二玉、3二竜、同銀、2二金までと同じ5手詰ですが、かなり印象が違いますね。

捨駒がある5手詰か、駒取りの5手詰がいいかの選択だけならもちろん前者となりますが、発展性からいえば後者に軍配が上がるのです。

進展図2は、玉を1二に移動して、持駒に金を加えたものです。 皆さん、詰みますか?

【進展図2】

初手2四桂は2二玉、3二桂成、同銀で詰みませんね。そこで、初手は2二金捨てが妙手となります。同金も同銀も、2四桂までなので、同玉と取るよりなく、進展図1に戻るわけですね。2二金はなかなかの感触でしょ。

持駒を飛桂として、初手2二飛捨てもカッコよく、これは好みが分かれそうです。

さて完成図は、もうひと捻りしたものです。

【完成図】

完成図から...▲2二金△同玉▲3四桂△1二玉▲1三歩△同桂▲3二竜△同銀▲2二金まで9手詰。

基本図から攻駒4三竜を、4三飛でも、4一竜でも、3四竜でも、そして4三馬としても作れます。正算式は自由自在ですから、色々とチャレンジしてみてください。

訂正のお詫び

第2回目の当コラムで掲載した詰将棋に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。

【誤】

【正】

上記にともない、本文も訂正しております。

伊藤果八段

ライター伊藤果八段

1950年京都市に生まれ、1963年奨励会6級で入門。1972年に東京に移り、高柳敏夫名誉九段門下となる。1975年に四段。1981年の第12期新人王戦で準優勝。1982年の第31回NHK杯で準優勝。竜王戦は、第9、10期と1組に在籍。2011年に現役引退。現役時代から詰将棋創作で定評があり、塚田賞も2度受賞している。風車戦法と呼ばれる独特の将棋を指し、若い頃から身嗜みがダンディであることでも知られてもいた。

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