将棋コラム

プロ棋士と将棋ソフト、最後の決戦。佐藤天彦叡王 VS Ponanza、第2期電王戦二番勝負の展望は?

プロ棋士と将棋ソフト、最後の決戦。佐藤天彦叡王 VS Ponanza、第2期電王戦二番勝負の展望は?

更新: 2017年03月31日

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プロ棋士の公式棋戦「叡王戦」の優勝者と、コンピュータ将棋ソフトの大会「将棋電王トーナメント」の優勝ソフトが戦う、第2期電王戦二番勝負が開催される。今期の出場者は、プロ棋士が佐藤天彦叡王、コンピュータ将棋ソフトがPonanza(ポナンザ)だ。

二番勝負のスケジュールは以下の通り。電王戦公式ページ
第1局:4月1日(土)「日光東照宮」(栃木県日光市)
第2局:5月20日(土)「姫路城」(兵庫県姫路市)

電王戦は今期がラストマッチ

第2期電王戦の記者発表会で、将棋電王戦は今期限りで終了することが発表されている。そこで、まずはこれまでの電王戦及び、電王戦以前のプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトとの戦いの歴史を簡単に振り返ってみよう。

~電王戦以前~

2007年 渡辺明竜王 ○-● ボナンザ
2010年 清水市代女流王将(当時) ●-○ あから2010

~電王戦開始後~

2012年 故・米長邦雄永世棋聖 ●-○ ボンクラーズ(第1回将棋電王戦)
2013年 現役プロ棋士代表5人 ●-○ コンピュータ将棋代表5ソフト(第2回将棋電王戦)
2014年 現役プロ棋士代表5人 ●-○ コンピュータ将棋代表5ソフト(第3回将棋電王戦)
2015年 現役プロ棋士代表5人 ○-● コンピュータ将棋代表5ソフト(将棋電王戦FINAL)
2016年 山崎隆之叡王 ●-○ Ponanza(第1期電王戦二番勝負)

以上が、これまでの戦いの歴史だ。

団体戦と二番勝負を1試合と見ると、過去に7戦して、人間側から見て2勝5敗、現役プロ棋士に限った場合でも2勝3敗とコンピュータが圧倒的に勝ち越している。

現在の電王戦は二番勝負のため、引き分けという結果もあるわけだが、コンピュータ将棋ソフトの進化を考えると、プロ棋士側が1勝を挙げれば勝ちに等しい最高の結果といえるだろう。

最強棋士と最強コンピュータ将棋ソフトの戦い

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第2期叡王戦三番勝負第2局 撮影:宮本橘

今期電王戦の出場者、佐藤天彦叡王といえば、名人のタイトルを保持している。現役タイトルホルダーがコンピュータ将棋ソフトと対戦するのは、2006年の渡辺竜王以来のこと。ラストマッチにふさわしい棋士の登場といえる。

佐藤叡王の2016年度の成績は32勝14敗(0.696)、通算成績は303勝130敗(0.6997)となっており、いずれも文句のつけようがない抜群の成績である。現在の棋界最強者が誰かというのは意見の分かれるところであろうが、佐藤叡王がその一角として名前が挙がることは間違いないだろう。

コンピュータ将棋ソフト代表のPonanzaも実績では引けをとらない。将棋電王トーナメントでは第1回優勝、第2回2位、第3回、第4回優勝と圧倒的な成績を残している。また、世界コンピュータ将棋選手権でも、2013年、14年が2位、15年、16年は連続優勝を果たしている。また、対プロ棋士の戦績は5戦全勝と、こちらも圧倒的な成績だ。

さらに、Ponanzaの恐ろしいところは、現在も恐るべきスピードで成長中であるということだ。開発者の山本一成さんによれば、今回優勝したPonanzaは、第3回大会優勝時のPonanzaに対して、なんと9割勝てるようになっているという。

トッププロ同士の戦いでは、戦績に9割もの差がつくことはまずありえない。もちろん、コンピュータには体力的な問題や、精神的な揺れ、好不調の波などがないため、人間同士の戦いと同じ土俵では比較できないが、それを差し引いても今年度のPonanzaの実力は計り知れないものといえるだろう。

戦いの展望は

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第2期叡王戦三番勝負第2局 撮影:宮本橘

まず両者の棋風だが、佐藤叡王は居飛車党で、特に横歩取りでは無類の強さを誇る。それ以外の戦型も十分な安定感があり、どんな戦型になっても隙はない。一方のPonanzaは、序盤から定跡に頼らずに指すことが多く、力戦派といえるだろう。

Ponanzaの序盤傾向から、戦型は非定跡形の力将棋が予想されるところ。じっくりと囲い合う将棋にはなりにくく、攻めと受け、両方の力が必要とされる戦いになるだろう。

佐藤叡王は基本的に受け将棋といわれるが、その特徴は力将棋をバランスよく指しこなすのに向いている。また、人間同士の勝負では、ほぼ互角の状況なら攻めているほうが勝ちやすい傾向があるが、受け間違いの少ないコンピュータ将棋に対しては、その傾向は当てはまらない。対コンピュータ戦では無理攻めをしないことが重要で、その点でも受け将棋の佐藤叡王は相性がいいと思われる。

最後に勝敗の予想だが、コンピュータ将棋ソフトが現在も進化を続けていることを考えると、佐藤叡王の実力と対コンピュータ将棋戦の適正を加味しても厳しい戦いになるというのが正直な予想だ。数字でいうと、勝利の可能性は40%あるかどうか、というところか。しかし、将棋ファンとしては、現役名人には特別な力があると思いたい。佐藤叡王なら必ず勝ってくれると信じて、決戦の日を楽しみに待つとしよう。

宮本橘

ライター宮本橘

1990年から印刷プロダクションでライター兼デザイナーに従事。2009年に独立してフリーライターとなる。2010年、日本将棋連盟のネット中継記者(ペンネームは八雲)を担当。2016年より棋王戦の新聞観戦記を執筆。ほか、マイナビニュースで電王戦関連の記事を執筆

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