ライター山口絵美菜
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。
ライター: 山口絵美菜 更新: 2016年12月27日
女流棋士番号55番、新米女流棋士の山口絵美菜です。この度、当コラムを書かせていただくことになりました。お付き合いのほどよろしくお願い致します!2014年10月に女流3級でデビュー。今年4月に正式な女流棋士である女流2級に昇級し、ようやくあまり緊張せずにお仕事ができるようになってきました。
それはもちろん、対局です。公式戦は全部で6棋戦。非公式戦を合わせると年間で数局~多い人で数十局というところ。
そしてもう一つの大事なお仕事。それは「普及」です。イベント、指導対局、講座、講演などなど・・・中でも大盤解説の「聞き手」はテレビやネットでも楽しめるおなじみのお仕事ですね。
実は「こうするべき」といったマニュアルは存在していません。解説者との掛け合いに質問やエピソードを交えつつ、一局を通して解説を行うのですが、慣れるまでは先輩方にコツを教えていただいたり、解説者と聞き手の一人二役を演じながら棋譜並べを行う「一人大盤解説会」に毎日いそしんだものでした。先輩方のやり方を「見て学ぶ」ことも多いですね。
私の聞き手デビューは第40期棋王戦五番勝負第3局、関西将棋会館での大盤解説でした。解説の先生は関西が誇る「妖刀流」福崎文吾九段。ご飯がのどを通らないほどに緊張して迎えた本番でしたが、福崎先生の軽快なリードのもと、「二歩は反則だが三歩はセーフ」「香車はこう(相手の香車を寝返らせてさらに飛車をとる)」といった笑いの手裏剣が四方八方から飛んでくる・・・まさに「関西流」の大盤解説を体感できたのはいい思い出です。
大盤解説本番はとても緊張するもの。しっかりと準備をして臨みます。
といった情報は要チェック。現地大盤解説ではさらに
などが加わります。
もちろんこれらを全部丸暗記してお話しする・・・なんてことはなく、実際に使っている情報は半分にも満たない程度。事前準備は大舞台で行われる一局に最後までお供させていただくからには、という自分なりの心掛けであり、勉強でもあります。
女流棋士によって十人十色な「聞き手」。私は「聞く」と「話す」のバランスの中で先生と生徒の中間のような、橋渡し的存在になれたらいいなと思っています。
手に汗握る勝負の行方を、一緒に味わいませんか?ぜひ大盤解説にお越しください!お待ちしています。
ライター山口絵美菜