佐々木がタイトル初挑戦 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

佐々木がタイトル初挑戦 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年08月26日

 竜王戦挑戦者決定戦は佐々木勇気八段が2連勝。大舞台への初登場を決め、藤井聡太竜王との七番勝負へ臨みます。清麗戦は福間香奈清麗が2勝1敗とリードし、クイーン資格まであと1勝となりました。

大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第3局

【第1図は△5三同金まで】

 第1図は大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第3局(▲福間香奈清麗△加藤桃子女流四段)。先手玉も不安な形ですが、桂を渡さなければ少し余裕があります。▲4二歩△4五桂▲4一歩成が「玉は下段に落とせ」の軽い寄せ。△同玉なら▲3三銀と縛る手が厳しくなります。実戦は△4四銀と立ちましたが、▲4二角で後手玉は寄り筋に入りました。福間清麗が2勝目をあげて、防衛、そしてクイーン清麗まであと1勝です。

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写真:八雲

第37期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第2局

【第2図は▲3五角まで】

 第2図は第37期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第2局(▲広瀬章人九段△佐々木勇気八段)。後手の苦戦が続いていますが、何とか勝負に持ち込みたいところ。眠っていた飛車を△8三飛と「遊び駒は活用せよ」と使っていきます。次に△6六角▲同金△8七飛成を見せて、先手の攻めを催促しています。局面としては苦しいままですが、この後に先手が決め方を誤り逆転。佐々木八段が初のタイトル戦登場を決めました。

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写真:文

第83期順位戦A級

【第3図は▲3四歩まで】

 第3図は第83期順位戦A級(▲豊島将之九段△渡辺明九段)。名人戦で顔を合わせたこともあるカードです。△5二香が「下段の香に力あり」の絶好手。攻防に非常によく利いた位置です。以下▲3三歩成△同竜▲2九飛△2四香▲3四歩と進みましたが、香の効果で△5三竜が詰めろ。仕方のない▲5四銀に△2九香成と取って決めにいき、後手が押し切りました。

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写真:飛龍

第83期順位戦B級2組

【第4図は△7六銀まで】

 第4図は第83期順位戦B級2組3回戦(▲伊藤匠叡王△屋敷伸之九段)。相掛かりから攻め合いの終盤ですが、▲7一銀が「要の金を狙え」の厳しい一着。金をかわせば▲9七角が痛打になります。実戦は△8九角の攻め合いですが、▲6二銀成△同玉▲7九金打が冷静な指し回し。3連勝と星を伸ばし、連続昇級に向けて快走しています。

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写真:紋蛇

第74回NHK杯戦本戦

【第5図は△6一桂まで】

 第5図は第74回NHK杯戦本戦(▲小山怜央四段△谷川浩司十七世名人)。飛車取りになっていますが局面は終盤です。▲7四歩△6五桂▲7三歩成△同金▲4五銀と「終盤は駒の損得より速度」で決めにいきました。後手は飛車を取っている余裕がありません。以下△9五角▲6二銀まで後手投了。本局の勝利で小山四段は規定の成績を満たし、順位戦参加を決めました。

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写真:田名後健吾

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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