ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2024年08月06日
王位戦第3局はギリギリの戦いを制し、藤井聡太王位が2勝目をあげました。王座戦は永瀬拓矢九段がリターンマッチに挑みます。竜王戦では佐々木勇気八段が初のタイトル戦まであと1勝と迫っています。
【第1図は▲3四歩まで】
第1図は伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負第3局(▲藤井聡太王位△渡辺明九段)。1勝1敗で迎えた第3局です。この▲3四歩は厳しい攻めですが、△4四歩が「大駒は近付けて受けよ」の好手。▲4四同角なら△4三金右と手厚く受けることができます。また、玉を広くした意味もあり、後手ペースの戦いが続きました。最後は互いに技を繰り出す激戦の終盤になりましたが、藤井王位がからくも逆転勝ちを収めました。
写真:武蔵
【第2図は△6一飛まで】
第2図は大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第2局(▲加藤桃子女流四段△福間香奈清麗)。先手優勢で後はどう決めるか。▲6四桂が好手でした。△同玉なら▲6八金から▲6五飛が痛打です。実戦は△6二金と粘りましたが、▲6八金△同銀不成▲6五金で「玉は包むように寄せよ」が実現し、受けが難しくなりました。以下も的確に寄せ切って挑戦者の勝利。1勝1敗となりました。
写真:牛蒡
【第3図は▲8五銀まで】
第3図は第72期王座戦挑戦者決定戦(▲羽生善治九段△永瀬拓矢九段)。後手の猛攻に先手が何とか粘ろうという局面です。飛車を逃げるようでは先手も持ち直せますが、△8五同飛▲同歩△8六銀が決め手。▲同玉なら△6八竜▲同金△7六金があります。▲7八玉は仕方がないですが、「玉は下段に落とせ」が実現し、△7六桂で後手勝勢となりました。永瀬九段は昨年と立場を代えての戦いとなります。
写真:八雲
【第4図は▲8六同歩まで】
第4図は第37期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第1局(▲佐々木勇気八段△広瀬章人九段)。角換わりから激しい攻め合いです。△4七銀のような筋もありますが、すでに局面は終盤の入口です。△8七銀が「要の金を狙え」の攻め。対する先手も負けじと▲4三銀と返して一気に寄せ合いです。以下は際どい攻め合いになりましたが、途中からは先手が抜け出し、押し切っています。勝った佐々木八段は初のタイトル挑戦まであと1勝です。
写真:牛蒡
【第5図は△3六歩まで】
第5図はヒューリック杯第4期女流順位戦A級プレーオフ(▲福間香奈女流五冠△伊藤沙恵女流四段)。リーグ最終戦で伊藤女流四段が直接対決で勝ち、プレーオフで再戦となりました。相振り飛車から先手玉に迫っていますが、▲5九歩が「金底の歩、岩よりも堅し」で鉄壁です。△3七歩成▲同玉△9九竜に▲6五歩から押し切りました。白玲戦七番勝負は3期連続で同じカードです。
写真:虹
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段