ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2021年12月22日
竜王戦は挑戦者が4連勝で奪取。史上最年少の四冠となり、新時代の幕開けとなりました。また女流タイトル戦では里見香奈女流五冠を中心に西山朋佳女流三冠、加藤桃子女流三段と激しくぶつかっています。
【第1図は▲3五桂まで】
第1図は第34期竜王戦七番勝負第4局(▲豊島将之竜王△藤井聡太王位・叡王・棋聖)。角換わり腰掛け銀の難解な戦いです。図の▲3五桂には△3四銀とかわしたくなりますが、▲4三桂成から先手の攻めが続きます。実戦は「両取り逃げるべからず」で△8五桂と攻め合いました。次に△6六角から△7七銀があるので▲8六銀と桂頭の銀で受け、△7七歩成から際どい終盤戦となりました。最後は鋭い切れ味を見せた藤井王位・叡王・棋聖が制し、4連勝で竜王位を奪取しました。
写真:日本将棋連盟
【第2図は▲5三同馬まで】
第2図は第43期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第3局(▲西山朋佳女流王将△里見香奈女流四冠)。後手が押されている将棋でしたが辛抱を実らせ、図では勝ち筋に入っています。△5七歩▲5八歩△7七歩▲同金△8九飛▲7八金打△8八金まで先手投了。勝ちの局面の時は「寄せは俗手で」の通り自然に攻めるのが一番です。女流四冠対決を制した里見女流四冠が、女流王将復位で五冠になりました。
写真:日本将棋連盟
【第3図は▲3一角成まで】
第3図は第3期大成建設杯清麗戦五番勝負第4局(▲加藤桃子女流三段△里見香奈清麗)。すでに130手を超える長期戦となっている局面ですが、駒得の後手が優勢です。ガッチリと△6三馬が「馬は自陣に引け」の手堅い一手で、後手陣は一気に引き締まりました。以下は馬の厚みを生かして7筋から押しつぶす攻めを実現させ、後手が制勝しています。決着は最終第5局へ。
写真:日本将棋連盟
【第4図は▲3九玉まで】
第4図は第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第2局(▲西山朋佳女流王座△里見香奈女流五冠)。相振り飛車から後手の里見女流五冠が強気な指し回しを見せて激しくなりました。次の▲9一飛成の詰みを受けて、△7一玉が「玉の早逃げ八手の得」です。先手も▲5四桂と退路を封鎖して迫りますが、△8一銀が際どいしのぎ。以下先手も迫っていきましたが後手は丁寧に対応し、持駒が増えたところで先手玉を即詰みに打ち取っています。
写真:常盤秀樹
【第5図は▲4三歩成まで】
第5図は第29期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第1局(▲加藤桃子女流三段△里見香奈倉敷藤花)。玉頭方面でポイントをあげた後手が優勢の局面です。△4五角が「角筋は受けにくし」の厳しい王手で、▲6七歩は△同歩成から△6六歩で受けになりません。実戦は▲8八玉とかわしましたが△6七金と打ち込む数の攻めが厳しく、以下は素早く寄せ切りました。
写真:日本将棋連盟
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段