ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2021年09月16日
藤井聡太棋聖は3連勝でタイトル初防衛。そして豊島将之竜王とのダブルタイトル戦が続きます。注目の第1期ヒューリック杯白玲戦七番勝負の組み合わせも決まりました。
【第1図は▲5五歩まで】
第1図は第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局(▲渡辺明名人△藤井聡太棋聖)。矢倉対雁木の急戦です。おとなしく指すなら△2三歩ですが、実戦は△2六歩と「大駒は近付けて受けよ」の手筋で対抗しました。▲同飛なら△2五歩(▲同飛は△3三桂)と先手で飛車先を止めることができます。以下は▲4六銀△8五桂▲8六歩から熱戦が続きましたが、最後は藤井棋聖が競り勝って3連勝での防衛を果たしています。
写真:日本将棋連盟
【第2図は△3三同銀まで】
第2図はお~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第2局(▲豊島将之竜王△藤井聡太王位)。先手が優位に進めていましたが、後手も粘り強い指し回しで決め手を与えず、局面は混戦になりつつあります。▲5九玉は「玉の早逃げ八手の得」ですが、△9九金とそっぽに行きながら香を拾うのが好手で差が詰まりました。以下▲4五桂△8九竜▲6九銀△4四銀から後手が逆転勝ちを収めて、七番勝負を1勝1敗としています。
写真:日本将棋連盟
【第3図は▲4五桂まで】
第3図は第1期ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦順位決定トーナメント(▲加藤圭女流二段△西山朋佳女流三冠)。トーナメント準決勝で、勝てば七番勝負に出場が決まる大一番です。▲4五桂と跳ねて歩切れも解消したところですが、△5二歩が「桂の高跳び歩の餌食」を狙った冷静な受け。▲6五歩に△5四銀▲4六歩△4四歩と桂を捕獲して後手有利となりました。以下は快勝し、西山女流三冠が七番勝負出場を決めました。
【第4図は△6二玉まで】
第4図はヒューリック杯白玲戦・女流順位戦順位決定トーナメント(▲渡部愛女流三段△里見香奈女流四冠)。形勢の揺れ動く熱戦でしたが、ここでは先手がチャンスを迎えています。▲5五香が「玉は包むように寄せよ」で、歩の裏を突いた厳しい攻め。以下△7七歩成▲同桂△6九銀と攻めましたが、▲5八歩で先手の一手勝ちです。渡部女流三段が大敵を下し、七番勝負進出を決めました。
写真:日本将棋連盟
【第5図は▲7七桂まで】
第5図は第3期大成建設杯清麗戦挑戦者決定戦(▲鈴木環那女流三段△加藤桃子女流三段)。雁木対右四間の乱打戦です。△4四歩が「歩越し銀には歩で対抗」の落ち着いた一手。4六の銀と3七の桂を目標にすれば、先手は△3七角の筋が気になります。以下▲6五桂△同飛▲2四歩△同歩▲3五歩と攻めましたが、△4五桂と跳ねて△4四歩が生きています。形勢は難解でしたが、終盤で加藤女流三段が抜け出して挑戦権を獲得しました。
写真:日本将棋連盟
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段