【PR:ローソン×木村一基九段】ひたむきに煌めく

【PR:ローソン×木村一基九段】ひたむきに煌めく"中年の星"は、走って休んで整える――木村一基九段の素顔

ライター: 藤田華子  更新: 2021年08月05日

スイーツを口にする時間は、ホッと一息つき、素の自分に戻るとき。今回はローソンの「プレミアムロールケーキ」を食べながら、木村一基九段の素顔に迫ります。
46歳、史上最年長で木村九段が悲願の初タイトルを獲得したあの夜、うれし涙をぬぐう姿にもらい泣きをした方は少なくないでしょう。"中年の星"と呼ばれ観るものの心を熱くさせる人気は、対局のみならずイベントでも全開。対局者に寄り添うコメントに自虐ネタを織り交ぜ、誰にも響くように将棋の面白さを伝えます。"おじおじ"というチャーミングなあだ名は、そんなお人柄をファンが慕っている証。
歳を重ねるということ、コンディションの整え方、大人気解説の心掛け、結婚20年目を迎えた心境などを伺いました。ひたむきに煌めく"中年の星"・木村九段の、軽快なトークをどうぞ。

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ジョギングと好きな香りでコンディションを整える

――木村九段はジョギングをされているんですよね。

走っているシーンは一度だけ撮影していただきました。ゼーゼーしちゃって汗だくで(笑)。

――今回は、リラックスグッズとして挙げていただいた「香り」をテーマに撮影しました。どう取り入れているんですか?

知り合いの方にいただいたのがきっかけで、ぐっすり眠りたくて使っています。いろいろ持っているのですが、よく使うのはクナイプの「Gute Nacht」というバスソルトと、デイリーディライトの「夜用リラックスブレンド」。気分良くぐっすり眠れればという感じですね。

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――――寝付けないことが多いんですか?

そうなんです、緊張感からでしょうね。睡眠の大切さを強く意識するようになったのは、やっぱり2日制のタイトル戦に出てからです。疲れが残ったまま寝不足だと悪影響を及ぼすので、なるべくなら解消しようと。ずいぶん前ですが、ある先輩棋士に「眠れないときはどうされていますか?」って聞いたんですよ。そしたら「眠るようにしています」って。答えになっていない(笑)。

――他に、睡眠のために気を使われていることはありますか?

入浴ですね。温泉地でのタイトル戦でも、お風呂に長く入りすぎないようにしています。温泉を満喫できないのってキツいものがあるんですけど、それは終わってからゆっくりと。逆に温泉地じゃない場合は、お部屋の内風呂で使う入浴剤を持っていきます。少しでもうまく眠りたくて、コンディション作りの重要な要素です。まぁでもこうして健康に気を使っても、酒を呑んでしまってはね...。

――(笑)、木村九段はお酒好きとしても知られています。

美味しいお刺身に辛口の日本酒、そんな組み合わせが一番好きです。でも日本酒はすぐにアウト、酔っ払ってしまうのでビールが多いですね。特にこの季節になると、夕方ひとっ走りしてシャワーを浴びて、ビールをゴクッと!

――たまりませんね...!

でしょう?でも妻は、アルコールは将棋の成績に良くないという固定観念があるらしく「我慢すれば」ってうるさいのよ(笑)。私も若い頃は呑み過ぎて次の日に対応しきれないということがありましたが、少しずつ身体も変化してお酒に弱くなりますからね。今はほどほどに、二日酔いにはならない程度にしています。どうしても終盤、詰むか詰まないかっていう場面で冷静にクールダウンするのが課題になってくるんですけど、ふだん呑み過ぎていると頭に血が上りやすくなっちゃうのかなと。

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――中学生の頃から体重が1kgも変わっていないというのは、本当ですか?

今も体重は変わっていません。私、小学校低学年の頃は、服のサイズがないくらい太っていたんですよ。それを改善するために友人が誘ってくれて走り始めて、だんだんとひとりでも走る習慣が身につきました。プロになってからおろそかになってしまう日もあるんですけど、なるべく1日6~7kmを40分くらいかけて走っています。ちゃんとやって少し体重を絞っていたほうが、やっぱりずっと座って考えているときには楽です。あと、気のせいかもしれませんが、運動していたほうが疲れの回復が早い気がします。トーナメントプロとしてやっていくうえでは、私には好影響がありますね。

――走っている最中は何をお考えに?

将棋について考えることもありますが、一番気持ち良いのは何も考えない状態です。それこそ花が咲いているなとか、桜の時期は良いですよね。逆に冬は寒いでしょう、「冷えるから辞めよう」「雨降ればいいのにな」って家を出るまで思ってます(笑)。でもどんな天気でも、走ったあとは爽快感があるんですよね。

解説は、将棋のルールを知らない方にも何かひとつ収穫があるように

――ABEMAトーナメントの「チームエンジェル」、和気あいあいとしている様子がすごく微笑ましいです。

そうですね、いっつも冷静な池永(天志五段)さんと、その対極にいるかのような佐々木(勇気七段)さんとで、我ながら良いチームかなと思っています。ただ50手前で天使の羽をつけるのは想定外でした。成り行き上仕方なく...。

――木村九段のまわりは、解説の聞き手の方もファンの方も笑顔が絶えない印象なのですが、ご本人は言葉の端々に、自虐的、悲観的な一面も垣間見えます。

勝負の世界においては楽観的なほうが良いのかなぁという気はしますので、できれば直したいところではあります。でも性分なので、しょうがないんですよね。

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――対局の際はスイッチを切り替えているんですか?

いや、悲観的なのは変わらずです。この歳になると、ミスが多くなるんですよ。まぁ必ずミスも後悔もするんですけど、なるべくマイナスなことが少ないようにとは思います。そういう意味では、同じ将棋の仕事でも対局の日と解説やイベントの日は心持ちが違いますね。

――ユーモア溢れる解説も大人気で、私のまわりには木村九段をきっかけに将棋ファンになった方も多いです。解説をする際に心掛けていることを教えてください。

極端に言うと、ルールをきちんと覚えていない方も何かひとつ「分かった」と思っていただける話ができればということです。棋士はどうしても職人・技術屋という面を持っているので、難しい話をしてしまいがち。ところが、解説を聞かれる方は将棋が強い方もいればそうでない方もいらっしゃる。だいぶ前ですが、それに気付いてからは聞いている方にひとつだけでも「分かった」と収穫を持って帰っていただければと意識しています。そうしたら、来て良かったとまでは思わないにしても「こういうものか」となるじゃないですか。それがゼロだと離れてしまう。

――ルールを覚えていない方にも伝わる何かとは、具体的にはどんな話題ですか?

対局者の心情、ですかね。もちろん私も対局者に敬意を持ったうえで憶測で話すんですけど、そのときどう思ってこの手を指しているか。手の意味が分からなくても、プレッシャーがかかっているときの気持ちだったら想像しやすいですし、聞いている方も100%じゃないにしても何かしら分かったような気分になっていただけるのではないかと思うんです。前に、近藤正和(七段)さんが1時間の解説会で将棋の手の解説を一度もせずに終わったことがあるんですよ。観戦記の話とか、それこそ棋士の心情を話して。それは私、素晴らしいなと思いました。将棋を知らない方も楽しめる。目標というか、ひとつの理想です。

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歳を重ねて、良いことはひとつもない。それを意識して過ごす。

――46歳・史上最年長で初タイトルを獲得し、「中年の星」との呼び名もある木村九段にとって、歳を重ねるのはどんな感覚ですか?

歳を重ねて、良いことはひとつもないです。

――ひとつも、ですか?

そう、ひとつも。やっぱり手が読めるかと聞かれたら読めないし、見えるかと聞かれたら見える範囲は狭まってくる。これはもう否定のしようのない事実で、いかに防ぐかということを常に意識しています。そして歳を重ねて何が一番できなくなるかって、辛抱することなんですよ。持ち時間の長い対局では、辛抱が大事な場面があるんです。不利なときに打って出ようとして自爆行為になる場合もあるから、辛抱して相手が焦れて決めにくるのを待つことで好転する局面もあって。それなのに、もうちょっと我慢すればいいところを動くから負けるんです。これが勝率の低下につながる一因です。

――一方で、 ABEMAトーナメントで「早指しは若手有利」の定説を吹き飛ばす強さで本戦出場を決められました。

いろんな見方があると思いますけど、早指しでなぜベテランが意外に勝てるかというと、大きな理由のひとつは我慢せずに指しても致命傷にならない、むしろ辛抱せずに指した手が、たまたま相手に刺さることもあるからだと思います。早差しの場合手が見えないというマイナスは防ぎようがないですし、手の見え方が狭くなることで一番の急所が緩和されるからかなと、個人的には考えています。...これを読んだ棋士の後輩に、「ああ、木村は我慢できないんだな」「こっちが動かなければ何とかなるな」って思われるかもしれませんね(笑)。

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――ご家族と一緒に過ごす時間も、素の自分に戻れる時間です。木村九段が奥様とご結婚を決めた理由が、「お互いに気を使わないから」だと伺いました。ご結婚20年目を迎える今、夫婦円満の秘訣を教えてください。

そうですね、20年......(しばし沈黙)20年目って、今言われるまで気付いてなかったや(笑)。

――ええっ!

はははははっ!マズいマズい、そういえばそうでした(笑)。夫婦円満の秘訣なんてないですよ、感謝もあれば文句もありますし。あまりそういうことを意識しないで生活してきたというのが、良いことなのではないでしょうか。生活に関するストレスはそんなに溜まっていないです。これも走っているからですよ(笑)。

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――木村九段の昼食は、奥様のお手製のお弁当だそうですね。

娘がお弁当なので、ついでという感じで。もともと昼に食べたくないときがあるんですよ。食べて眠くなるのがイヤだったり、どうしても休憩中に考えたいときもあって。でもせっかく作ってもらったお弁当に手をつけずに持ち帰ったら、たぶん嬉しくはない、いや、それとは違った感情が芽生えるはずなんです。こんな感情(頭に角が生えるポーズ)。それが怖くて食べるようにしています(笑)。あまり空腹でも、イライラしてさっきお話ししたような辛抱ができなくなりますし。

――どんなおかずがお好きですか?

唐揚げですね。あとはトンカツ。負けたときと同じおかずが続かないようにしてくれているみたいです。それ以外ではあまりゲン担ぎはしません。

――今日は私服でお越しいただきましたが、ポイントを教えてください。

青系の服が好きです。下は白にしようかと思ったんですが、せっかくなので娘に聞いたら「黒のほうが痩せて見える」と。予定変更しました(笑)。

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甘すぎないクリームがコーヒーとぴったり。「プレミアムロールケーキ」

――では、お話も進んだところでおやつタイムに入ります。今日はローソンの「プレミアムロールケーキ」をお召し上がりいただきますが、お味はいかがですか?

クリームたっぷりなところが目を引いて、ロールケーキを選びました。コーヒーが好きなんですけど、生クリームの甘さが一緒に出していただいたコーヒーと合いますね。たまに、お酒を飲む方は甘いものを好まないように言われますが、私の場合はそんなことはないですし、このロールケーキは甘過ぎず上品な味なので、みなさん喜ばれるのではと思います。

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――対局中のおやつの想い出を教えてください。

タイトル戦のときは和菓子を頼むことが多かったですね。下を向いていているときにきれいな和菓子を見ると、ちょっとですけど、美しい景色を観た気持ちになって和みました。コーヒーが好きなものだから一緒に注文すると「それは合わないね」なんて言われて(笑)。私が修行していた時代は、あまり対局中に飲食するのが良しと思われていなかったんです。奨励会は持ち時間が短くてそんな余裕がなかったというのもあります。最近はタイトル戦などが中継され、食べ物が「将棋めし」として注目されるようになったのかなと思います。良い文化ですよね。私は昼間はあまり食べないので、昼食を食べないときにこういうロールケーキなどのスイーツがあると、腹持ちも良いです。

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10問アンケート

インタビューで聞ききれなかった10の質問を、木村一基九段に伺いました。

Q1
お名前の由来は?
木村
親が「一」がつく名前が良かったみたいで、「かずき」と「いっぺい」が候補だったとか。横の線が多くて書きやすいです。
Q2
おすすめのお酒を教えてください。
木村
そのときどきによって変わりますが、将棋とゆかりがある山形県天童市の「出羽桜」でしょうか。呑むときはあまり食べなくて、お酒だけっていう感じです。
Q3
映画がお好きだと伺いました。お気に入りのタイトルを教えてください。
木村
『ニュー・シネマ・パラダイス』です。今はトーナメントに必死であまり余裕がなくて新作を観られないんですよね。引退したら映画を観たいなって思うこともあるんですけど、何だかんだ冷静に考えると、今の生活を続けたいんです。トーナメントをやって勝ったり負けたりドキドキする、そのためのコンディションを走って作って――今のままが続けば幸せかなと思います。
Q4
奨励会時代、尊敬していた棋士の先生は?
木村
青野(照市九段)先生ですね。研究肌なところが好きでした。
Q5
チャレンジしてみたいことはありますか?
木村
鹿児島の枕崎(本土最南端の駅)から、北海道の稚内(日本最北端の駅)まで電車で行ってみたいですね。昔ね、電車に乗るのが好きだったんですよ。本を読んだり考え事をしているだけでも楽しくて。青春18切符で高校一年のときは大分に行って、高二のときには釧路や網走まで行ったんです。稚内までは無理で断念して。その頃に比べたら体力はないんですが、憧れはありますね。

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Q6
木村九段は、Twitterをご覧になっているのでしょうか?まさか見られているとは思っていなかった!とファンの方が驚き&興奮されていました。
木村
Twitterを見ることはありますね。応援は、間違いなく励みになっています。
Q7
将棋以外で、最近幸せを感じた瞬間を教えてください。
木村
ささやかなもんですが、走って、湯船に浸かって「あぁ...」というときと、お風呂上がりにビールを呑んで「あぁ...」というときです。たまらなく幸せを感じます。
Q8
いつか行ってみたい場所はどこかありますか?
木村
先ほどの電車の旅と、島根、鳥取、和歌山は滞在したことがないので行ってみたいです。
Q9
10年後、どんな棋士になっていたいですか?
木村
今とまったく変わらず、現役でやっていたいです。
Q10
ファンの方へメッセージをお願いします。
木村
イベントなどもなるべく良い成績の状態でお目にかかれれば、それが一番かなと思います。一生懸命やっていければと思いますので、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。

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写真:阿部吉泰

九段木村一基

木村一基九段

1973年6月23日生まれ。千葉県四街道市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。1985年に奨励会入会、97年に四段。2001年度、61勝を挙げて将棋大賞で3部門(勝率、最多勝利、最多対局)を受賞。2005年10月、第18期竜王戦でタイトル初挑戦。2017年12月、将棋栄誉賞(通算600勝達成)。2019年9月、第60期王位戦で豊島将之王位を破り、46歳という史上最年長で初タイトル獲得。「中年の星」と世間の注目を集めた。棋戦優勝は新人王戦と朝日杯将棋オープン戦の2回。どんな攻めも跳ね返す受けの強さから「千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれるほか、ウィットに富んだ解説でファンから「おじおじ」と慕われる。

ローソン×日本将棋連盟 コラム

藤田華子

ライター藤田華子

音楽雑誌の編集者を経て、現在は企業のコンテンツ制作を手掛けています。SDGsやライフスタイルについての連載も執筆。趣味は将棋(将棋ペンクラブのお手伝い)、お風呂(温泉ソムリエです)、読書。観る将・読む将として、将棋の魅力をお伝えしていきます!

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