ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2021年06月17日
名人戦は渡辺名人の強さが光り白星先行。王位戦では豊島竜王と羽生九段が挑戦者決定戦に進出しました。また、桐山九段が負けたら引退の大一番に勝ち、現役続行を決めています。
【第1図は▲5五歩まで】
第1図は第79期名人戦七番勝負第3局(▲斎藤慎太郎八段△渡辺明名人)。急戦矢倉の戦いで、▲5五歩と合わせていよいよ中盤戦の様相です。△7五歩が「開戦は歩の突き捨てから」で、▲同歩なら後に桂を跳ねた後に△7七歩の筋が生じ、攻めの幅が広がります。実戦は▲2四歩△同歩▲2五歩で激しい流れになりましたが、最後は7筋から反撃を決めて後手が制勝しています。
写真:飛龍
【第2図は△2六桂まで】
第2図は第14期マイナビ女子オープン五番勝負第3局(▲西山朋佳女王△伊藤沙恵女流三段)。相振り飛車の終盤戦です。桂の王手に逃げる場所は6か所ありますが、当然▲2七玉が「桂頭の玉寄せにくし」です。飛車しか持っていない後手に追撃される心配はありません。以下は反撃に回って先手が寄せ切りました。
写真:常盤秀樹
【第3図は▲6八金まで】
第3図はお~いお茶杯第62期王位戦挑戦者決定リーグ白組(▲佐々木大地五段△羽生善治九段)。挑戦争いをする3勝1敗同士の対決です。飛車を押さえ込まれていますが△7六歩▲5八金寄△7七歩成が「と金の遅早」で確実な攻め。▲8二歩△7一飛▲3三歩成△同桂▲2四飛の反撃に△3七歩成▲同桂△3六歩と2枚目のと金を作りにいき、先手玉は粘りが利かない格好になりました。競争相手の永瀬拓矢王座が敗れたため、羽生九段が挑戦者決定戦に進出です。
写真:睡蓮
【第4図は△9三香まで】
第4図はお~いお茶杯第62期王位戦挑戦者決定リーグ紅組(▲豊島将之竜王△片上大輔七段)。すぐに先手玉に対する攻めがあるわけではありませんが、角を渡すと△8七角で一気に危険になります。▲6九玉が「玉の早逃げ八手の得」で、△8七銀成にさらに▲5九玉と逃げて先手玉が安全になりました。以下△4四銀に▲7五角△7四銀▲9三角成△同玉▲8九香と強く踏み込んで優位を拡大しました。こちらも競争相手の木村一基九段と澤田真吾七段が敗れたため、豊島竜王が挑戦者決定戦に進出しました。
写真:睡蓮
【第5図は△3六歩まで】
写真:夏芽
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段