チーム豊島VSチーム木村 第4回ABEMAトーナメント~予選Cリーグ第一試合振り返り~

チーム豊島VSチーム木村 第4回ABEMAトーナメント~予選Cリーグ第一試合振り返り~

ライター: 相崎修司  更新: 2021年05月25日

 5月22日(土)に放映された第4回ABEMAトーナメントの予選Cリーグ第一試合、チーム豊島「スリースタービクトリーズ」(豊島将之竜王、大橋貴洸六段、佐々木大地五段)対チーム木村「エンジェル」(木村一基九段、佐々木勇気七段、池永天志五段)の団体戦の模様をお送りする。

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ぱっぴをまとって作戦会議のチーム豊島

 第1局は大橋―木村戦で、振り駒の結果、大橋の先手となる。作戦部屋では事前企画で作ったはっぴをまとう「スリースタービクトリーズ」に対して、「エンジェル」はその名の通り天使の羽を背中に生やしてのコスプレ?姿を見せている。将棋は角換わりからの乱戦となったが、180手の熱戦を木村が制した。

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羽が生えた作戦会議中のチーム木村

【第2局】豊島将之竜王VS池永天志五段

 続く第2局、「スリースタービクトリーズ」はリーダーの豊島が出陣。対するエンジェルは「緊張を解きほぐすために」と木村リーダーが池永を指名した。将棋は相矢倉から第1図を迎える。

【第1図は▲1五桂まで】

 ここに至るまでの進行は後手がよさそうだと見られていたが、第1図から△1四銀▲2三桂成△同銀▲7六金△8七角▲7八歩△7六角成▲7二飛と進んで、解説を務める遠山雄亮六段は「これは逆転したんじゃないんですか」と。▲7二飛が詰めろになっているのが大きいのだ。対して先手玉は2八飛の存在が大きく、即詰みはない。第1図では△3二金打と金を打つほうがまさったようで、仮に▲2三桂成△同金▲7六金から同様の順に進むと、▲7二飛が詰めろにならず△6七銀と玉頭を押さえて、後手の勝ち筋となる。

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2局目勝利で安堵の表情の池永天志五段

 逆転勝ちを収めたチームメイトに対して「価値ある1勝でした」と佐々木勇。勢いに乗った「エンジェル」が第3局の佐々木大―木村戦、第4局の大橋―佐々木勇戦も勝利し、4連勝で一気に勝ち越しへ王手をかけた。

 後がなくなった「スリースタービクトリーズ」だが、第5局では佐々木大が池永を角換わりで破った。「最後もヨレヨレの勝ちだった」と振り返る佐々木大だが、チームに待望の初白星をもたらした。

【第6局】豊島将之竜王VS佐々木勇気七段

 第6局は豊島―佐々木勇戦に。前回ではチームメイトだった両者だが、前回のチームメイト同士が戦うのは本局が初となる。将棋は両者が予想した通り、角換わりとなった。

【第2図は△3三桂まで】

 第2図の先手は一目、6七に金駒を埋めたくなるが「どちらを打つか、悩ましいですよ」と遠山六段。佐々木勇は▲6七金打と金矢倉を構築し、△3四馬に▲5六歩と堅く受けたが、△5七金と絡まれて振りほどくのが大変だ。また後手玉は薄いようでも、寄せるための取っ掛かりがなく、攻めるのが難しい。以下は▲7五歩△6七金▲同金△7五歩▲7四歩△同玉▲7八香△5七金と進み後手の勝ち筋に。豊島がチームに2勝目をもたらした。

第2図では▲6七銀がまさったか。△3四馬には▲5八銀でと金を払える。また△5七馬(次に△6八金を狙う)には▲5八銀△同馬▲6八金打と銀1枚を犠牲にしても手番を握れば、△4七馬に▲2四飛の走りが間に合いそうだ。▲6七銀には△2九馬▲同馬△5七とが気になるが、先手にも▲4一角の筋がある(対して5二へ合駒を打つのは何を打っても▲7四馬△同玉▲5二角成△同金▲7二銀がきつい)ので相当だ。

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6局目を勝利しほっとした表情の豊島将之竜王

【第7局】佐々木大地五段VS木村一基九段

 第7局は佐々木大―木村戦、先後も含めて第3局と同一である。4連勝後の2連敗と悪い流れで迎えた「エンジェル」だが、ここまで2戦2勝のチームリーダーがその流れを断ち切れるか。

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第3局と同一カードとなった第7局

 戦型は角換わりで、途中までは第5局の▲佐々木大―△池永戦と同一の進行に。木村が先に変化したが、結果的にはうまくいかなかったようで、形勢は佐々木大がリード。
 だが「悪あがきというわけではないんですけど」という粘りに出て迎えたのが第3図。

【第3図は△2八飛まで】

 この△2八飛が勝負手である。対して先手は▲2四金から寄せに行くべきか、△4八飛成を一度は受けるべきか。佐々木大は▲5八金左と受けたが、△7五桂が「いい手だ」と作戦部屋で佐々木勇が感嘆した一着である。以下▲5二角△3六玉▲8五角成△8七桂成▲同玉△7三桂▲7四馬△8五銀と進み、逆転。最後は自玉を4九にまで潜り込ませた木村が勝利し、チームの勝ち越しを決めた。
第3図では▲2四金△3六玉▲2五金と迫る順がまさった。対して△4八飛成は▲2六金△3七玉(△4七玉は▲5六角から詰み)▲2七金△3八玉▲2八金△4九玉に▲5八銀から竜を奪って先手勝ち筋となる。また△4八飛成に変えて2六へ数を足す受けも難しい。

第一試合最終結果

予選Cリーグ第一試合の最終結果は以下の通りだ。
第1局 大橋●―○木村
第2局 豊島●―○池永
第3局 佐々木大●―○木村
第4局 大橋●―○佐々木勇
第5局 佐々木大○―●池永
第6局 豊島○―●佐々木勇
第7局 佐々木大●―○木村
総合 「スリースタービクトリーズ」2勝―5勝「エンジェル」


 次回は予選Cリーグ第二試合のチーム豊島「スリースタービクトリーズ」とチーム羽生「in the ZONE」が対戦。
5月29日(土)19時からの放映をどうぞお楽しみに。

ABEMAトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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