ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2020年04月15日
ウィルスの影響もあり、名人戦と女流王位戦、叡王戦の開幕が延期となってしまいました。タイトル挑戦に近付いた藤井聡太七段の対局も延期となりましたが、再開後の活躍に期待しましょう。
【第1図は△4五銀まで】
第1図は第13期マイナビ女子オープン五番勝負第1局(▲加藤桃子女流三段△西山朋佳女王)。女流棋士となって初のタイトル戦に臨む加藤女流三段。図は大駒の働きで先手優勢です。ここで▲7七香が味の良い香打ちで、△8五金なら▲7四歩で「角筋は受けにくし」です。実戦は△3六銀と根元の角を責めにきましたが、▲3三歩が軽手で△同桂に▲6四歩と好調な攻めが続きます。以下も押し切ってまずは挑戦者が快勝となりました。
西山女王 マイナビ女子オープン中継ブログより
先勝した加藤女流三段 マイナビ女子オープン中継ブログより
【第2図は△2三銀まで】
第2図は第33期竜王戦ランキング戦1組(▲羽生善治九段△稲葉陽八段)。▲5七角に△2三銀と受けたところです。ここで後続がないと角を手放した損が残ってしまいますが、狙いの攻め筋があります。▲2五歩△同歩▲5五歩△4五銀に▲2五飛が「飛車は十字に使え」の攻めです。△4四歩と銀取りを受けましたが▲2四金の俗手で厳しい攻めが続きます。以下も押し切って先手快勝。羽生九段が決勝トーナメント進出を決めました。
【第3図は△5一香まで】
第3図は第33期竜王戦ランキング戦6組(▲西山朋佳女流三冠△長谷部浩平四段)。△5一香は「下段の香に力あり」ですが、二枚竜が強力で先手優勢です。図から▲5二歩△同香を入れて▲4四桂が「要の金を狙え」の寄せで、穴熊攻略が見えてきました。西山女流三冠は快勝でベスト4へ。5組昇級、そして決勝トーナメント進出の快挙はなるでしょうか。
【第4図は▲3四同歩まで】
第4図は第61期王位戦挑戦者決定リーグ紅組(▲佐藤秀司七段△永瀬拓矢二冠)。図で△8七歩が「金は斜めに誘え」の手筋です。▲同金に△9五桂が厳しく、後手が優勢です。手堅く勝ちきった永瀬二冠が4連勝と星を伸ばしてリーグ優勝に近付いています。
【第5図は▲8五飛まで】
第5図は第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組(▲菅井竜也八段△藤井聡太七段)。次に▲8一飛成から▲3四桂が回ると大変ですが、藤井七段は読み切っていました。図から△3九銀▲5九玉△4八歩が「寄せは俗手で」の決め手。以下▲同金直△同銀成▲同玉に△3九とが軽手で寄り筋に入りました。3連勝同士の決戦を制し、藤井七段が白組で唯一無敗を守っています。
【第6図は▲7九玉まで】
第6図は第91期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント(▲郷田真隆九段△佐藤天彦九段)。ここから△9四歩が「手のない時は端歩を突け」です。対する先手も▲9六歩と応じ、△9二香▲1八香△9三香▲1七香△1二香とお互いに間合いを図り続けます。熱戦となりましたが最後は後手が抜け出し、佐藤九段がベスト4に進出。準決勝では藤井七段と対戦します。
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段