新鋭・本田五段が1勝をあげるも渡辺棋王が王者の貫禄で棋王8連覇達成 第45期棋王戦五番勝負を振り返る

新鋭・本田五段が1勝をあげるも渡辺棋王が王者の貫禄で棋王8連覇達成 第45期棋王戦五番勝負を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2020年03月19日

8連覇を目指す渡辺明棋王に挑戦するのは、史上初の1期目で挑戦権を獲得した本田奎五段。実績十分の王者に対し、新鋭がどのような戦いを見せるか。未知の新鋭の登場により注目度の高いシリーズとなった。

第45期棋王戦五番勝負第1局

第1局は石川県金沢市「北國新聞会館」にて。先手となった渡辺の矢倉に対し、本田は銀矢倉を採用。後手の動きに対応し桂得になった先手が優位に立つ。

【第1図は▲2六銀まで】

図から▲4五桂が気持ちの良い跳躍。△同馬は▲2六飛だし、△3七銀成も▲3三桂成と取れる。実戦は△4四銀と辛抱したがこれではつらく、▲4六金△5八馬▲4七銀△5九馬に▲2四歩から反撃し、先手快勝

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初戦は渡辺棋王が制する

第45期棋王戦五番勝負第2局

第2局は栃木県宇都宮市「宇都宮グランドホテル」にて。先手の本田が相掛かりから少しずつリードを奪う。しかし踏み込みを欠き、後手にも楽しみが出てきた。

【第2図は△5八金まで】

これ以上間違えるといよいよ逆転してしまうが、▲5四桂がピッタリだ。△同歩は▲2六角が王手竜取り。△同金は▲5八飛△同竜▲6三銀から詰んでしまう。

実戦の△5一玉には▲5八飛△同竜▲7三馬が決め手で、詰みと王手竜取りを後手は回避できない。本田がタイトル戦で初白星をあげた。

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本田五段がタイトル戦初勝利

第45期棋王戦五番勝負第3局

第3局は新潟県新潟市「新潟グランドホテル」にて。渡辺の矢倉に本田は急戦を目指す。しかし先手にうまく動かれて一気に苦戦となった。

【第3図は△3一角まで】

攻めの桂が銀と交換になって先手絶好調だ。あとは粘らせずに決めたいところ。実戦は▲9六歩が落ち着いた一手で、△6四角▲9七角△7五歩▲7六歩と角交換を目指してさらに優位を拡大する。以下は一方的に攻め続けて先手快勝。渡辺が防衛まであと1勝とした。

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渡辺棋王が2勝目

第45期棋王戦五番勝負第4局

第4局は東京都渋谷区「東郷神社」にて。第2局と違い、後手の渡辺は雁木を目指す。早い段階で飛車角交換になる珍しい戦いとなった。

【第4図は▲5六馬まで】

先手の馬と後手の持駒の飛車のどちらが働くかという将棋だが、△9六歩が飛車を生かす攻め。▲同歩△同香とし、▲同香なら△9八飛と打ち込める。実戦は△9六同香に▲9八歩と辛抱したものの、△6五歩▲4八角に△9四飛と回って、後手が手を作ることに成功した。先手からはそれほど厳しい反撃がなく、以下は的確に攻めた後手が制勝

渡辺が貫録を見せて3勝1敗で棋王防衛を果たした。今年度は挑戦者の奪取が続いていたが、底力を見せた。本田は敗れはしたものの、1勝をあげて爪痕を残した。さらに成長して大舞台に帰ってくることを期待したい。

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棋王8連覇 渡辺棋王

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本田五段

※画像はすべて棋王戦中継ブログより

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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