船江六段VS西川六段。棋風も正反対の二人の熱戦【プロの技】

船江六段VS西川六段。棋風も正反対の二人の熱戦【プロの技】

ライター: 池田将之  更新: 2017年06月24日

今回は、2月19日に行われた第43期棋王戦予選の▲船江恒平六段ー△西川和宏六段戦を取り上げます。

二人は関西の同世代。普段から仲がよく、何をするにしても張り合うライバルです。と言うと互いに「いやいや、ライバルでもなんでもないですよ」と口を揃えます。公式戦の初手合では負けたほうが坊主になるという約束をして、西川六段が実行しました。本コラムの監修・畠山鎮七段は両者の間柄について「奨励会入会は船江君が1年先輩ですが、四段昇段は西川君が早かった。四段になったのが23、4歳。他人の人生がかかった勝負を負かすなど、血みどろの戦いをしてきています。共に『よく奨励会を抜けたなぁ』という思いがあるでしょうね」と話します。棋風も正反対です。船江六段は詰将棋作家としても有名な芸術肌ですが、西川六段は実戦で鍛えた将棋です。これまでの対戦成績は西川六段の3勝2敗です。6度目の対決は西川六段がゴキゲン中飛車に振ります。急戦を仕掛けた船江六段がリードを奪いました。第1図は▲6二竜と角を取ったところです。

【第1図は▲6二竜まで】

ここであっさり△同銀は▲9六香が痛打になります。本譜はなんと、竜を取らずに△8九銀不成のタダ捨てです。続く▲同玉に△9七竜(第2図)と、詰めろで竜を入ることによって前述の香打ちを回避しました。そこで▲9三歩なら先手が優勢を維持していました。以下△6二金なら▲8八銀と受けて大丈夫です。

【第2図は△9七竜まで】

船江六段は第2図から▲9三角打と放り込みました。本人いわく「格の違いを見せてやろうと思って、角を打ち込んだのがひどかった」とぼやきます。実戦は以下△同香▲同角成△同竜▲9九香△同竜▲同玉△9一香▲9八歩△6二金(第3図)で後手が持ち直し、9筋から反撃を決めた西川六段の逆転勝ちとなりました。

【第3図は△6二金まで】

これがプロの技!

池田将之

ライター池田将之

2010年からフリーライターとして活動開始。2015年まで将棋連盟モバイル中継記者。現在は新聞社に観戦記、将棋世界で「関西本部棋士室24時」などの記事を執筆している。

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畠山鎮

監修畠山鎮七段

棋士・七段
1969年6月生まれ。1989年、プロ棋士となる。関西奨励会の幹事を長きにわたり務め、現在の若手関西棋士の育成に貢献。 棋風は居飛車党で、攻め将棋を得意としている。著書に「横歩取りの教科書」「これからの相矢倉」(マイナビ出版)などがある。

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