相振り飛車の激しい攻め合い。里見女流1級VS山根女流初段【プロの技】

相振り飛車の激しい攻め合い。里見女流1級VS山根女流初段【プロの技】

ライター: 池田将之  更新: 2017年06月20日

今回は1月18日の第44期岡田美術館杯女流名人戦予選▲里見咲紀女流1級―△山根ことみ女流初段戦を取り上げます。

女流名人戦予選は4枠の挑戦リーグ枠を争う、過酷なトーナメントです。山根女流初段は愛媛県、里見女流1級は島根県の出身です。両者の一戦は相振り飛車の激しい攻め合いになりました。第1図は△4六銀と打ったところです。

【第1図は△4六銀まで】

詰めろではありませんが、後手の駒台に桂がのれば△3八馬からの詰み筋が生じます。実戦は以下▲4七歩△7五角▲6六金△3七銀打▲6二成桂△8三玉▲4八金打と進みました。▲4七歩は馬筋を止めた冷静な受けです。そして最後の▲4八金打は「根性の入った一手で迫力があります」と畠山七段。

これで先手が受け切ったように見えましたが、以下△3八銀成▲同玉△6六角▲同歩に△2八金(第2図)が「素晴らしい、一連の勝負手でした」と畠山七段は絶賛します。そこで▲4九玉のほうが冷静だったと畠山七段は続けますが、実戦の▲2八同玉もこう取りたくなるので仕方ないと言います。

【第2図は△2八金まで】

第3図は▲6一竜と銀を取ったところ。先手がよくなったように見えますが、次の△8五角が攻防手でした。以下▲7二竜△9四玉▲6七銀△同角成▲同玉△7六銀▲5八玉△7八馬とした後手が、最後は上部に脱出して大熱戦を制しました。

【第3図は▲6一竜まで】

畠山七段は「両者の攻め、粘り強い受けが熱戦を生みました。終わりそうで崩れない、そして2人とも双方の玉をよく見ています。攻防手が多かったことも本局の特徴でした。こういう将棋を指していれば間違いなく強くなります」とエールを送りました。

これがプロの技!

池田将之

ライター池田将之

2010年からフリーライターとして活動開始。2015年まで将棋連盟モバイル中継記者。現在は新聞社に観戦記、将棋世界で「関西本部棋士室24時」などの記事を執筆している。

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畠山鎮

監修畠山鎮七段

棋士・七段
1969年6月生まれ。1989年、プロ棋士となる。関西奨励会の幹事を長きにわたり務め、現在の若手関西棋士の育成に貢献。 棋風は居飛車党で、攻め将棋を得意としている。著書に「横歩取りの教科書」「これからの相矢倉」(マイナビ出版)などがある。
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