将棋コラム

普段は見られないあの部屋をこっそり紹介。山口絵美菜女流1級による関西「棋士室」潜入レポート。

普段は見られないあの部屋をこっそり紹介。山口絵美菜女流1級による関西「棋士室」潜入レポート。

更新: 2017年04月19日

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大阪環状線福島駅の改札を抜け、正面の「なにわ筋」をすぐ左に曲がり、歩くこと3分。5階建てレンガ風の建物が関西所属棋士の拠点「関西将棋会館」です。昭和56年に建設されてからすでに35年以上がたちました。

今回の舞台は関西将棋会館の3階。普段は関係者以外立ち入ることができない「棋士室」の世界を少しだけご紹介いたします。

廊下の突き当たり、かつて倉庫だった「棋士室」は棋士や女流棋士、奨励会員の勉強場所。長机が2台と椅子12脚が並ぶ、朝から夜遅くまで灯りのともる小部屋です。

「棋士室」で行われるのはもっぱら「練習将棋」「検討」「棋譜並べ」。「練習将棋」は四人で行われる「研究会」や一対一の「VS(ブイエス)」といった、決まったメンバーで定期的に約束をして集まって指すものと、「将棋指そうよ」の一言から始まる突発的なものとがあります。前者は持ち時間が長め、後者は10秒や20秒、時に1分切れ負けなど早指しが多いのが特徴です。

「棋譜並べ」はロッカーにぎっしり詰まった公式戦の棋譜や観戦記を手元において並べたり、途中の変化を棋士や奨励会員が検討したり・・・。 いずれもロッカーにある盤駒を使ってということがほとんどですが、中には「マイ駒」を持参する棋士の先生もいらっしゃいます。宮本広志五段や星野良生四段、都成竜馬四段がその筆頭代表で、実は私も作っていただいた駒を毎日棋士室に持っていっています。

「検討」は順位戦や中継局がある日の夕方ごろから継ぎ盤で、もしくは棋士室奥にある対局の盤面を映すモニターを見ながら口頭で、という光景がお馴染み。中継コメントで目にする棋士の見解はこういった検討の中から生まれています。順位戦の中継ブログなどでその様子を目にした方も多いのではないでしょうか。

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棋士室の様子は棋譜中継コメントにもたびたび登場します。その際によくあるのが「差し入れを持って来訪した」の一文。公務で行った先のお土産や検討陣への差し入れが棋士室奥のテーブルに置かれているのはよく見る光景です。順位戦の日の夜には長沼洋七段の差し入れのチョコパイが、バレンタインデーが近くなると糸谷哲郎八段からのおしゃれなチョコ詰め合わせが並びます。

駒音と時計の電子音だけが響く、ピンと張り詰めた朝もあれば、笑い声が飛び交い和気あいあいとした雰囲気に包まれているときもあったり...などなどいろいろな顔を持つ棋士室。今日も早くから駒音が響いていることでしょう。盤上の新手に、棋士のエピソード、名言・迷言の数々は棋士室から生まれているといっても過言ではありません。そんな珠玉の「棋士室便り」、続きはまたいつか。

山口絵美菜女流1級

ライター山口絵美菜女流1級

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

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