映画「3月のライオン」を観る前に知りたい、将棋にまつわる4つの疑問。「プロ棋士ってなに?」「対局以外の仕事は?」

映画「3月のライオン」を観る前に知りたい、将棋にまつわる4つの疑問。「プロ棋士ってなに?」「対局以外の仕事は?」

ライター: 松谷一慶  更新: 2017年04月12日

映画「3月のライオン」の前編が2017年3月18日に公開されました。神木隆之介さんが演じる高校生プロ棋士の桐山零が主人公の物語で、舞台が将棋界ということで、将棋用語が使われるシーンが出てきます。もちろん将棋について詳しくないと映画を楽しめないというわけではありませんが、知っていた方がより深く内容を理解できるようなセリフや場面もあります。

そこで、このコラムでは、将棋はなんとなく知っているけれど将棋界の仕組みや将棋用語をあまり知らない人のために、映画「3月のライオン」をもっと楽しむために映画を観る前に知っておきたい将棋界の基礎知識を4つに分けてご紹介します。

(1)どうやってプロ棋士になる?

一つ目は、プロ棋士、つまり棋士とは何なのか、どうやって棋士になることができるのか、です。

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c2017映画「3月のライオン」製作委員会

棋士になる主な方法は、棋士養成機関である奨励会へ入会することです。年に1回、8月に奨励会入会試験がありこれに合格することで、奨励会員になれます。奨励会で6級~二段までは規定の勝ち数で昇級昇段します。そして三段になると半年に一度のリーグ戦に参加することができ、ここで上位2名になると四段になることができます。

四段に昇段すると「棋士」と呼ばれ、プロとして認められます。原則、年に4人のみ棋士となることができる、大変狭き門になっています。

主人公・桐山零のように中学生で棋士になったのは、実際にはこれまでに5人いて、最近では2016年にデビューした藤井聡太四段が14歳2ヶ月と史上最年少記録を更新し、話題となりました。

また、棋士には戦績などで決まる段位という階級があり、最上位は九段です。対局でいい成績を収めると昇段しますが、下がることはありません。映画では後藤が九段、島田と幸田が八段、桐山と二海堂が五段です。

(2)対局以外の仕事は何がある?

続いて、棋士の仕事についてです。

棋士は対局以外では、テレビやインターネット、大盤解説会などで将棋ファンに分かりやすく対局の内容を解説する仕事があります。その他、実際に将棋を指しながら教える指導対局、将棋の戦略などに関する本や詰め将棋・観戦記などの執筆、テレビやラジオ出演など、将棋の魅力をより多くの人に伝えるための仕事が多いです。

映画では、二海堂が桐山の対局をテレビで解説したり、桐山が宗谷-島田戦で大盤解説を担当したりしています。

(3)どのように将棋の勉強をしているか?

三つ目は、プロ棋士が対局に向けてどのように将棋を勉強しているのか、その勉強方法についてです。

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c2017映画「3月のライオン」製作委員会

勉強方法はいくつもあるのですが、棋士同士数名で実戦を指したり、注目される局面について調べたりする研究会というものがあります。またこれを二人だけで行うことを、特に「vs(ブイエス)」といいます。その他一人での勉強法として、過去の対局を自分で並べる棋譜並べや、詰将棋を解いたりもしています。

映画では、桐山が島田や二海堂と研究会をするシーンや、過去の対局の棋譜のコピーをとって一人で棋譜並べをするシーンなどがあります。

(4)順位戦、タイトル戦とは何?

最後は棋戦についてです。対局とひとことでいっても、さまざまな種類の対局があります。

まずは順位戦。毎年6月から(原則)翌年3月まで名人を目指して行われるリーグ戦のことを順位戦と呼びます。A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組とクラス別のリーグ戦によって行われ、その結果によって昇級・降級が決まります。A級の成績1位は「名人戦」の挑戦者となります。

また、七大タイトル戦として、竜王戦、名人戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦があり、トーナメント戦やリーグ戦により決まった挑戦者が、タイトル保持者に挑戦します。映画では獅子王戦がタイトル戦にあたり、宗谷がタイトル保持者になっています。

以上、映画「3月のライオン」を観る前に押さえておきたい将棋の基礎知識でした。これを知っているだけで映画がさらに楽しめること間違いなしです。しっかり予習をして映画を楽しんでくださいね。

松谷一慶

ライター松谷一慶

2013年より世界一周に出発し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米、北米を経て、2016年春に帰国。これまでに訪れた国は約100ヵ国。 自然と音楽とお酒とお祭りとトライアスロンとバンジージャンプと甘いものとキリンとぶり大根とが好き。将棋は祖父と何度が指したことがあるくらいだったが、最近また覚えはじめる。

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