ゼッタイに覚えておきたい詰みのポイント3つ。初心者が勝ち切りたければ終盤を学べ!

ゼッタイに覚えておきたい詰みのポイント3つ。初心者が勝ち切りたければ終盤を学べ!

ライター: 佐藤友康  更新: 2017年01月16日

将棋を覚えて指してみると、駒はたくさん取って優勢にはなったものの最後の詰みまでたどり着けなかったり、うまく詰ませられずに逆転されてしまったり、ということがあります。このコラムでは、終盤の詰みのポイントに絞ってお伝えします。これを読めばあなたも、確実に相手玉にトドメを刺し、見事に勝利をつかみ取ることができるようになります!

最重要の公式  詰み = 逃げ道封鎖 + 頭金

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  • 必殺の「頭金」が玉を仕留める
詰みで覚えるべき、最重要事項からお伝えします。あなたは「頭金(あたまきん)」を知っていますか?「頭金」とは、相手玉の1マス上に金を打って詰ませることです。金は前3方向と横に利きがあるので、頭金を打つと玉に横に逃げられる心配がありません。頭金は、王手をかけつつ上部への逃げ道をふさげる、効率のいい詰みの形なのです。頭金は最も基本で、よく現れる詰みの形ですから、徹底的に身に付けましょう。
  • 成り駒も「頭金」同様の必殺手段となる
銀・桂・香・歩を成ると、金と同じ働きになります。成った駒が玉の頭に移動すれば、「頭金」と同じ形になりますよね。銀・桂・香・歩であっても、成ってうまく使えば頭金の状態を作れるのです。竜・馬は金以上に強力な駒ですので、同様に玉の頭に動けば「頭金」の形になります。いずれにしても、玉の頭めがけて強力な駒をぶつけることが詰みに近づくのです。
  • 逃げ道封鎖⇒頭金 の順番が大切
しかし、いくら上部に強い頭金でも、下に逃げ道がある状態では詰みません。玉が下に逃げられない状態だからこそ、頭金が有効なのです。逃げ道封鎖⇒頭金の順番が大切です。 終盤で詰みを考えるときには、まずは「どうにか頭金の形に持っていけないか」を考えましょう。その考えを軸にすると、詰みまでのステップが分かりやすくなります。

では続いて、詰みの公式をもう少しかみ砕いて説明していきましょう。まずは「詰み」とはどんな要素から成り立っているか、どんな状態なのか、改めて確認していきましょう。

詰みの要素を分解すれば、詰ませ方が見えてくる

  • 詰まされた側から見た「詰み」の要素
「詰み」とは以下の要素を満たした状態です。
・王手がかかっている
・王手を解除できない
・玉の逃げ道がない
王手をかけている駒を取れたり、逃げられたりできる状態は詰みではありません。
  • 攻める側から見た「詰み」の要素
「詰み」の状態を逆に攻めの視点で見ると、詰ませ方が分かります。
・王手をかけている駒がある
・王手をかけている駒が取られない(支えるための駒がある)
・玉の逃げ道をふさいでいる駒がある
先ほどのほぼ逆の言い方になっています。こう考えれば、詰みはそんなに難しくないと思いませんか?
  • 最後に必ず「王手」で詰ませるという事実
玉を詰ませるときに、最後の決め手となるのは「王手」です。王手をかけて詰みになります。したがって、詰ませるための王手は事前の準備「支える駒」と「逃げ道を塞ぐ駒」が必要不可欠なのです。ですから、詰ませに行く順番としては、逃げ道封鎖⇒頭金ということになります。ここは重要なところですから、しっかりとご理解ください。

頭金の王手で詰む形にするための3つの方針

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  • 逃げ道封鎖は「挟み撃ち」と「追い込み」
逃げ道を塞ぐことで詰む形になりやすいです。逃げ道封鎖の基本は「挟み撃ち」です。上下・左右、あらゆる方向から玉を包囲していくことで、玉の逃げ道は少なくなっていきます。一方向から攻めるのではなく、「玉は包むように寄せよ」という、格言そのままです。駒を使った挟み撃ちのほか、詰ませやすい場所に追い込むのも逃げ道封鎖の方針のひとつです。玉が一番下の段にいれば、それより下には逃げられませんから、逃げ道封鎖しているのと同じ状態と言えます。盤の81マスの中には、詰ませやすい場所と詰ませづらい場所があります。玉の逃げる場所の少ない、最下段か端が詰ませやすい場所なのです。
  • 守り駒をはがしていく
玉が矢倉や美濃といった囲いに入ったままでは、いきなり頭金を狙うことはできません。打ったとしても、他の駒で取られてしまいます。玉を守っている駒があれば、まずその駒をはがしていくのも詰みに向かうための方針の一つと言えるでしょう。
  • 金は持ち駒に残す
持ち駒は、好きな時に好きな場所に打つことのできる、価値の高い駒です。「あと頭金が打てれば勝ち!」というときに、持ち駒の金を打つのと盤上の駒を動かすのでは全く意味が違ってきます。金を持ったら、なるべくトドメに残して使いましょう。無駄に使ってはいけません。「金はトドメに残せ」という格言もあるほどです。

これを実戦の中では、複合的に進めていくのです。どうやって詰みに近づけるのかは、これらの方針のうち、指しやすいものから試してみるといいでしょう。守り駒をはがし、金を取って持ち駒にして、逃げ道をふさいで頭金を打つ・・・これが、一つの詰みへの流れです。

終盤を学習する3つのメリット

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詰ませる手順についてお伝えしてきましたが、終盤を覚えると将棋をより楽しめるようになります。終盤を学習する3つのメリットをお伝えしておきましょう。

  • 終盤を学ぶことで勝ちにつながる
将棋は、玉を詰ませて初めて「勝ち」となるゲームです。中盤で不利になってしまっても、最後に詰ませば勝ちです。終盤が強ければ勝ちやすく、終盤を学習することはそのまま「勝ち」につながるといっても過言ではありません。今回ご紹介した頭金も、知っているのと知らないのでは雲泥の差が生まれてしまいます。
  • 終盤はパターン学習でよい
序盤は相手の出方に合わせて戦う必要があり、中盤は対局ごとに展開が異なります。序盤と中盤は、相手の予測がしづらく、考えることが多い面があるので、学習の敷居が高く感じるかもしれません。一方で終盤の特に「詰み」にかかわる部分は、ある程度パターン化されているので、学びやすいのです。どれぐらい多くの詰みパターンを知っているかが、そのまま勝ち負けにつながっていきますから、しっかりと覚えましょう。
  • 読みの力がつく
王手とそれに対応する相手の手を考えることで、読みの力が自然と身に付いてきます。読みの力は将棋のあらゆる局面で応用できますから、終盤を学ぶことで棋力全体の底上げができるのです。

頭金以外の詰みの学習方法は「パターン記憶」から

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前述の3つの要素が満たされれば詰みなのですから、ある種のパターンだといえるでしょう。このパターンをなるべく多く身に付けてほしいと思います。そして、そのパターン記憶に持ってこいなのが、詰将棋の本です。

  • 詰将棋本をいきなり解かない
終盤の学習と言えば詰将棋ですが、いきなり本で問題を解くのはおススメしません。覚えたてのうちは、「なぜこれで詰みなのだろう?」と疑問に思うことが多いです。その状態では、問題を解くのはハードルが高すぎます。
  • 詰将棋本の「詰め上がり図」を見てパターンを記憶する
まずは、詰将棋本の答えの「詰め上がり図」を見て、なぜこれで詰んでいるのかを理解しましょう。どの詰め上がり図も、「王手がかかっている」「王手を解除できない」「逃げ道がない」の状態になっていることを、少し見ただけで分かるような状態をまずは目指します。
  • 記憶できたら、1手詰から
詰め上がり図を見て、詰みの形をある程度覚えたら、実戦の形式で1手詰の問題を解いてみましょう。ここで初めて、詰みの状態を真剣に考える機会になります。詰め上がり図が分かることと問題を解けることは別物です。1手詰が解けるようになったら、3手詰にもチャレンジです。

1手詰がすぐ見て解けたら初心者卒業

いかがでしたでしょうか。漠然としていた詰みへの流れが分かり、どういうふうに追い詰めていくかの方針についてご理解いただけたことと思います。今回のコラムでお伝えしたことを知っている/知っていないで、各段に終盤の力に差が出てきます。このコラムをお読みいただいたあなたは、ぜひご自身のレベルに合わせて、詰みについて学習していきましょう!

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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