将棋コラム

将棋界に突如現れたゆるキャラ「ひきかくくん」。きっかけは飯島七段の「引き角戦法」だった?

将棋界に突如現れたゆるキャラ「ひきかくくん」。きっかけは飯島七段の「引き角戦法」だった?

更新: 2017年01月15日

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飯島栄治七段の得意戦法である飯島流引き角戦法をご存知ですか?戦法はご存じなくても、ひきかくくんというゆるキャラが存在していることは知ってますか?今回、飯島七段がグッズ展開を行っているひきかくくんに注目してみました。実は「ひきかくくんグッズ」って将棋連盟のネットショップで買うことができるんですよ。

将棋界に現れたゆるキャラ。これが「ひきかくくん」だ

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こちらのイラストをご覧ください。駒の形の可愛らしいゆるキャラ、これが「ひきかくくん」です。ギターを弾いているのは、ひきかくくんだから?

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こちらもひきかくくんのイラストです。今度は地引網を引いているのでしょうか。ひきかくくんだけに...。

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イラストをもう一枚。今度はアカデミックな格好ですね。駒の形の指示棒で何かを説明しているところですね。とりあえず、このイラストではなにも引いていないようです。

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アカデミックな格好のひきかくくんが大盤で何かを解説しているようです。背景にはどうやら符号が並んでいるようです。そして大盤に示された矢印は何を表しているのでしょうか?さて、そろそろひきかくくんというキャラクターについて、説明いたしましょう。

戦法がゆるキャラ化? ひきかくくん誕生秘話

そもそも「ひきかくくん」とは何なんでしょう。その説明のために、まずは将棋の「戦法」についてご説明します。将棋には数々の「戦法」があります。大きく分けると居飛車戦法と振り飛車戦法の2つ。さらに居飛車の中にも矢倉、横歩取り、角換わりなどがあり、振り飛車には中飛車、四間飛車、三間飛車、向かい飛車などがあります。

そんな将棋の戦法の中に飯島七段が編み出した『飯島流引き角戦法』があります。後手番での対振り飛車対策のひとつであり、その特徴は角道を開けず、2二の角を3一に引いて使う点にあります。

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プロ公式戦での引き角戦法の実戦例。第24回朝日オープン将棋選手権 五番勝負第2局▲藤井猛九段対△羽生善治朝日オープン選手権者

※棋譜はこちらから見ることができます。

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▲藤井九段対△飯島栄治五段(第15期銀河戦、決勝トーナメント)

棋譜はこちらで見ることができます。

飯島七段に引き角戦法についてコメントをいただきました。

代表的な引き角戦法の将棋の図面を2つ入れました。両方とも平成18、19年なのでもう10年近く前になりますね。
一時期よりはかなり下火ですが、たまに公式戦でも見かけます。角を引いて5三角として、玉を角のいたところに移動する。美濃囲いが堅いので振り飛車側と強い戦いができる。この考え方が根本にあります。基本的に後手番の作戦ですが、相手が振り飛車党という決め打ちができれば、▲2六歩△3四歩▲4八銀として飛車を振ってくれば引き角も先手でできます。今では矢倉でも後手が美濃囲いから急戦の指し方がよくありますが、美濃囲いの価値というのが高いのが当時からあったということですね。

飯島流引き角戦法は、2009年度の第37回将棋大賞で、定跡の進歩に貢献した者に与えられる名誉ある賞『升田幸三賞』を受賞しました。そしてその受賞を記念して、 2010年に飯島七段がこの戦法をPRするためのマスコット「ひきかくくん」のキャラクターデザインをインターネット上で公募したのです。

結果、その公募で多数の応募作品の中から選ばれたのがイラストレーターの池田よう子さんがデザインした「ひきかくくん」だったのです。この戦法を広く世に知らしめたいという飯島七段の熱い思いが、前代未聞の戦法のゆるキャラ化を実現させ、さらにそのイラストを基に数々のグッズ展開がされているのです。

ひきかくくんグッズあれこれ

飯島流引き角戦法の知名度アップのため、飯島七段は「ひきかくくん」のグッズを作成しています。大盤解説会やニコニコ生放送への出演時などでは宣伝も欠かしません。グッズは将棋会館の1階にある売店や将棋連盟のネットショップでも販売をしています。ひきかくくんグッズには現在、エコバック、ハンカチ、缶バッジ、マグネットの4つがあります。

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ひきかくくんグッズあれこれ。どれもかわいいです。エコバッグとハンカチは色違いのものが何種類かあります。

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ひきかくくんエコバッグ(紺)
折り畳み式の将棋盤や布盤、駒などを持ち歩くのにぜひ。

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ひきかくくんハンカチ(ブルー)
この冬公開の映画『聖の青春』がいま話題ですね。数々の棋士が涙したというこの映画を見に行くときのお供にこちらのハンカチなどいかがでしょう。

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ひきかくくん缶バッジ【A】
カバンなどに付けておくとそれを見た将棋ファンの人に「あっ、この人将棋好きなんだ」とすぐに分かってもらえますよ。

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ひきかくくんマグネット【G】
ニコニコ生放送でも解説用の大盤にこのマグネットが貼ってありました。
将棋教室用、生徒さんへの大会の景品用としても喜ばれますね。

他にも色違いやマグネット・缶バッジは複数種類があるのでこちらからどうぞ。
日本将棋連盟ネットショップ「ひきかくくんグッズ」

ひきかくくんと飯島流引き角戦法についてご紹介しました。棋士は勝負師として対局をするだけではなく、定跡を生みだす研究家・芸術家としての側面もあります。棋士にとっては自分の名前が付いた新戦法を編み出して、世に知らしめることは、生涯を懸けた夢でもあります。「ひきかくくん」には飯島七段の夢が詰まっているのです。飯島流引き角戦法を使いこなしてみたい方は、ぜひ飯島七段の著書を手に取ってみてください。

*ひきかくくんのイラスト等は作者の池田よう子様よりご提供いただきました。

直江雨続

ライター直江雨続

フォトグラファー/ライター。
2007年ごろよりカメラを片手に将棋イベントに参加してきた『撮る将棋ファン』。
この10年間で撮った棋士の写真は20万枚以上。
将棋を楽しみ、棋士を応援し、将棋ファンの輪を広げることが何よりの喜び。
『将棋対局 ~女流棋士の知と美~』や女子アマ団体戦『ショウギナデシコ』で公式カメラマンを務める。

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