将棋コラム

使いこなせばあなたも将棋通? 豊川七段のダジャレを交えた解説がクセになる面白さ...「ここで飛車をキリマンジャロしますか」など22個紹介

使いこなせばあなたも将棋通? 豊川七段のダジャレを交えた解説がクセになる面白さ...「ここで飛車をキリマンジャロしますか」など22個紹介

更新: 2017年01月10日

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マンモス!(挨拶)

近年の将棋界を席巻している豊川孝弘七段のダジャレ、ご存知ですか?解説会でついつい口に出てしまう棋士の方も多く、将棋ファンにもすっかりおなじみです。一度聴いたらなかなか忘れられず、ついつい日常的に使ってしまう汎用性の高さと感染力が豊川七段のダジャレの魅力。そんな将棋ダジャレで有名な豊川七段は東京都杉並区出身、1967年2月20日生まれの49歳。関屋喜代作八段門下で棋士番号はぴったり200番です。覚えやすいですね。

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2014年後期のNHKEテレ「将棋フォーカス」で「豊川孝弘のパワーアップ手筋塾」の講師を務めていたので、ご覧になっていた方も多いかもしれません。豊川七段の挨拶は「マンモス!」「お疲れマンモス!」など、マンモスが登場します。なぜマンモスなのかは謎ですが、今や数々のダジャレと並びすっかり業界用語になっています。知らない人が聞いたら、驚きマンモスですよね。それでは、マンモス豊川先生の代表的な将棋ダジャレをご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

人名シリーズ「ちょっとこの手では間に合わじ仁茂」

まずご紹介するのはプロ棋士の人名を使ったダジャレシリーズです。

  • 青野取る市(あおのとるいち)

取る一手のことを「とるいち」と略すことがありますが、さらにそこに青野照市九段のお名前を組み込んだのがこのダジャレ。非常に使い勝手が良いです。「取る一手」と言う人より、ついつい「あおのとるいち」と言ってしまう人のほうが多いかも?
用例:「逃げたら詰んでしまうので、この金は青野取る市です」

  • 味良し道夫(あじよしみちお)

将棋用語にはあとで効果が出るような指し手に対して「味の良い手」という言い回しがあります。そこに有吉道夫九段のお名前と合わせてしまったのがこのダジャレ。こちらも使い勝手が良くて、将棋以外の日常語としても、つい使ってしまいます。
用例:「ここで歩を突くと大駒が両方働いてくるので味良し道夫な手ですね」

  • 間に合わじ仁茂(まにあわじひとしげ)

「間に合わじ」、つまり、間に合わないということと、淡路仁茂九段のお名前をミックス。これもまた将棋以外の日常語としてもつい使ってしまうんですよね。
用例:「ちょっとこの銀打ちでは間に合わじ仁茂ですか」

  • 殺到康光(さっとうやすみつ)

「殺到」と佐藤とを掛けてます。佐藤康光九段のように終盤で駒が敵玉に殺到する迫力の寄せを指してみたいものですね。
用例:「これはもう、8三の地点に殺到康光ですね」

  • 畠山守る(はたけやままもる)

守る手を指した時にはこのダジャレ。畠山鎮七段のお名前そのままですね。ちなみに畠山鎮七段のお名前は「まもる」ですが、攻め将棋で有名です。
用例:「なるほど、金を打って畠山守る、ですか」

  • 畠山成る(はたけやまなる)

駒が成る手を指した時に使います。畠山成幸七段のお名前から。ちなみに畠山鎮七段と畠山成幸七段は将棋界唯一の双子のプロ棋士です。
用例:「ここで香車が満を持して畠山成る、と」

指し手シリーズ「ここで飛車をキリマンジャロしますか」

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続いて将棋の指し手を解説するときによく出てくるダジャレシリーズをご紹介します。

  • 同飛車大学

同飛車と同志社大学とを掛けた非常にわかりやすいダジャレ。豊川七段の代表作。
読み上げで「同飛車」と聞くたびにこのダジャレが頭をよぎる将棋ファン多数です。
用例:「同金じゃなくて飛車で行きましたか。同飛車大学ですね」

  • 両取りヘップバーン

こちらも代表作。両取りと稀代の名女優オードリー・ヘップバーンとを掛けています。両取りとは自分の1つの駒で相手の2つ以上の駒を取れる状態のことです。相手は次に1つの駒しか逃げることができないので、どちらかの駒を取ることができます。みんなが大好きな「王手飛車取り」も両取りの一種です。とある将棋ファンが某八段との指導対局で両取りをかけられた際、「『両取り○○』っていう言葉知っていますか?」と聞かれ、自信満々に「両取りヘップバーン」と返したという実話もあります。(正解は「両取り逃げるべからず」)質問した某八段は「それもありますけれども......格言のほう......」と言ったそうです。それもあるんですね。
用例:「5三に桂馬を打てば金の両取りヘップバーンになりますね」

  • 角筋を社団法人

角の利いているラインを何らかの駒で遮断するときに使います。角以外でも、飛車、香車の利いているラインを遮断するときには、つい口に出してしまいますね。
用例:「△4四歩で角筋を社団法人しましたね。これはノーマル四間飛車かな」

  • キリマンジャロ

特に大駒を切るときに使います。切る、とは大駒(飛車・角行)を小駒(金・銀・桂・香・歩)と交換することを言います。普通は損ですが、終盤などは大駒を切ることで詰みや寄せを狙う場合もあるので、決め手になることが多いです。キリマンジャロはアフリカ大陸最高峰の山の名前です。
用例:「ここで飛車をキリマンジャロしますか。それで寄ってるかな?」

  • タランチュラ

何かが足りない時に使います。駒がタランチュラ、時間がタランチュラ、攻めがタランチュラなどなど非常に汎用性が高いです。タランチュラはオオツチグモ科の蜘蛛の名前です。
用例:「あと歩が1枚あれば詰むのにタランチュラですね」

  • タラちゃん

歩を垂らすことや、垂らしの歩のことを豊川七段はこう呼びます。「垂らしのタラちゃん」という使い方も。サザエさんに出てくるキャラクターのタラちゃんと掛けています。
用例:「5四に歩をタラちゃんしますか」

  • ホットケーキ

駒が取られそうな状態や攻め込まれて受けの手が必要と思われるところをほっとく(手抜いて別の手を指す)ときによく使われます。
用例:「詰めろじゃないので、この手はホットケーキして攻めますか」

  • 渋谷の将棋指し

渋い一手が出た時によく使います。ちなみに東京の将棋会館の所在地は東京都渋谷区。関東所属のプロ棋士はみんな渋谷の将棋指しと言えるかもしれません。
用例:「じっと歩を受けましたか。この手は渋い、渋谷の将棋指しだ」

  • ふがいない

持ち駒に歩がない状態(歩切れ)と不甲斐ないを掛けてます。将棋の格言に「歩のない将棋は負け将棋」というものもあるように、歩は大事な駒、一歩千金なのです。
用例:「だめですね。合駒する駒がない、歩がいない」

  • 味付け海苔

すぐには効果はわかりにくいが、あとでじわじわ効いてくるような一手を「味付け」と言ったりします。味付けと言えば、味付け海苔。解説ではよく出てくる豊川語録ですね。
用例:「ここで歩を叩いておいて、味付け海苔しますか」

  • タンドリーチキン

単に取ることを「単取り」と呼びますが、それとインド料理のタンドリーチキンとをかけたダジャレです。
用例:「取る前に一回王手をきかすかと思いましたが、タンドリーチキンでしたね」

形勢判断シリーズ「これはもう阿寒湖です」

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そして形勢判断をする際に頻繁に登場する有名なダジャレシリーズをご紹介します。解説会では何度も出てくるので、そのうち癖になります。

  • 難解ホークス

形勢判断が難解である、どちらが有利であるかの判断がつかないことと、南海ホークス(現ソフトバンクホークス)とを掛けた豊川七段の代表的なダジャレのひとつ。
用例:「ここはどっちが指しやすいかプロでも見解が分かれると思います。難解ホークスです」

  • 優勢民営化

形勢に差がつき、どちらかが優勢になるとこのダジャレがよく出てきます。郵政民営化と優勢とを掛けてます。
用例:「飛車が成り込めたので先手が優勢民営化ですね」

  • 阿寒湖

阿寒湖は北海道にある湖で「あかんこ」と読みます。「もうあかん」という嘆き節が出るような局面で使います。
用例:「もう後手には有効な受けの手がありません。これはもう阿寒湖です」

  • 美・サイレント

どちらかが形勢がいいけれども、微差であるときに使います。ちなみに「美・サイレント」は1979年3月にリリースされた山口百恵の25枚目のシングルです。
用例:「ちょっとだけ後手が指せそうですが、まだまだ微差です。美・サイレント」

  • キッコーマン

形勢が拮抗していることと、醤油を主とする醸造調味料の会社キッコーマンとを掛けています。
用例:「形勢判断難しいです。キッコーマンです。つまりはしょうゆうことです」

ここまでお読みいただき、お疲れマンモスでした。使いこなすと将棋通に見える(かもしれない)、知るほどに感染していく豊川七段の将棋ダジャレの代表作をいくつかご紹介しました。しかし、豊川語録は日々増えています。ニコニコ生放送やNHK杯で豊川七段が解説を務める時にはぜひそのダジャレ解説にも注目してご覧ください。思いがけない新作ダジャレが飛びだすかもしれませんよ。

そして数々の将棋ダジャレは将棋をもっと多くの方に気軽に楽しんでもらいたい、という豊川七段の思いから生まれています。初心者に将棋を教えるときに活用すれば、きっと場が和む効果があるはずです。ぜひお試しを。

※将棋ダジャレは用法・用量を守って正しくお使いください。

直江雨続

ライター直江雨続

フォトグラファー/ライター。
2007年ごろよりカメラを片手に将棋イベントに参加してきた『撮る将棋ファン』。
この10年間で撮った棋士の写真は20万枚以上。
将棋を楽しみ、棋士を応援し、将棋ファンの輪を広げることが何よりの喜び。
『将棋対局 ~女流棋士の知と美~』や女子アマ団体戦『ショウギナデシコ』で公式カメラマンを務める。

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