将棋コラム

「千駄ヶ谷の受け師」木村八段のすごい切り合い。間合いを見切って、勝ち切る攻めがすごい...【プロの技】

「千駄ヶ谷の受け師」木村八段のすごい切り合い。間合いを見切って、勝ち切る攻めがすごい...【プロの技】

更新: 2017年01月12日

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「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ木村一基八段。力強い受けが注目されていますが、それだけでないところを10月27日に指された第75期B級1組の対阿久津主税八段戦で見せてくれました。先手の阿久津八段は鋭い攻めやギリギリの切り合いに特徴があります。横歩取りの流行形から、阿久津八段の工夫の駒組みにより、早い段階で実戦例のない進行となりました。

第1図は67手目▲4角打まで
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第1図は阿久津八段が後手陣に絡みついたところです。平凡に△6二金では▲2八銀と金を取り、▲5一金の詰みを狙われてしまい、後手が大変です。木村八段の△5六飛が好手でした。王手とともに後手の玉頭に利かしています。実戦は▲5七銀△5四飛▲5五歩△同飛▲4六銀右△3八飛と進みましたが、△5六飛に▲5七歩としても、△5四飛▲2四歩に△4五桂の攻めが厳しく、後手が優勢です。

第2図は79手目▲7四歩まで
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数手進んだ第2図。後手陣は左右から攻められていますが、木村八段は受けるのでなく、切り合いを選びます。実戦は△7六歩▲7三歩成△7七歩成▲7二と△6五桂と進みました。▲7二とまで進んで、怖いようでも後手玉は詰めろではありません。そこで△6五桂と先に△5七桂不成からの詰めろをかけて後手勝ちが決まりました。まさに肉を切らせて骨を断つ。これも受けが強いからできる、間合いの見切りといえるでしょう。

飯島七段「▲7四歩に△4五桂などの手も考えられるところでしたが、阿久津八段のお株を奪うような木村八段の強烈な攻めでした。一直線にこられて、先手は抵抗できません。手順中、▲7二とで▲6五桂と敵の打ちたいところに先着しても、△7八と▲同玉△3八竜▲6八銀△4一桂(参考図)で、次に△7七歩▲同玉△7六歩や単に△7六歩の攻めが厳しくて後手勝勢です。

参考図は目△3八龍まで
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勝勢のときは臆することなく、一手勝ちを目指すオール手抜きの精神は大事です。それを対局で実践できるよう、強い心を持つことが重要かもしれませんね」

*写真はすべて王位戦中継ブログより引用

飯島栄治

監修飯島栄治七段

棋士・七段
1979年9月東京都生まれ。桜井昇八段門下。2000 年プロ棋士となる。居飛車党で、攻めの棋風。飯島流引き角戦法で第37回升田幸三賞を受賞。 著書に『研究で勝つ!相横歩取りのすべて』『横歩取りハメ手裏定跡』(マイナビ出版)などがある。
君島俊介

ライター君島俊介

2006年6月からネット中継のスタッフとして携わる。2016年現在は順位戦・棋王戦・棋聖戦などで観戦記を執筆。将棋連盟ライブ中継で棋譜中継を楽しむ日々。

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