ライター牛蒡

竜王戦第6局こぼれ話。丸山九段の昼食の量が多かった理由には、常磐ホテルのおもてなしがあった?
ライター: 牛蒡 更新: 2017年01月10日
先日、第29期竜王戦七番勝負第6局が「常磐ホテル」で指されました。「常磐ホテル」は今期の名人戦、王座戦、叡王戦の対局場にも選ばれています。信頼されるおもてなしの秘訣は何か。営業部長の小沢行広さんに話を聞きました。
――常磐ホテルで将棋のタイトル戦を開催するようになったのは、いつ頃からでしょうか?
「1954年に王将戦を開催した記録が残っています。それからしばらく間が空きまして、2008年春の第66期名人戦をきっかけに、将棋のタイトル戦が増えました」
――常磐ホテルは番勝負の後半に対局が組まれることが多い印象があります。
「番勝負の後半でも構いませんので遠慮なくいってくださいと、棋戦の担当者さまにお伝えしています。七番勝負なら4勝、五番勝負なら3勝を先に挙げれば決着する。それが番勝負の仕組みであり、文化であると理解しております」
――今期竜王戦第2局の「箱根ホテル小涌園」で小沢さんをお見かけしました。いつも事前に対局を視察されるのでしょうか?
「主催社ごとに細かな違いがあります。たとえば控室の席の配置。これは各社で異なりますから、毎年事前に確認いたします。タイトル戦の雰囲気を肌で感じることも大切だと思っています」
――常磐ホテルはタイトル戦の開催経験が豊富です。毎年視察されなくてもよいのではないかと思うのですが。
「ホテルマンとして、名旅館といわれる宿に行ってみたい、勉強したいという思いがあります。それに対局者や関係者の顔ぶれはいつも同じではありません。その人ごとに嗜好は異なりますから、毎回事前に伺わせていただいております」
――丸山九段の昼食の量が多かったのも、視察の結果を踏まえてのことでしょうか。
「そうですね。丸山九段はよく召しあがられる方とのことでしたので、シェフや板前も張り切っておりました。1日目の昼食(ワイン豚のソテー丼)は少し多めにと私が指示しましたが、ちょっと多すぎたようです。2日目は量を控えめにいたしました」
(※対局翌日、丸山九段は「体調次第なんですけど、ちょっと多かったですね」とニコニコと話していました)
――最後に、タイトル戦を開催するに当たって心掛けていることを教えてください。
「リラックスして指していただくのが第一ですから、奇抜なことはしないようにしています。料理も土地の食材は使いますが、くせの強い郷土料理は避けて、食べなれたものをお出します。これは社訓のようなものですが、VIPの方でも、一般の方でも、お客さまに喜んでいただくためのコンセプトは変わりません。おもてなしの姿勢は常に同じようにと心がけています」
